第十五話◇
「ったくテメーらは毎度毎度でけぇ声出しやがって!鼓膜が破れるっつの!!」
「「も…申し訳ありません…。」」
正座をしている大男の二人に説教しているカノン。
「正座って…。そこまでしなくても…。」
私の呟き。
「んな事してジルクに見つかったらどーすんだよ…。」
「ほぅ。私に見つかったらなにかまずい事でもあるんですか?」
「そりゃああいつに見つかったら仕事三昧…って」
「どうも」
「「ぎゃああああああああああああああ!?」」
私とカノンが叫ぶ。
私とカノンの真後に気配も無く現れた茶髪に短髪の男の人が言う。
「やれやれ…こちらに来るなら連絡の一つも下さいと何度…おや?」
茶髪の人の視線が私に向けられる。
「これはこれは可愛いらしいお嬢様ですね。私の名はジルクと申します。今度ご一緒に食事でもいかがでしょうか?」
「…え~っと。」
はっきり言ってどう返していいか分かりません。
「ハッ!遂に未成年に手出す気かよ女たらし!」
「今日の夕飯抜きにしますよカノン様。」
「スイマセン。」
…カノンって馬鹿なんだね。
「よければお名前をお教えいただけませんでしょうか。」
「ヒナタ…で…す。」
「ははは。そんなにかしこまらなくても良いですよ。私の事はジルクとお呼び下さい。と言うよりため口でお願いします。敬語など慣れていませんので。」
良かったぁ…ぶっちゃけ敬語なんて性にあわないんだよね。
ホッとしているとジルクがカノンに言う。
「カノン様」
「あ?」
「この方…ヒナタ様が選ばれたのですか?」
「ああ。間違いねぇよ。奴らもヒナタを狙ってきた。」
…なんの事だろう?
「ここでは何ですので城にいかれてはどうでしょう?」
さっきまでの真剣な顔は何処へやらニッコリ笑いながらジルクが言った。