第十四話◇
「…つかれたぁぁぁ。」
あれから何時間くらい歩いたんだろう。
私はもうヘトヘトだった。
「弓道部のくせに体力ねぇなぁ~。」
「うるさいっ!」
ケタケタ笑う火音に怒鳴る。
それとこれは別!
「あと少しなんだから踏ん張れよ。」
そう言って火音は前を指差した。
するとさっきかなり遠くから見えていた街がかなり近くまでになっていた。
「あ、そうだ日向。」
思い出した様に火音が言う。
「なに?」
「これからお前自分の事『ヒナタ』って言えよ。俺も『カノン』だから。」
「へ?何で?」
「こっちの世界ではそーゆーもんなの。」
「へー。」
まあ別にそこまで変わってないしいっか。
そこからさらに歩くと…
「おお!門!」
龍になった時のカノンくらい大きい門があった。
でも…
「ねぇ…カノン!」
「あ?」
「何か怖そうな人がいんだけど…」
「あー…あいつらなー」
カノンの何倍の大きさの大男が二人門の横に立っていた。
「ただの門番だからそこまで怖え奴らじゃねぇよ。」
ニシシとカノンが笑う。
そしてそのまま門の方向に歩いていく。
「よっ!」
カノンがいきなり大男の二人に声をかける。
それにしてもよっ!って…
「「……。」」
唖然とした顔の大男の二人。
カノンと私を交互に見て目をパチクリさせる。
ちょっとおもしろい…。
「「カノン様がお帰りになられたぁぁぁ!!」」
突然大声をあげる二人。
「あー…うるせぇー。」
カノンがうんざりという表情で呟く。
………ちょっと待ってください。
カノン…様?
もしかしてカノン偉い人だったり?
いやナイナイナイ。
「「カノン様がお帰りに…!」」
「うるせぇよ!!」
…なんなのよー。