ご挨拶
ご挨拶
お初にお目にかかります。あるいはお世話になっております。小説家の深川我無と申します。身内との駄文極まりないやり取りを掲載いたしましたことをおわび申し上げると同時に、少し説明を加えさせてください。
メールの差出人、僕を深川くんと呼んでいたのはかなり遠い親戚――いわゆる再従兄弟の従姉妹にあたる人物で、櫻子という女性です。
自由人と言いますか、とんでもなく破天荒な人で、ふらりと何処かに消えたかと思えばバツを二つもこしらえて東南アジアから帰ってくるような人で、親族からはとっくに縁を切られています。
それが幸いしたというか、不幸なことにと言うべきか、その判断が難しいところではあるのですが、訳あって親類縁者と縁を切った僕がやり取りをする唯一の血縁者でもあります。と言っても、血縁と呼べるのかも分からないほど遠い親戚なのですが。
何故に彼女が青森に行ったのかは現段階では予想もつきません。ですが彼女の性格から推し量るに碌でもない理由に決まっています。ならばせっかく怪奇じみた連絡を寄越してきたので嫌がらせの意味も込めてホラー小説のネタにしてやろうと思い立った次第です。
怖くなければ彼女のせい。面白くなくても彼女のせいです。ですから今後罵詈雑言の類はすべて、彼女に向けていただきますようよろしくお願いいたします。




