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迷宮入り2


 掲示板の投稿を読み終えた僕は大きく息を吐いて椅子に体重を預け直しました。

 新たな謎が増えるばかりです。

 悪いことにその謎は黒闇の濃度を濃くしているように思えます。

 その時、家の中の犬たちが突然大声で鳴き始め、僕は思わず椅子の上で飛び跳ねました。

 来客かと思い外に出てみてもそこには人の気配がありません。

 訝しく思いながらも部屋に戻ると、オヨメがパソコンの前に立ってじっと画面を覗き込んでいました。

「新しい小説?」

 オヨメは感情の籠らない声でそう言いました。

 ええ。これは怒っています。

 ヤバい案件に相談も無しに首を突っ込んでいるのがバレたのですから当然と言えます。

 オヨメはとんでもなく鋭い勘の持ち主ですから、あの掲示板の投稿を見て何かを感じ取ったのでしょう。

 僕は正直に櫻子の話を打ち明けました。

 話している間中、オヨメは何も言いません。つまり凄く怒っています。

「というわけなんですけど……」

 そう言うと、オヨメは大きなため息をついてから口を開きました。

「あのね? 危ない取材をする時は相談してからって約束だったよね?」

「はい。仰る通りです。ゴメンナサイ」

「はあ……櫻子ちゃんが神隠しにあってるなら、やっぱり相当ヤバいじゃん……」

「うん。だから巻き込まないようにしようと……」

「それ! わたしが巻き込まれなくてもあなたまで消えちゃったら嫌だって言ってるの!」

「はい……」

「それで? 櫻子ちゃんの居場所の手がかりは見つかったの?」

「いえ……まだ何とも……」

 オヨメは再び大きなため息をついてから、僕をジト目で睨んで言いました。

「何か分かったらわたしにも共有して。それと、その投稿、多分本物」

「やっぱりそう思う?」

「うん」

 

 〝くくりく くくるき くくらよ〟

 〝みみずち みみずち みみずち〟

 

 四文字の羅列が三組というこの以外に共通点はありません。

 それなのに、こんなにも同質の嫌悪感を呼び覚ますのは、きっと本質が同じだからなのでしょう。

 その本質が、おそらく櫻子氏の居場所に繋がっています。

 だとすれば、さらに調べるしか道はありません。

 

 僕はオヨメと共に更なる迷宮の奥へと足を踏み込むことになってしまいました。

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