第1談
「退学…?」
「うちの学園、単位制だろ?足りないんだよ単位。それにうち留年ないしさ」
パソコンの打鍵音とマウスのクリック音だけが響いている。
この爺さんは無事卒業できたら殴ってやると決めた。
「単位位欲しいか?」
「…くれるんすか?」
「特別課題を終わらせたらな」
沢井先生が俺に出したのはプリントではなく。
「箒?」
「ああ、屋上の掃除。これが君に出す特別課題だ。」
◇
なぜこの俺が屋上を掃除せねば行かんのだ。
…一年の時に不登校だったからだ。
しかたない、この学校は自称進学校。意地でも俺を退学させたくないらしい。
俺は沢井先生から貰った屋上へ続くカギをドアノブに刺す。
「…ん?」
おかしい。鍵が閉まっていない。
前任のお掃除担当が閉め忘れたのだろうか。
俺はそれを気にも留めず、そのまま開ける。
開けた途端、強い風が襲い、倒れそうになる。
目をつむりつつ、恐る恐る屋上へ出ると、そこには誰かがいた。
誰かというのは、ピントが合わず、人であること以外は分からなかったからだ。
目を凝らし凝視すると、少女がこちらを見ていた。
その顔は儚げで。
その風貌は端麗で。
けれど、その瞳は冷酷で。
きっと、実写版白雪姫があれば、真っ先に主役に抜擢されるのだろう。
「あの…どなたですか?私になにかありますか?」
髪を棚引かせながら彼女は言った。
これが俺とこいつ、平ノ宮との出会いだ。




