Day 6 また今度
脱走に必要なことは全て揃った。あとは脱出をするだけだ。
「…暇だな。」
お楽しみタイムまで何もすることがない。藍雨は暇を持て余していた。魔王城内はどこも同じような景色なので飽きていた。
「なあ、暇だからしりとりしようぜ。」
珍しく起きていたタチツで暇つぶしをしよう。いくらアホでもしりとりが出来ない奴はいない。
「りんご」「ご当地ラーメン」「…ンジャメナ」「納豆ご飯」「なあ、しりとりって知ってる?」
しりとりを教えていたら日が暮れた。魔王軍は強いが教育についてもう少し考えるべきだ。魔王軍にゃ学校も試験もなんにもない。
お楽しみタイム、いやもはや脱走チャンスがきた。またも同じように藍雨を逃がす。
「もう手馴れたもんだなあ。ほらよ、お前らが書いた黒歴史ポエムだ。」
「で、階段は下っと。出口は噴水のあるこっち側。…あのスライムなんか着飾ってるな。」
「よし、久しぶりの外だな。水色ばっかり見てたから空が変な色に見える…。」
「念の為入口をそこにあった木の板で塞いでっと。よし、完璧だ!これで自由だー!」
「待て。」
魔王サシスが外からちょうど帰ってきた。素手では歯が立たない。
「ぐはあっ!くそっ、あと少しなのにっ。」
「あと少し?そうだ!」
「くらえっ!究極魔法っ!ウルトラスーパーデラックス最強究極アルティメットエクストラスペシャルダイナミックミラクルアンビリーバボーキャノンッ!」
牢屋の外に出たので魔法が使える。もともと魔王討伐に来たので魔法の威力は十分有効的だ。
「ぐわああっ!こんなっ、小学生みたいな呪文にっ!」
「よしっ!今のうちだ!」
「あばよ。次来る時は討伐してやるからな。」
近くの人間の城に帰る。
「よお。久しぶり。どこ行ってたんだ?」
「心配したぞ?」
「べっ、べつにあんたなんか居なくたって困ってないんだからっ!」
「あれ?おまえら、殺されたはずじゃ…?」
魔王に殺されたと思っていた絵尾、柿苦、家来が城で普通に食事している。
「はあ?あたし達が死ぬわけないじゃん!信用してないってこと!?信じらんない!」
家来の様子を見るにみんな元気そうだ。逃げ出そうとした柿苦は気まずそうだが。
「じゃあ…どういうことだ?」
「あたしがワープ魔法をとっさに使ったの!結構危なかったけどねー。」
「なんで俺は置いてけぼり?」
「この魔法は3人乗りなのよ。それにあんたなら何とかすると思ったし。」
「ワープ魔法に人数制限なんかないわ!」
「てゆうか、助けに来てくれよ!」
…ちなみに城に帰ってきて1番驚いたのは仲間に会えたことではなく壁が白いことだった。
敗北勇者の脱走計画日記 完
次は何書こうかな。
もう少し長文書いてみたい。