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(2巻出ます)新米魔女の異世界お気楽旅 ~異世界に落ちた元アラフォー社畜は魔女の弟子を名乗り第二の人生を謳歌する~  作者: 三毛猫みゃー


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第60話 魔女、砕く

「エリー!」


 吹き飛ばされた私にカルロが抱きつき受け止めてくれた。火龍山で戦った獣人の少女に吹き飛ばされた時と同じように、空気のクッションを作って止まれば良いのにといわれそうだけど、ほら私も一応女の子だしたまには守られたいって思ってもいいと思わない?


 うん、ごめんなさい冗談です。ただ単に普通に着地できそうだったから、カルロに受け止められたのが想定外でした。


「カルロありがとう。それよりもなんで降りてきたの? ここは危ないよ」

「勘です。僕たちも加わったほうがいいと感じましたので」

「そっか、勘なら仕方ないね。それとそろそろ下ろしてほしいかな」

「あっ、すみません」


 お姫様だっこの状態から下ろしてもらう。セーランが頬を可愛く膨らませながらこちらをじーっと見てくるけど、とりあえず気が付かないふりをしておこう。

私たちの前ではアーサとリリが黒い煙を警戒するように見ている。


 さてどうしたものかなと見つめていると、アルダとベルダを包んでいた黒い煙が収束し始めた。収束し始めた煙がどんどんとアルダとベルダがいた辺りに吸い込まれていき消えた。


 煙が消え去った場所にはアルダとベルダの姿はなく、代わりに高さが私の三倍ほどある大きな骸骨が姿を表した。その骸骨は頭が二つ、腕が四本、その巨体を支えるためなのかかなり太い二本の足。


 そしてその骸骨の胸元には、ヒビだらけになっているが、一回り大きくなったダンジョンコアがあった。二つの頭蓋骨の眼窩には感情らしきものは伺えず、ただ赤い光をともしているだけだった。


 そこにはアルダとベルダの意思のようなものは感じられない、そのせいかダンジョンのモンスターと同じような作り物のように見える。


 四つの腕のうち二つの手にはアルダとベルダが持っていた杖が握られている。そして残り二本の手にはどこからか現れた槍が握られていた。骸骨と呼ぶのもなんだし仮称としてアベルダとでも呼びましょうか。私のネーミングセンスには期待しないでもらいたい。


「さてと、カルロは何か作戦でもある?」

「とりあえずはあのヒビが入っているダンジョンコアを攻撃して壊したらいいと思うのですが。先程の魔術はもう使えないのですか?」

「一応試してはみたのだけどあっさり見破られてしまうみたいだから使っても意味がないかな。まあ、あそこまで壊れているなら普通に攻撃したら割れるとは思うけど」


 試しに魔法を設置してみたのだけど、あっさり見つかって腕の一振りで魔法が消し飛ばされた。魔法が無理なら魔術でどうにかするしか無い。それに今いったように、あそこまでボロボロなら一発殴れば壊せると思う。


「とりあえず攻撃してみましょうか」

「ですね。アーサは僕の援護を、リリはセーランについて上げてください。セーランには僕たちとエリーのサポートをお願いします。それから何か異変に気がついたら知らせてください」


 それぞれがカルロに返事をして走り出す。カルロたちは右回り、私とリリは左回りでアベルダの背後を目指す。ある程度近づいた所でアベルダは杖を振るい魔術で攻撃をしてくる。


 核となっているダンジョンコアに残存している魔力が少ないためか、たいした攻撃ではないので余裕を持って避けることができた。そしてお返しとばかりに私も魔術を使って反撃をおこなう。


「炎の礫」


 炎をまとった礫を飛ばしてみるが、命中した場所には傷ひとつ無いように見えた。どうやら思ったよりも頑丈似できているようだ。


 私とリリ、カルロとアーサで二手に別れたのだけど、二つのドクロがそれぞれをフォローしているようで死角というものは無さそうだ。近寄ろうと思えば槍が振るわれ、少し離れれば魔術が飛んでくるという厄介な攻撃をしてくる。


 私たちは何度かアベルダに攻撃を当てているのだけど、骨どころかヒビの入っているダンジョンコアにすら傷ひとつつけることもできていない。


 普通の肉体を持った魔物なら傷をつけていけばそのうち失血などで倒せるのだろうけど、血肉がない骨なのでそういう手も使えない。ついでに骨が硬くて生半可な攻撃だと傷一つつけることができないように思える。


 このまま攻撃を続けていても体力を使うだけに思えたので、一度仕切り直すために合図を送りセーランの元まで下がる。アベルダはその大きな体のためか、移動速度は遅いようで簡単に離脱することができた。


 セーランがカルロとアーサに駆け寄り回復の祈りを捧げている。どうやらアベルダの魔術攻撃がかすったのか軽い火傷をしているようだ。


「セーランありがとうございます。それにしても硬いですね。どうやら僕たちの攻撃は全く効いていない用に思えます」

「そうですねダンジョンコア自体も硬くて、私の攻撃では壊すことはできませんでした」


 カルロとアーサがそれぞれ戦ってみた感想を話す。さすがの私もあそこまで硬いとは思わなかった。きっとダンジョンコアに残っていた残り少ない魔力を使って体を覆うように障壁を張っているのだろう。


「よし、私がダンジョンコアを破壊するから、カルロとアーサであいつの膝裏を攻撃してちょうだい。ほら上で戦ったオーガの時みたいに」

「エリーには何かあのダンジョンコアを壊す手段があるのですか?」

「まあ見てなさい、とっておきの技になるけど、気になるなら今度教えてあげるよ。それとリリは二人の援護をお願いね」

「わかりました」


 作戦は決まった。まずはカルロとアーサが走り出す。それを追うようにリリも駆け出し、その後をアベルダに気が付かれないようにゆっくりと歩いていく。アベルダはカルロ達に向かって魔術で火や水の矢を飛ばすが、うまく避けてカルロたちは更に近寄る。


 ある程度近づいた所で槍の攻撃をしてくるがそれも躱しながらカルロとアーサは足の間を抜けて背後へ回る。


 アベルダの頭が左右に動きカルロとアーサを探しているようだけど見つけられずに正面に留まっているリリへと標的を変えて槍で攻撃を仕掛けている。


 うまく背後に回ったカルロとアーサがタイミングを合わせアベルダの膝裏へ攻撃を仕掛けた。いわゆる膝カックンというやつだ。膝裏を攻撃をされバランスを崩したアベルダは、転倒を防ぐために四本の腕を地面につけてなんとか倒れずに耐えている。


「エリー今です!」


 アベルダに気づかれないように気配を消して近寄っていた私のちょうど目の前、そこにヒビの入ったダンジョンコアがあった。アベルダが私に気がついたようで片腕を振り上げ攻撃してくる。


 私は腕に魔力をまとわせてアベルダの腕を跳ね上げる。アベルダは腕が跳ね上げられたせいで体制を更に崩して肩から倒れこんだ。私は再びダンジョンコアに目をやりそれにそっと触れる。ダンジョンコアが一瞬ドクリと震えたような気がした。


『アルダ、ベルダ、あなた達の次の人生に幸多きことを願っているわ』


 ダンジョンコアに触れていた手を一度離し、勢いをつけて掌底を叩き込む。魔力を纏わせた掌底はダンジョンコアが張っていた障壁を砕き、その勢いのままヒビだらけになっていたダンジョンコアを破壊した。


 ダンジョンコアが砕けたことにより、アベルダは黒い塵となって空中へと消えて行く。すべての黒い塵が消え去った後には、砕けたダンジョンコアだけが残っされていた。それを拾い上げようとダンジョンコアに触れた時一瞬だけ風が私の頬を撫でた。


『((エリー殿、感謝する))』


 頬に触れた風からはそんな声が聞こえたような気がした。


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