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(2巻出ます)新米魔女の異世界お気楽旅 ~異世界に落ちた元アラフォー社畜は魔女の弟子を名乗り第二の人生を謳歌する~  作者: 三毛猫みゃー


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第58話 魔女、戦う

side:リリナ


「エリーは大丈夫でしょうか」

「魔術のことはわからないですけど、エリーさんは相当の魔術の使い手だと思います。ですが相手の力量がわからないのでなんとも……」

「私もセーランと同意見です。エリーの様子から問題はないように思えますし」


 観覧席まで移動してきたカルロたちがエリーについて話をしている。


「リリさんはどう思いますか」

「急にさん呼びとかどうしたの?」

「そのリリさんは父に仕えている騎士ですよね」


 どうやらバレてしまったようだ。


「どうしてそうお思いになられたのですか?」

「今の僕の立場は一介の冒険者ですから先程のように話してもらってかまいませんよ。リリさんのことに気がついたのはエリーがいっていたように違和感があったからですね。決め手は先程エリーが出した指示にためらいなく反応したからですけど」

「そっか。まあバレてしまったのならいいわ。この後のことも話し合いたいと思っていたからちょうどよかったかもしれないね。それじゃあ改めて自己紹介をさせてもらうわ。ワタシはリリナ・デルセン。カルロ様のお父君であるガラナ子爵様に仕えている騎士よ」

「リリナさんと呼べばよろしいですか? それにしても家であなたを見かけた覚えがないのですが」

「ダンジョン内ではリリでいいわ。その代わりワタシもカルロと呼ぶからね。それとワタシは裏方だから見かけたことがないのはそのせいね。小人族だから見かけは子どもだし、普段は案内人を装ってダンジョンに関するあれこれの管理をしているのよ」

「そういうことですか。それでリリはこの後どう行動したらいいと思いますか?」

「とりあえず様子見かしらね、エリー次第のところはあるけど、逃げ出すだけならいつでもできるから」


 特に閉鎖されている様子もない出口を指さしてみせる。


「それにしてもエリーって何者なのでしょうね。魔術の腕もさることながら帝国語でしたか、魔術師なら普通に話せるものなのでしょうか」

「そんなこと無いわよ。帝国語なんて王都の学者でもあそこまで流暢に話せないと思うわ」

「皆さまそろそろ始まるようですよ」


 セーランの言葉に視線を闘技場へと向ける。魔術文明が最高潮といわれていた時代の魔術師らしい二人の骸骨。それに向き合うエリー。彼女たちはお互いに杖を向けて構えている。さてと、とりあえずエリーが勝つことを願いつつもしもの場合はこの子達だけでも逃してあげないとね。



 カルロたちが観覧席からこちらを見ているのを確認して戦いの準備を済ませる。といっても、用意するのは杖だけ。使い慣れた私の身長ほどのスタッフタイプの杖。素材は魔の森のエビルトレントを削り出して作った一級品。


『準備はよろしいでしょうか』

『ええいつでも良いよ』

『それでは、我から行かせてもらおうか』


 アルダが杖を構える、アルダの杖は細くて短いワンドタイプの杖だ。昔はワンドタイプが主流だったようだけど、今はスタッフタイプが主流だったりする。


 杖の違いを簡単に説明するなら、ワンドタイプはその短さから魔術を速射するのに優れている。ただし広範囲に影響する魔術には向かない。逆にスタッフタイプはワンドタイプよりも二倍から三倍の長さがあり更に太い。


 そのために連続で魔術を使うことには不向きだけど、一度に貯めることができる魔力が多いので高威力の魔術を使うのに向いている。


 とはいっても魔術師次第で発動にかかる時間も威力も変わってくるのでそれほどきにするものでもないのだけど。ただ魔術師同士が向き合いお互い同時に魔術を使った場合、ワンドタイプのほうが有利ではある。


 仮に魔術を使うのに一秒の差しかなかったとしてその一秒が生死を分けるなんていうのは魔術師同士の戦いでは普通のことだからだ。


 ちなみに杖にはもう一つタイプがある。戦闘には向かない儀式用の杖になるのだけど、先端に魔文字が刻まれた大きな魔石を取り付けて使用する。魔石に魔力を込めることで大規模な魔術を使うのに適しているのだけど、魔術が発動するための時間がかなり長いので戦闘には全く向かないものになっている。


 そもそも魔文字の技術が廃れている現在では新たに作り出されることはないだろう。使い道が限定的すぎて作る意味が無いというのもあるけど。


『それじゃあアルダ、あなたのダンジョンコアを破壊させてもらうわ』


 その宣言にアルダの胸に埋め込まれていたダンジョンコアが反応したようで黒い光を放ち始めた。


『ふむ、まずは小手調べと行こうか』


 アルダが呪文を唱えることもなく無言で杖を振るうと炎の矢が複数生み出され私に向かって飛んでくる。私は杖を横薙ぎに振い、同じく炎の矢を作り出し相殺するように放つ。


 アルダが無詠唱なのは魔力を減らすのが目的なのだろう。あえて詠唱をしないことで呪文を唱えるよりもおよそ十番の魔力を消費することになる。


 その後は水弾、石礫、風刃と順番に打ち込んでくるので、私も同じ魔術を使い相殺する。


『ほう、思った以上の力量を持っているようだな。そろそろ準備運動も済んだであろうか。ここからは手加減なしでいかせてもらう』

『それじゃあ私も少しだけ力を出しましょうか』


 複数の属性の魔術が構築され私を狙うように打ち込まれる。私はそれを避けるようにアルダに向かって走り杖を振るって魔術を発動させる。ドリルのように高速回転をする石礫が生成されてアルダに向かって飛んでいく。背後ではアルダによる攻撃が地面に当たる音が伝わってくる。


『むっ』


 アルダが石礫を防ぐように魔法障壁を生成したようだけど、魔法障壁は簡単に砕け複数の石礫をその体に受ける。私はそのままアルダに肉薄して、杖を横薙ぎに振るってダンジョンコアに当てた。


『ちょっとそれ硬すぎじゃないかな』


 ダンジョンコア自体が障壁を展開しているようで直接攻撃を当てることはできなかった。だけど私の攻撃を障壁で受け止めたために、それ相応の魔力を消費したのが感触でわかった。


『その魔力量からして生粋の魔術師かと思えばそうでもないようだな。どうやら我一人では相手にならないようだ』


 アルダがなぜか嬉しそうに笑っている。


『ベルダよ、お前も加われ。それでもエリー殿には敵わないだろうが少しはましにはなるであろう』

『私は構いませんがエリー殿はよろしいので?』

『私は問題ないよ。二人とも相手をしてあげるわ』

『今のを見ていますと舐められているというわけでも無さそうですね』

『なんていったらいいかな? あなた達の時代は余り魔術師同士の戦いってなかった感じだよね』

『ほう、いまのでそこまでわかるものなのだな』

『それとアルダは本気をだしていないよね。まあ目的がダンジョンコアを壊すことだから私を殺すわけにはいかないのはわかるけどね。私としてはもっと本気で来てほしいかな』

『了解した。それでは我ら二人、エリー殿を殺すつもりで行かせてもらう』

『うんそれでいいよ。最後まで悔いを残さないようにね』


 アルダとベルダが並んで杖を構える。私も杖を構えて杖に魔力を込める。ここからは私もちょこっとだけ本気で行きましょうか。


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