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(2巻出ます)新米魔女の異世界お気楽旅 ~異世界に落ちた元アラフォー社畜は魔女の弟子を名乗り第二の人生を謳歌する~  作者: 三毛猫みゃー


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第55話 魔女、ボスと戦う

「そろそろ行きましょうか」

「リリも付いてくるの? 戦いが終わるまで外で待っていたほうがいいと思うけど」


 冒険者ギルドで手に入れた冊子によると、ここのボス部屋は途中で外に出ることができるようだ。そういうわけで、ボス部屋の外から戦闘だけを見ることもできるらしい。ダンジョンによっては一度入ってしまうと戦闘が終わるまで出られないところもあるらしい。


「自分の身くらいは守れると思うので、ワタシも一緒にはいりたいです。その、一人だけここに残るのも怖いので」


 そういわれてしまうとおいていくのも可哀想にもおもえる。


「そうですね。それではリリ、危ないと感じたら外に逃げることと、セーランのそばから離れないということが守れるのならついてきてもいいですよ」


 どうやらカルロもリリを一人置いていくのもどうかと思ったようで、条件付きで私たちと一緒にボス部屋に入ることを許したようだ。


「セーランはリリを守ってあげてください」

「わかりました。リリ、わたしのそばから離れないでくださいね」

「はい、よろしくお願いします」

「それじゃあ行きます。前衛は僕とアーサが引き受けます。それからセーランは先に祝福をお願いします。エリーは遠距離の相手と僕らを抜けていった敵の対処をお願いします。最後にリリはセーランから離れずに何かアリましたら大声で知らせてください」


 カルロの指示に頷いて返す。


「それでは皆さまに祝福を。風神よ、我らに祝福をお与えください」


 セーランは目をつぶり胸元で両手を組み呪文を唱えた。セーランの呪文に反応するようにどこからともなく洗われた光の粒子が私たちに降り注いだ。ただ、その光の粒子は私だけを避けている。どうしてそうなっているのかは私が魔女だからとしかいえないのだけど、そういうものなので気にしていない。


 祈る姿を解いて目を開けたセーランだけは何か違和感を覚えたようで首を傾げている。ただその場面を目にしていないため、何がおかしいのかはわからないようだ。ちなみに風神の祝福の効果は身体能力が少し上がるというものになる。簡単にいうと、身体強化が少しだけかかるといったものになる。私は祝福を受けたことがないので実際どれくらいの効果なのかは私にはわからないのだけど。


「皆さん準備はいいですか?」


 カルロがボス部屋の扉に触れると、その扉はギシギシと音を立てながら開き始める。開いていく扉の間から中を覗いてみると、かなり広い空間が広がっているのがわかる。その空間の奥には十匹のゴブリンに五匹のオーク、そして一匹のオーガが待ち構えていた。


「それでは行きます!」


 開ききった扉からカルロとアーサが中に走り出す。それにセーランと私が続いて最後にリリが扉を通り抜ける。私は弓を持つゴブリンに魔術を放ち一撃で倒す。私が一瞬のうちに倒したゴブリンアーチャーの数は六匹。ゴブリンは残り四匹となった。


 アーサは盾を前に突き出しながらゴブリンの集団へと飛び込んでいく。ゴブリンと接敵するとやつらに対して槍で連続突きを叩き込んだ。そして残ったゴブリンはカルロが一撃で倒している。


 続いて近づいてきたオークに対して私は魔術を放ち三匹のオークを倒す。残りの二匹のオークはカルロとアーサが一匹ずつ倒している。最後に残ったオーガは配下があっさりと倒されたにもかかわらず歩み寄ってくる。


 オーガは赤銅色の肌に二本のツノを生やしていて、私の三倍ほどの身長を持つ筋骨隆々の怪物だ。手には幅広のバトルアクスを持っている。本来オーガというものはシルバーランクのパーティで戦う魔物に分類されている。


 だけどこのオーガは今まで出てきた魔物と同じで感情のようなものは持っていない。そのため私から見ても本物のオーガとは見劣りする。


「最後はあのオーガですね」

「そのようね。今までの戦闘を見た感じだと問題ないでしょう。だけどオーガは自己再生を持っているから油断しないようにね」


 カルロは頷いて返すとオーガに向かって走りだす。


「アーサ、僕は左から行きます。右は任せます」

「了解だ」

「セーランはそのままリリの守りを。もし怪我などした場合は癒やしをお願いします」

「わかりましたわ」

「エリーは魔術で援護をお願いします」

「わかったわ」


 オーガはダンジョン特有の魔物らしく叫ぶこともなく、バトルアクスを振り上げカルロめがけて振り下ろす。カルロは素早く左へステップを踏むように避けると、そのまま流れるように攻撃を加える。


 右側に回ったアーサはオーガの脇腹に槍を突き入れる。オーガは槍が刺さったまま身を起こすとアーサに向かってバトルアクスを横薙ぎに振るおうとする。私はそれを邪魔するようにオーガの顔を狙い魔術を放つ。


「水弾」


 飛ばしたのはただの水の玉だけど、邪魔をするという目的には適している魔術だ。手に平ほどの大きさがある水の玉は顔に当てることで弾けるため、とっさに目を閉じたとしても拭わない限りまともに目を開けることができない。


 そのためオーガは視界が防がれたために、やたらめったにバトルアクスを振り回しはじめる。そこへアーサが背後に回りこみ、膝裏へ槍を突き刺した。それによりオーガは前のめりに倒れ膝たちになる。そこへカルロが駆け寄り一太刀で首を切り飛ばした。


 キラれた首は地面へ落ちコロコロと転がったあと黒い霧となって消えていった。それに続くようにオーガの体も霧となり消えた。


 カルロとアーサの実力なら、ダンジョン産のオーガ一匹くらいはこんなものだろう。私の援護すらいらなかったと思う。そんなカルロとアーサがハイタッチをしながら戻ってくる。


「お疲れさま。良い連携だったよ」

「エリーも援護助かりました」

「みなさんって本当にアイアンのパーティですか? エリーさんはシルバーとのことですが、カルロさんもアーサさんもシルバーでも通じそうな動きでしたよ」

「僕もアーサも幼い頃から両親に鍛えられましたからね。オーガ一匹くらいでしたら問題ないです。それにダンジョンの魔物は少し弱いのかもしれませんね」


 他の国の場合はどうなのか知らないのだけど、この国の貴族はすべからく冒険者を経験している。そんな両親の元で育った子どももいつかは冒険者に一度はなる。そのことを前提にして幼い頃から鍛えられているのだろう。


 それがこの国の貴族の常識で、カルロとアーサがここまで戦えている理由というわけだ。


「それでリリ、終わりでいいのよね?」

「そのはずですけどおかしいですね。たしかボスを倒せば出口の門が出てくるはずなのですけど……でませんね?」


 とりあえずオーガが持っていたバトルアクスや他の魔物の持っていた武器を回収しておく。リリがいう通りならとっくにダンジョンから出るための出口が出てきているはずだ。それが起きないこの今の状況はカルロの勘と何か関係があるのかもしれない。


 ただのイレギュラーなのか誰かが意図して今の状況を作り出したのかはわからない。入ってきた入口を見てみるとまだ開いたままなので、出口が出てこないのならあそこから入口へ戻ればいいだろう。リリの話では入ったときはランダムで出る場所が決まるようだけど、戻る場合の出口は固定れているので場所はわかっているようだ。


 ドロップアイテムを全部収納ポシェットにいれて休憩のために座っているカルロたちに合流しようとしたところで、突然私の背後で魔力が収束するのが感じられた。それを感じると同時にカルロたちのところへたどり着き、彼らに背を向けて魔力の収束場所に目を向ける。するとそこにはいつの間にか穴が空いていて下層に続くと思われる階段が現れていた。


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