表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/17

2 朝

 ブルア、時間だ、起きろ」

 そう言うのと同時にパパがカーテンを開けた。

 眩しい朝日が顔に射す。

 朝は嫌いだ。毎朝どうしてこんなに眠いんだろうと、ぼくは思う。

「よく、眠れたかい?」

 パパが、ぼくのベッドに腰かけて言う。

「うん、でも、もっと寝ていたいよ」

 ぼくは、布団に半分顔をうずめて、目をこする。

「わかるよ」

 パパが、同情するように、感情をこめて言った。

「パパも、お前ぐらいの時は、いつまでも眠っていたいと思ったものさ」

 パパは笑って、ぼくの頭に手をのせた。


 ぼくが、朝食のレーズンパンを、ほおばっている時も、パパは忙しい。

 洗濯をしたり、かたずけをしたり。お風呂やトイレの掃除も、毎朝欠かさずにきちっとする。

 だから、この家はいつも清潔で、きれいに整えられている。

 パパはずっと前から、なんでもきちっとするし、きれい好きだったらしい。

 ママはよく、パパがきれいにしてくれるから、本当に助かるって、よく言っていた。

 ぼくの家は、きれいに片付いているけれど、どの家もそうじゃないことは知っている。

 友達のアルフの家は、いつも、ママがいるのにきれいじゃない。流しには、使ったカップやお皿がたまっているし、テーブルやチェスト、ソファーの上にまで、いろんなものであふれている。

 アルフのママは、ちょっと、ふとっちょだけど、優しくて、おもしろくて、ぼくは好きだ。それに、アルフの家には、ゲームもまんがもいっぱいある。

 けれど、アルフの家にはあまり長くいたくない。

 早く自分の家に帰って、きれいなソファーで、ゆっくりテレビを見たり、本を読んだりしたいと思う。

「早く食べないと、時間がないぞ」

 ぼんやりしているぼくに、パパが言った。

「うん、わかってる」

 ぼくは、豆のスープをすくって口に入れた。

かむと、ふにゅっとつぶれる豆の、歯ごたえが嫌だ。味はそう悪くはないんだけれど。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ