11 クリスマスプレゼント1
昨日は、学校の終業式だった。だから、今日から待ちに待った冬休みだ。
それで、ぼくは昼下がりの商店街を、一人で歩いている。
パパには本屋にいく、と言って出て来たけれど、本当の目的はちがう。リエドのクリスマスプレゼントを買いにきたのだ。
クリスマスシーズンの商店街は、今年もにぎわって活気づいていた。どのお店もクリスマスの飾り付けでにぎやかだ。
ぼくは、雑貨店のショウウィンドウをのぞいた。お目当てのスノードームがあるのを確かめてから、店の中へ入る。この店の前を通るたび、あれだと思っていた。
店に入ると、いろんなスノードームが並んでいる。雪だるまや、サンタクロース、もみの木。
ちょっと、迷ったけれど、リエドはやっぱり、建物のスノードームが好きそうなので、
最初から決めていたスノードームを買った。
パパのスノードームより、だいぶ小さなスノードームだ。値段の関係でそれが、丁度よかった。
球の中に入っているのは教会ではなく民家だけど、小さな木も植わっている。イヌとかトリとかが入っていれば、もっとかわいかったかもしれないけど、まあ、これでも十分いいと思う。
アパートに帰ると、駐車場に止めてあったパパの車がなかった。パパはもう会社にいったのだ。
ぼくは急に、ウキウキしてきた。パパが会社に行ったことが、うれしいと思ったのは初めてだ。
ぼくはスキップでもしたい気分で、アパートの階段をのぼった。
早く暗くなればいいのに。今夜はリエドがアパートに、遊びに来る日。
クリスマスにはちょっと早いけど、クリスマスプレゼントを渡そうと思う。次に会えるのはたぶんクリスマスの後だから。それに、うれしいことは、早くてもいいと思うし。
リエドがスノードームを楽しそうに、ながめるのが想像できる。
ぼくは一人でにやにやした。
外は、もう真っ暗になっているのに、リエドはまだやってこない。ぼくはそわそわして待っている。時計を見ると。針は六時をさしていた。
まだ、寝ているのかな。でも、薄暗くなったら目が覚めるって言っていた。
もしかしたら、わざと遅くきて、ぼくをじらしているのかもしれない。いたずら好きのリエドが考えそうなことだ。
ぼくがリエドをお墓に迎えに行ってもよかった。けれど、冬の間は、夜にお墓に来ない方はいいとリエドが言った。凍え死にしてはいけないからって。
それで、リエドがここへくることになったけど、週に一回だけなんてつまらない。ぼくは毎日来てくれてもいいと思っているのに。
ぼくは落ち着かなく、玄関とリビングをいったりきたりした。
玄関のベルがなったのは、それから、三十分が過ぎてからだった。
「どうぞ、お入りください」
ぼくはそう言うのを忘れなかった。
プレゼントは帰り際にわたそうと、決めていた。
「おそかったね」
「そう?」
リエドはソファーに深く座り、ぼくの顔を見て笑った。
ぼくたちはトランプをして遊んだ。遊び方を知らないリエドにぼくは教える。
「まず最初に、四枚ここに並べるんだ。そして、その下にまた、四枚」
ぼくはカードを表にむけて、八枚おいた。
「ほら、これ、上のカードと同じ数字だろ。そしたら、同じ数字のカードを、とって、あいたところをつめていく」
ぼくはカードをずらした。
「それから、また、同じようにカードを並べて。ほら、このカードととなりのカードが同じ。これを取るんだ」
「へえー、おもしろい」
リエドは他に合っているカードがないかと、探した。
「これと、これって同じでしょ」
リエドが指をさした。
「あっ、うん。合ってるね。それを取るんだ。やってみる?」
うん、と言ってリエドはカードを取って、横においた。
ぼくは、持っていたカードを、リエドにわたした。
リエドはうれしそうに、つめたカードの空いたところに、カードを並べた。
リエドは飽きることなく、何度もゲームをした。ぼくは途中、眠くなって、ソファーで居眠りなんかしたけれど、リエドはよっぽどおもしろかったのか、休憩もせず、やりつづけていたみたいだった。
何度目かのゲームでやっと、全部のカードがなくなった。
「ああ、おもしろかった。トランプっておもしろいね」
リエドがため息まじりに言った。
「他にも、トランプでちがう遊びができるよ」
「ほんと? 他のゲームもしてみたいわ」
「いいよ。じゃあ。何をしょうかな」
ぼくがトランプをくった。
「でも、今日はやめておくわ。こんな時間だし、もう帰らなきゃ」
リエドが時計を見て言った。
「えっ、もう、帰るの?」
九時前だった。早い時間じゃないけれど、遅い時間じゃない。子供が遊んでいる時間ではないけれど。
「うん」
リエドが立ち上がった。
ぼくはまだ、リエドと遊びたかった。パパは夜中まで帰らないし、明日も休みだし、これからも休みなのに。




