第15話 人気者の秀才
前回の続きになりますが、2着ばかりの「シルバーコレクター」で有名なのがステイゴールド。
対して3着ばかりの「ブロンズコレクター」がナイスネイチャといった評価が、一般的には多いと思います。
今回は、ナイスネイチャの話。
確かウマ娘でも、ネタになってましたが、「ナイスなネーチャン」という、昭和のオヤジギャグではなく、Nice Nature(素晴らしい素質)という意味が、馬名の由来。
生涯成績は41戦7勝。G1は一つも勝てず、G2は1991年の京都新聞杯、鳴尾記念、1994年の高松宮杯(後の高松宮記念)、G3は1991年の小倉記念に、それぞれ勝ってます。
ただ、3歳(現在の2歳)でデビューしてから、9歳(現在の8歳)まで、とにかくよく走りました。
すごいのは、34歳になった今でもまだ存命なこと。2022年4月時点で、存命中のJRA重賞勝ち馬の最長寿記録を更新しています。
馬の平均寿命は25〜30歳と言われているので、超長寿な馬です。
さて、ウマ娘で一躍有名になった気がするナイスネイチャ。
成績を見ると。新馬戦も含めて、1着が7回、2着が6回、3着が8回、4着が5回、5着が1回。ちなみに後ろの方だと10着が1回、13着が1回、15着が2回。
41回も戦って、この成績なので、決して「弱くはない」のです。
実際、古馬になってから「ジリ脚」(他馬を一気にかわす瞬発力に欠け、ジリジリと伸びるが、入着止まりが多い)と評されましたが、実は4歳時に勝った、小倉記念や京都新聞杯で見せた、豪快な末脚は、「豪脚」とか「剃刀」と言われていました。
同世代には、あのトウカイテイオーを始め、安田記念や天皇賞で勝ったヤマニンゼファー、ツインターボ、スカーレットブーケ(ダイワメジャー、ダイワスカーレットの母)もいたのに、ナイスネイチャは、獲得賞金額では、トウカイテイオーに次ぐ6億円超を稼いでます。
さらに、1991年から1993年まで3年連続で有馬記念で3着に入ってます。
トウカイテイオーという「天才」に対する、「秀才」がナイスネイチャだと個人的には思うほど。
まさに、名前通りの「素晴らしい素質」はあったのです。
もっとも、度重なる怪我に泣かされ、それによって成長を阻害されたとも言われています。
ただ、ファンからは非常に人気があった馬で、厩舎にファンが来たり、激励のファンレターや千羽鶴が送られてきたとか。「ナイスネイチャの一生懸命な姿に励まされる」という内容が多く、アイドルホースだったと言われています。
2004年に競馬会が企画した広報誌の中で、1980年代から2000年代の「名バイプレーヤー」投票で1位を獲得。
さらに2017年4月16日。29歳のナイスネイチャの誕生日に「バースデードネーション(誕生日の寄付)」をナイスネイチャの所有者である、引退馬協会が開始。
ちょうどその頃から、ウマ娘がアニメになり、認知度が再上昇していたことが幸いし、毎年募っているうちに、2021年には目標額の200万円を1日で達成し、1週間後には10倍の2000万円、最終的には3500万円を超えてしまったとか。
いや、オタクの力は凄まじいというか、みんなよく金あるな、と思うんですが(笑)
まあ、とにかくナイスネイチャ以上に活躍した馬なんて、他にいくらでもいるんですよ。
ただ、なんかこう一生懸命に頑張ってる姿に惹かれてしまうのは、きっと日本人のDNAに刻まれたサガなのかもしれません。
ある意味、「記録より記憶」に残る馬ですね。
最後に。高松宮杯がG1の高松宮記念になったのが1996年からですが、それまで2000メートルだったのが、この年から1200メートルになっているので、仮にナイスネイチャがもう少し遅く生まれても、結局、G1の高松宮記念は勝てなかったでしょう。