96話
「これも無人機という物の一種なのですか?」
「分類的にはそうだな」
ぶっちゃけル〇バだよなこれ。
一応ゲーム内での名前は自動掃除機。
そのまんまな名前だが、ちゃんとした掃除機ではあるのだ。
とは言っても、ゲーム内では掃除機として使われることはないのだが。
大体は納品依頼の時に作るか、部屋を作る時におしゃれアイテム扱いで置くくらいか。
だがしかし、この世界では違うのだ。
なんと普通に動く。
なので家と基地内全ての掃除はこいつらに任せてある。
ゲーム内では無かったことだが、放置すると埃溜まるからな。
「真ん中のボタンを押すと動くから押してみ」
「で、では」
ごくりと唾をのみこんでからフィアが恐る恐るボタンを押す。
すると、軽快な音楽が鳴ると同時に部屋の中を動き始める。
「こ、これだけで掃除が済んでしまうのですか?」
「まぁ大体は。気になる人は細かい所をささっとやるくらいか?」
現実でもそんな感じだったしな。
ちなみに俺の実家でも存在はしていた。だが家には誰かしらいるので結局使われてない悲しい子になっている。
俺も自分の部屋はとかは細かく掃除してたから要らなかあったんだよな。
「家もこいつらがやってますよ。時々キイナさんが水拭きしてますけど」
「・・・これは、常識が変わりそうですね」
「あー。まぁこの世界だとそうなるか」
「はい。掃除と言うのは、大きなお屋敷であればあるほど時間が掛かりますから」
リアの屋敷の場合、それだけで一日の業務が終わってしまう使用人もいるほどだとか。
当番制とは言え、やはり人気の無い当番ではあったようだ。
だがこいつがあればあっという間に掃除が終わる。
まぁ広い屋敷だと数は必要だろうが。
「ちなみにこれって売れるか?」
「間違いなく」
「まぁだよな」
実はリアに話を聞いた時から考えてはいたのだ。
あいつは主に食べ物を期待していたようだが、俺が気になったのはそちらだ。
こちらが商売として売れる物として考えた時に、あちらに売れるのは俺の技術になる。
その技術の中で、兵器ではなく生活に役に立ちそうな物を考えるとこれが出てきた。
実際それは当たりなようだ。
フィアの反応を見れば良く分かる。
今も追いかけるように掃除された後を確認しているし。
「んでお前の眼から見て掃除出来てるか?」
「・・・ほぼ完璧ですね。これはお安いのですか?」
「俺の持っている物の中だと安いな。何せ大した物使ってないし」
それこそ今基地で採れている資材があるなら万単位で製造が可能なレベルだ。
難しい構造も無いし、あるとしたら充電が問題はくらいか。
だがそこも解決さんが既にあるのだ。
「これ見てみ」
「これは・・・魔石ですか?魔力が無いようですが」
「ちょいと違うな。これは人口魔石だ」
「・・・は?」
ふむ。まぁこの反応は当然か。
何せ俺は生物の器官の一部を人工的に作り上げたと言ったのだから。
俺のいた世界には当然こんなものは存在しない。
だがこの世界では、魔石を持つ存在が普通にいるのだ。
人間にはない器官だが、それでも確かに存在する。
「まぁ元々、魔石の機能に関してはコピーがとっくに出来てたんだよ」
俺がやったのは、それを人工的にただの石に付与することだ。
コピーについてはナノマシンやらの方で既に使われている機能だ。
「で、では。これは元々はただの石だと・・・?」
「そうなるな。その辺で拾った物に機能を付与した」
元は本当に普通の石だったのだ。
だがそれが面白いことに、機能を与えたとたんに色が変わったのだ。
魔石は属性ごとに色が変わるが、これは白くなった。
だがフィアが言った通りこれは魔力が抜けている。するとそれは、透明な石へとさらに色を変えるのだ。
この石で出来ることはそこまで多くない。
本当にただの石なので、魔力を溜め込むことは出来るが大した量は溜められない。
そして一度に吸収出来る魔素の量も多くない。なので魔力を生み出す量も多くない。
だがしかし、石ころと施設さえあれば好き勝手に魔石を生み出せるということでもある。
「これなら、魔道具にぴったりだろ?」
「なるほどその為に・・・ですが、魔道具の魔石は勝手に魔力を補充することは出来ないはずですが」
「そう。そこは俺も疑問だったんだよ」
魔道具は、魔石を嵌めこんでそこに魔力を流すことで稼働する。
または魔法陣に魔力を直接流して動かすかの二択。
前者は予め魔力を溜めておくことで、使用時には魔力を消費しなくていい。
後者は魔力さえ自分が持っていればいつでも使えるという、それぞれに利点である。
でもこれは本来おかしいのだ。
何せ魔石には、魔素を取り込んで魔力を生み出すと言う能力があるはずなのだ。
つまり魔石さえ搭載してしまえば、自分が魔力を使う必要が無くなるはず。
「じゃあなんでそれが無いのか。答えは簡単だった」
魔石は確かに魔素を吸収できるが、魔素を吸収しようとする行動自体を行わないのだ。
魔素を吸収したいのなら、別の何かからその行動を促してもらう必要がある。
「ここでその行動を促しているのは?」
「・・・魔石を持つ生物ですか?」
「正解」
だがこれは意識して行われているわけではない。
呼吸の様な物と言えば分かりやすいだろう。
「当たり前に行っていることで、特に意識はしてない」
「なるほど。それでしたら納得がいきます」
「逆にこれは意識して行うことも出来るってことにもなるんだが・・・これは後でだな」
だが魔道具に搭載された魔石は生きていない。つまりは呼吸を行わない。
結果、魔素を吸収しなくなるということだ。
「とまぁこんな感じ」
「素晴らしいです。こんな話は聞いたことがありません」
「だろうな。そもそも調べるための物がたりないだろうし」
「ですが、そうなると一つ疑問が湧きますね」
「人間がどうやって魔力を持つかか?」
「はい。人間には魔石がありませんから。当然私にも」
「だな。まぁ実はこれに関しても分かっている」
「なんと」
これの解明に使ったのは俺自身の体だ。
まぁそこまで大きく削ったわけではない。精々指の皮をナノマシンに食べさせたくらいだ。
だがそれでも面白いことが分かったのだ。
「人間の体は、それ自体が一種の魔石の様な機能を持っていたんだ」
「体が・・・ですか?」
「ああ。フィアは、体の一部が欠損した人間の魔力が減ったって話は聞い事があるか?」
「あります。竜国の兵士がそういうことになったと聞いたことがあります」
「だろうな。腕が無ければ腕分の魔力が無くなるってわけだ」
ちなみに人間の肉体の中で最もその機能が高かったのは心臓だ。
時点で頭・・・というか、多分脳みそだな。
これはまぁあんまりお見せ出来ない方法で判明したから細かくは言わないが。
「フィアは魔力が人間に宿っている理由は何て教わった?」
「魂に魔力は宿ると教わりました。だからこそ、魔力の量はそこまで増やせないのだと」
「うん。それも分かるな。俺は魂云々は解明できないけど」
十分にある話だろう。てか、魔法の世界ならそれが普通なのかもな。
恐らく魔力の総量が減るのも、死にかけたことによる魂の欠損とかそのあたりかな。
「まぁ話は逸れたが、俺のこの人工魔石は呼吸を行うことも出来る」
「それはつまり・・・」
「そうだ。こいつを使った魔道具は、理論上は無限に使うことが出来る」
「・・・夢の様なお話です。今まで聞いたことがございません」
「ふっふっふー。そうだろそうだろー」
実はこの研究。俺的にはかなり一押しの研究だったりする。
他にも同時に色々やっているが、これが一番実用性が高い物だと思ったのだ。
魔道具に関しては初めから分かっていたが・・・人間と魔力の関係が分かった時に更にある考えが浮かんだ。
「そ、それは一体」
「単純に言うと、人間の体の代わりを作るってことだな」
「・・・まさか」
「そう。腕や足を失った人間に代わりを作ることで、魔力すら元通りにすることが出来る」
言うならば、『魔法式自動義肢』ってところか。
これの良い点は非常に軽いことだ。
通常義肢はどうしてもある程度重くなる。だがこれは細かい部分を無視していい。
魔石さえはめ込んでしまえば、後は魔法陣を書き込むことで終わってしまう。
「勿論構造自体は考えないといけないだろうが。まぁストレングスギアの応用が効くだろうからあんまり問題じゃないな」
「・・・」
「ん?どうした?分からないところがあったか?」
「・・・こ、言葉も出ません。これは一個人が扱う話では」
「だろうな。これは文字通り世界の常識を変えるレベルの話だ」
「こ、この技術も。竜国に・・・?」
「何個か試作品作って、リアと相談かな。ちょいと流石にデカすぎる問題だしな」
この世界には魔物がいる以上、それとの戦いで体の一部を失う者は多いだろう。
そんな彼らの未来は、この世界は暗い。
何せ保険なんてものは無い世界だ。失ってしまえば、捨てられる。
そんな人間達にとっては、大きな希望になるだろう。
だがそれと同時に、とてつもない危険をはらんでいる。
軍事目的の技術が医療に活かされるのはよくある話。
そして、それは逆もまたしかりなのだ。
「何せやろうと思えば、人間自体をまるっと置き換えることも出来る」
「それはっ」
「性能は人間より高く、そして壊れにくい・・・良い兵士になるだろうよ。間違いなく」
・・・まぁ、俺が言えた事ではないのかもしれないが。
何せ俺の体・・・ランナーの体がまさにそうなのだから。
いや、それよりはるかに質の悪いかもしれんな。俺たちの体は
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