93話
「もうちょっと生えてきてますね!」
「うーん。流石といったところ」
流石ダイジュナの力の影響を受けただけある。
再現品とは言えここまですぐに影響を出せるとは。
「後は放っておいてもいいんだが・・・それだとミロカウたちもいい加減狭いだろうしな」
「そうですね。でもこれ以上早く出来るんですか?」
「実は出来たりする」
ミロカウたちは俺に正面からの力比べで負けたことで大変大人しくなっている。
だから俺が用意した狭い小屋の中でも割と元気に過ごしてたりする。
だがそれでもずっと狭いままってのはあれだろう。
なので今回は特別にあるアイテムを使う。
「これ」
「緑の液体?ポーションですか?」
「あるのかポーション・・・」
もちろんポーションではない。
見た目は良くある植物に刺す栄養剤みたいな感じ。
実はこれ課金アイテム。『促進栄養剤』
こいつを植物に使うと、なんとあっという間に育つのだ。
本来は納品クエスト用の加速アイテムなんだが、多分こんかいは使えるはずなのだ。
理由としては、これがナノマシンを使った物だからだ。
普通に俺が植えただけとかだと使えなかっただろうが、ゲーム内の物であるナノマシンがメインであるのならば行けるはずだ。
まぁそもそもナノマシンを植物の成長に使うなんてないってのは言わないお約束だ。
「んじゃこれ刺そうか」
「お手伝いします!」
「頼むわ。垂直に刺してくれ」
斜めにする必要はないのだ。
一定の距離感で『促進栄養剤』を刺していく。
大体10mくらいの感覚だな。目印は先にクロウが点けてくれているのでノームやニンフ達でも出来る。
まぁどこぞのリーダーはまだ寝てるけど。
『・・・アウ?』
「」(ムキー
「zzz」
「何してんだあいつら」
「さぁ・・・?」
俺の頭の上からクロウの上に移ったらしい。
だがクロウの精霊が怒っているから多分勝手に乗ったなあれ。
「てか、お前ら金属平気なのか?」
「大丈夫ですよ?私は大好きです!」
「ああ、そういう感じ?」
そこは精霊と違うんだな。
凡そ『促進栄養剤』を刺し終えると、更に見た目に大きな変化が起きる。
薄っすらと緑が見えてくる程度だったのが、一気に芝生手前くらいまでになる。
「ここでナノマシン停止!」
「え?止めちゃう?」
「おう。ここで止めないと育ちすぎるからな」
俺が作りたいのは芝であって草むらではない。
ミロカウはそれでも食べてくれるから綺麗になるそうだけど。
ここまで作れば、後は柵を用意すればいい。
柵は持ってきた物を並べるだけだから簡単簡単。無人機に任せても問題ない。
ちなみにこの柵は村人数人が作ってくれた物だったりする。
村で暇してた女性陣に頼んだら魔法でささっとやってくれた。
お礼は俺の持っているこの世界に無いお茶菓子とか色々。
無人機が綺麗に柵を並べていく。
その様子を見ていると、ノーム達が少しおかしな動きをし始める。
どうやらうずうずしているようだ。
「・・・憑依してきていいぞ」
「本当ですかやったー!!」
「「「「おおー!!」」」」
「まぁ遊びすぎないように・・・行っちゃったよおい」
「元気ですねぇ」
「お前らは呑気だな?」
「ニンフはこんなものですよ?」
「・・・それモルナの影響出てないか?」
「・・・否定は出来ないですねぇ」
イアは金属が好きだと言っていたが、どうやらノーム全体がそうのようだ。
思い出してみると、始めの時から普通に採掘機に憑依してたっけ。
あれは特に変わった物は使ってないからダメな精霊は触るのも駄目なはずなんだけどな。
無人機の持つハンマーが柵を叩く音が響く。
少し離れたところでは、俺とニンフたちが出来たばかりの芝に寝転がる。
何とものんびりとした時間だ。
「・・・ついでにミロカウ達も出すか」
「じゃあお水場作りますね。よいしょっと」
「頼むわ。後モルナも起こしといて」
「はーい」
ある程度策も出来たし、ミロカウたちに住処をお披露目と行こう。
一緒に持ってきておいた一際デカいカーゴの中。その中に全部入っている。
「ほれお前ら外だぞー」
「「「「「モー」」」」」
見た目の強さに対して声はめっちゃ普通だよな。
だがめっちゃいい子で、俺が言うまでは外に出ようともしない。
それだけ知能が高いと言うことだろう。
ぞろぞろと引き連れて芝まで戻ってくる。
すると柵に綺麗に覆われ、ぱっと見大規模な牧場の様になっていた。
「いや速いわ」
「わ~ミロカウだ~」
「おおモルナようやくちゃんと起きたか」
「ミルク飲める?」
「まだ無理だけど、もう少ししたらな。フィアが何とかしてくれるだろ」
「ん~?僕も出来るよ?」
「はい?お前ミロカウのお世話出来んの?」
「前に習ったんだぁ」
「それは普通に驚きだな」
何でも今みたいに精霊亜種達で固まって旅をする前に習ったらしい。
流石長生きなだけある。
「じゃあフィアの事手伝ってやってくれないか?
あいつも初めてとか言ってたし」
「ん~・・・じゃあミルクすぐに飲んでいい?」
「いいぞ。それは仕事をする人の特権だからな」
「じゃあやる~」
「寝坊するなよ?」
「・・・ナーちゃん」
「自分で起きてください」
「えぇ~」
起きれる自身はないのか・・・あ、ナーちゃんってのはずっと俺に謝ってたニンフのことね。
「てかイア達はどこ」
「あそこ~」
モルナの指さす先で無人機たちが追いかけっこしてる。
柵を設置し終えてからなら遊んでいいって判断か。まぁいいんだけどね?
「てかお前らはきに・・・いねぇ」
「ミロカウならもうあっちいるよ?」
「どいつもこいつも自由すぎんか?」
おかしいなイアは普通とか言った気がするんだけど気のせいだったか。
ミロカウたちも久しぶりに外にでたからかすぐに奥まで走って行って草を食べ始めている。
ふむ。促成栽培だから何かあるかなとは思ったが大丈夫みたいだな。
「美味しいのか?」
「聞いてくる?」
「聞けるの?」
「なんとなく~」
「・・・とりあえずいってみてくんない?」
「わかったよー」
ふわぁ~という擬音が聞こえてきそうなくらいにふわっとミロカウたちの所まで向かうモルナ。
うんまぁ・・・物は試しっていうしな。
「実際の所分かるのか?」
「半分くらいは分かるみたいですよ?」
「ほんとあいつどうなってんの?」
「さぁ・・・?」
他の亜種達と出会った時からあんなんらしいし・・・本当にどうなってるんだろうな。
力も並みの精霊より上で、あの様子だと色々知識もあるのだろう。
性格は極まったのんびりやだからあんまり目立たないが、恐らく他のリーダーの子と比べても際立って能力が高いはずだ。
だがダイジュナとかは特にこいつを見て何も言わなかったしな。
「本人に聞いても答えてくれないんですよねー」
「寝ぼけてるとかではなく?」
「・・・否定は出来ないなぁ」
「どんだけだあいつマジで」
まぁ聞かないといけないことじゃないからいいんだけどさ。
「ところで、もう牧場完成ですか?」
「いやまだ。後はミロカウたちが雨を避ける為の小屋を作んないと」
「ああなるほど。それは僕らじゃダメですね」
「流石にな。木を切って運ばないといけないしな」
ドライアドが成長すれば出来るらしいが、うちの子はまだ赤ちゃんだし、そういう労働はののかに怒られそうだ。
なのでこればっかりは俺だけでやらないといけない。
まぁ無人機に憑依させれば出来るっちゃ出来るんだろうけど。
「・・・むしろノーム達は誘った方がいいか?」
「喜びそうですね」
「お前らはそこまで楽しくないか?」
「うーん。そうですね。偶にやる分には面白いんじゃないですか?」
「あーそう言う感じ」
「あ、でも水車に登るのは好きですよ!」
「水の流れを感じるからか?」
「そうですね。後宿舎に作っていただいた噴水に巻き込まれるのとか!」
「そういう目的ではないんだがな?」
楽しんでくれているならいいのか・・・?
とりあえずノーム達に小屋建設手伝うか聞いてみるか。
あれは基地の建設メニューから選ぶだけだし、その建設用の無人機に憑依してもらえばそれでいいし。
「稼働中の大工無人機に通信」
『繋ぎます』
『・・・あ、はいはい。何かお仕事ですかコウ様』
「これから小屋作るんだけど、お前らどうするかと思ってな」
『やります!!!』
「んじゃ頼むわ」
『みんなまだ操縦してていいってー!』
『『『『『よっしゃ!!!』』』』』
「本当に好きなんだな」
改造されてない無人機だけど、俺の機体ではあるからここまで喜んでくれると嬉しいな。
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