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90話

俺以外のランナーの存在。

非常に気になるところではあるが・・・まだ探るべきではないだろう。

リアとの関係の事もあるし、この調子だとダイジュナ達も何かしらしってそうだしな。


「キイナさん達は何してる?」

『地上部一階のリビングにいます』

「ん。戻ってきてたか・・・俺も休憩がてら戻るか。調査だけ出来る限りで進めててくれ」

『了解いたしました』


リアの頼みであるハイドラのダメージ調査も終わったから、他の事もやらないとな。

ミロカウのための土地の整備とか、フィアの事を基地の亜種達に紹介するとか。


ミロカウたちの方は、今はサーベスを近くに降ろして簡易バリケートで覆った場所に降ろしている。

その場所は元々別の事をするために開けておいた土地だが、まぁ合って良かったわ。


「おかえりなさい~」

「あ、コウ様。お疲れ様です。お茶飲みますか?」

「貰います」

「キイナさま、それは私が」

「フィアさんは座ってて下さい。この家では私のお仕事ですから」

「まぁそうっすね。どうせ明日から働くんだから、今日はゆっくりしときな」

「そういうことでしたら・・・」


フィアを基地に送るのは明日。

今日は帰ってきてハイドラの調査でつぶれると思っていたからな。

予想は的中で、めっちゃ時間かかったわ。


ああそうだ。念のためにレギアスの事を聞いておくか。


「フィア。聞きたいことがあるんだが」

「はい。何なりと」

「リアの事なんだがな?昔のあいつの知り合いの話って聞いたことはあるか?」

「昔の・・・ですか?」

「ああ。俺が流れ人なのは知ってるよな」

「はい。リア様からお聞きしております」

「んで、同じ流れ人で、俺の知り合いが昔リアと仲が良かったみたいなんだよ」

「・・・申し訳ございませんコウ様。リア様はあまり昔のことはお話にならなかったので」

「あー・・・じゃあ仕方ないか」


話したくないのか、話せない理由があるのか。

だがフィアが聞いてないってのは本当っぽいな。

これでは聞きようがない。まぁ元々そこまで期待していたわけじゃないんだからいいんだけどさ。


「お待たせしました~」

「キイナさんありがとう・・・ん?これ冷やした方ですか?」

「はい!私の自信作ですよ!」

「ほお」


では早速・・・おお、味が濃い。

前に飲んだのも確かに美味しかったが、これの方が絶対的に美味い。

何と言うか、甘みが増して柔らかい味わいが強くなっているんだ。

だが鼻に抜けてくる匂いは全く変わっていない。一体どうやったんだ?


「美味しいですこれ。どうやったんですか?」

「コウ様が教えてくださった、水だしこーほーって言う物の方法を試したんです」

「ああなるほど」


確かにいくつかゲーム内の中の情報を纏めた物を置いてたっけ。

多分サーベスの中で暇な時間で読んでいたんだろう。


「フィアさんも良ければどうぞ!」

「いただきます・・・これは!」

「美味しいですか?」

「はい。とても美味しいです。コウ様の家には冷やす魔道具があるのですね」

「あ、魔道具ではないんですよ」

「え?ですがこれは」

「コウ様の持ち物のこれを使っているんです!」

「これは・・・ただの箱に見えますが」

「これはですね」


キイナさんが楽しそうにフィアに家の中を紹介している。

俺の家の中は当然だけどこの世界の普通の家とは全然違う。

利便性は絶対こちらの方が上だが、その分フィアには色々覚えることが多いだろう。

冷蔵庫はそこまで難しくないけど、レンジとかあるしな。


「こ、これの中に入れてここに触るだけで物が温まるのですか・・・?」

「はい!電子レンジです!」

「・・・コ、コウ様」

「はい?」

「これらの品は・・・私が働く場所にもあるのですか?」

「ここより大量にありますけど」

「」


俺がそう答えるとフィアは固まってしまった。

魔道具より手軽に、便利に使えてしまう道具がたくさんあることに驚いていたのだろう。


「ぶっちゃけここよりハイテクだからなぁあっち」

「そうなんですか?」

「まぁフィアの行くような場所には危ない物はないですけど」

「・・・他の場所には?」

「割とたくさん」

「・・・が、頑張ります」


お、始めてフィアを見た時のおどおどしている感じに戻ってきたな。

昨日のことだがきりっとしてるフィアに慣れると懐かしい感じもするな。


「どっちが本当のフィアなんだ?」

「な、何の話でしょうか」

「いや、俺がリアの屋敷で初めてフィアを見た時に怯えてたじゃん」

「え?コウ様何かしたんですか」

「してないです」


何もしてないのでお願いですから冷たい目を向けないでください。

キイナさんに事情を説明して、何とかその目を辞めてもらう。


話をちゃんと聞いたら、キイナさんも納得してくれたようで。


「心が読める・・・やっぱりフィアさんはすごいんですね!」

「い、いえ。私などとてもとても」

「んで?どっちが素なんだ?」

「うっ・・・あ、あの時はコウ様に初めてお目にかかるというのもありまして」


更に俺の魔力。そして考えていることも相まって怯えていたようだ。

だから素はどちらかと言うと今の方がそうらしい。

元々丁寧な性格で、俺のせいでああなっていたと・・・あれ?結局俺が悪いなこれ。


キイナさんの冷たい視線が戻ってくる・・・やめてくださいそれは俺に効きます。


「コウ様」

「はい」

「あまり女性にそういった目を向けるのは良くないと思います!」

「はいすいません」


何も言い訳出来ない。


「で、ですが仕える上で覚悟はしておりますので!」

「コウ様?」

「何も言ってない!!」


リアから預かっているみたいな形だから何もしません誓ってしません。


「あ、でも聞きたいことは結構あるかも」

「・・・」

「・・・変な事は聞かないので」

「一応私も聞いてますね?」

「はい・・・」


いかん完全に疑われているわ。


「いや・・・フィアの角と尻尾のことなんだけど」

「・・・これは?」

「あ、特に大丈夫です」

「良し」


本人からセーフ判定もらえたからいいでしょう。


「特に尻尾の方って、何故にドラゴンっぽいんだ?」


リアの話だと、魔族と言うのは本来は尻尾が無いらしい。

あるのは角のみで、その角ことが魔族の誇りでもあるらしい。

だがフィアには角だけでなく尾もある。それが少し不思議だったのだ。


フィアに許可をもらい、キイナさんに見張られながら尻尾を触らせてもらう。


「リアのとあんまり変わんないな」

「あ、あのコウ様。そのように触られると///」

「コウ様?」

「ごめんなさい」


根本は駄目らしい。


そして尻尾のある理由だが、これが結構驚きの理由だった。


「母親が魔族、父親がドラゴン?」

「はい。竜国でも珍しいのですが」

「ハーフ何て・・・あの、よく反対されませんでしたね」

「ん?種族が違うと反対されるんですか?」

「あ。私たちエルフとかはあまり気にされないんですが・・・」

「純粋な血が最も良いという考えの種族があるのです」

「それが魔族?」

「いえ竜の方です」

「竜が?」


うーん・・・まぁ分からない話ではないか。

ドラゴンはそれ自体が強い存在。他の弱い種族の血が混ざることで、その力が衰えることを嫌がるのだろう。

だがフィアの父親はそんなことを全く気にしない竜だそうだ。

リアともかなり長い付き合いのある竜で、面と向かって逆らえる者は少ないんだとか。

それもあってか、陰では何か言われているかもしれないが直接何かを言われたことはないそうだ。


逆に魔族は一切そういうことは気にしない。

街に出れば、魔族らしき角を持つ人間は結構見かけるんだとか。


「角が無いと魔族ではない?」

「そうですね。その場合は相手方の種族であると言うことになります」


これだけ聞くと魔族が角の無い連中を差別しているようにも聞こえるが・・・


「その・・・角で判断しないと魔族が多くなりすぎるので」

「ああ」

「そんなに多いんですか?本ではそんなことは書かれてなかったですけど」

「純粋な魔族と言う意味では間違いございません。大体は他の種族の方と結ばれますので」


これは魔族自身が、あまり一つの土地に定住しないことが原因らしい。

それなら納得だ。

旅する中で、様々な種族に出会い結ばれる。

それを何世代も繰り返していたら、気が付いたらこうなっていたと。


「ちなみにフィアの親って今何してんだ?」

「今は王都で働いております。父は一応貴族の一員なので」

「ふーん・・・ん?」


今フィアは何て言った?


「貴族?」

「はい。父がそうです」

「・・・何故に使用人?」

「コウ様の世界では珍しいのですか?」

「え?」


低い階級の貴族が、上の貴族に娘を使用人として差し出す。

これは結構良くあることなんだとか。


いや、これは俺の世界にもあるから知っている。

だけどそれは・・・


「王家の話じゃないかそれ?」

「リア様ですから」

「どんだけ偉いんだあいつ・・・」


屋敷で働いていた他の人たちも大体そういう貴族の娘さんなんだとか。

何でも花嫁修業的な事も兼ねているらしく、能力が高くないと仕えることが出来ないと競争率も高いらしい。


「え、てかなのにうちに来て良かったんですか?」

「リア様のご命令ですし、自分に仕えるより良い経験が出来ると」

「いやぁどうだぁ・・・?」


何かこれハードル上がったな?

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