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88話

「では、また何か必要になったら言うがよい」

「分かった。だけどいいのか?こんな高そうな物貰って」

「よいよい。いずれにせよ、こうして遠距離で会話するための物は必要だろう」


リアの屋敷で昼食を頂いた後、フィアの支度が終わったのを確認して帰ることにならなかった。

実はフィアが俺に仕える云々の話を聞いたのは俺が来る数日前。

そのせいで、微妙に屋敷内での仕事の引継ぎなどが終わっていなかったのだ。

大したことではないから、やらなくてもいいとは言われていたが、俺も別に急いでいるわけではない。

そんなわけで、その日だけ結局泊ることになったのだ。

とは言っても、他に面白いことはなく普通に寝ただけなのだが・・・ああ、でも夕飯がめっちゃ豪華だった。始めてみたよ、豚の丸焼きがドンとテーブルに乗ってる姿。


だが滞在時間で言うと一日程度。しかし収穫はきちんとあった。

少しだけ街の方も見てみたいというのはあったが、まぁキイナさん程優先することもない。


そして帰り際、リアにある魔道具を貰った。

一見するとただの水晶玉。だがしかし、これが驚く機能を備えていた。

制限はかなりきついが、なんと距離を一切考慮せずに遠くの相手と会話できる物なのだ。

ここで注目したいのは『距離を一切考慮しない』と言う点。


俺の持つ通信技術でも、設備さえあれば可能だろう。

だがしかし、この水晶玉はこれ一つあるだけでいい。

制限と言うのも、連絡を取り合う為には互いの水晶玉を予め触れさせないといけないと言うこと。

そしてもう一つは、使用できる人間が限られている事だ。先に使用者の登録をしないといけない。

この水晶玉は、俺とフィアのみが登録されている。キイナさんにも登録するか聞いたんだが断られた。


つまり、一度は直接会う必要がある、誰でも使えるわけではない、それ以外に制限らしきものは存在しない。

使い方も単純で、繋ぎたい相手を考えながら水晶玉を触ると勝手に相手の方に繋がるのだ。

これがただの水晶玉一つに収まっている機能なのだから、恐ろしい物だ。


ちなみにこれは二つ貰っている。

村にある俺の家に置く用と、基地に置くようだ。

基地にはフィアさんが常駐する予定だ。そのフィアのために、リアが一つ余分にくれたのだ。

まぁリアも時々はフィアと話したい時があるだろうよ。


「んじゃ。こっちも色々用意が出来たら連絡するわ」

「うむ。首を長くして待っておるぞ」

「あんま焦らせんなよ」

「はっはっは。何、10年単位で待たせなければ何も言わんよ」

「・・・それもそれで感覚が違いすぎて怖いな。

 あ、そうだ。あれの件は出来るだけ早い方が良いんだよな?」

「出来るだけで良いが、そうだな。早めが良いな」

「分かった。じゃあ帰ったらすぐに取り掛かるよ」

「すまんな。では、コウ、キイナ殿。また遊びに来ると言いぞ」

「はい!色々ありがとうございました!」

「フィアも、コウの元で職務に励むのだぞ?」

「かしこまりました。リア様」


こうして、この世界での二か国目の訪問が終わった。




















そして再び二日の空の旅を終え、凡そ四日ぶりにエルフの村に帰ってきた。


「じゃあ私はフィアさんをお父さん達に紹介してきますね」

「お願いしますー」


先ずはフィアを村長に紹介することに。

これは何故か。

フィアは確かに基地に常駐する、俺のメイド。

だが村に顔を出さないかと言われるとそう言うわけでもない。

俺に用がある時や、何かの用事で来ることは結構多いと思っている。

だからこそ、その時に問題が起きないように先に顔合わせだけしようとさせようと思ったのだ。


本来なら俺も一緒についていくべきなのだろうが、残念なことに、先にやらないといけない事がある。

それは・・・ハイドラのことだ。


ハイドラはリアの魔法で小さくなり運ばれてきた。

それは既にフィアにサイズをある程度戻してもらっている。

・・・そう。ある程度だ。元のサイズではこの村にある俺の施設には入り切らない。

というか、基地の方にも入らないサイズなのだ。

ハイドラを調べたいのに、それでは全く調べられない。


そこで試しにとフィアに聞いてみたところ、戻すサイズはある程度自由に出来るらしい。

勿論フィアは小さくする方は出来ないので、一度大きくするとそれ以上小さくは出来ないが。

それでも大変ありがたいことだ。おかげで地下に普通に運び込めた。


「んじゃま、早速色々確認するかね」


俺がフィアの挨拶を後回しにしたのには、当然俺の趣味以外の理由もある。

リアに頼まれたことがあるからだ。


ハイドラが、一体どういうダメージを受けているかを調べてくれという頼みを。

随分と変な頼みだなとは思った。

だがまぁリアも貴族なのだ。将来同じような敵が現れた時の事を考えているのかもしれない。


「施設内の全機能をこっちに回せ、何一つ見落とすなよ」

『了解いたしました』


地下の施設の電気が一斉に落ちる。

光があるのは、今俺がいる場所だけ。


ここは本来は機体のメンテナンスや、手に入れたパーツの調査をする場所だ。

そこを全部使用して、今からレイドボス機体『ハイドラ』の調査を行う。

ゲーム内ではレイドボスは調べられない。そもそも、パーツのひとかけらも手に入らないからだ。

だからこの施設も、『ハイドラ』の調査には役に立たない可能性がある。


しかし、この世界は現実としてあり。これらの施設も存在している。

故に文字通り全力を使っての調査をするのだ。


『機体名『ハイドラ』・・・調査開始』

「内部スキャンも同時に行うぞ」

『了解いたしました。内部構造の解析を開始』


モニターに次々と情報が流れてくる。

まだ調査してすぐだと言うのに、呆れるほどに多い情報量だ。

装甲だけ見ても、全く知らない素材で出来ている。恐らく加工方法も俺の知らない未知の物だろう。


「少し削りたいな。切れるか?」

『加工用カッター起動』


上から丸のこぎりの形をしたカッターが降りてきて、翼部分の先を切り始める

どんな硬度の装甲でも、時間さえかければ切れるとんでもカッターだが・・・


『カット終了予測時間。残り5時間』

「長いわ!!」


そこまで待ってられるか。

この加工用カッターで切れば、装甲の性能を落とさずに解体することが出来る。

切るだけなら、それこそ俺のストレングスギアの武器でいいのだ。

だがそれだと劣化するし、最悪全く意味のない塊になりかねない。


むぅ。どうせならこれで切りたかったが・・・仕方ない。今は諦めよう。

それは寝ている時にでも回しておくか。


「カット終了!それは夜!」

『了解いたしました。耐久実験は行いますか?』

「やらんでいいだろうよ。アホほど硬いのは分かってるしな」


それに頼まれたのは今のハイドラのダメージだけだ。

いやん欲をかかずにそちらを優先しよう。


「穴の開いた部分からダメージの予測を立てろ」

『了解いたしました』


ジェネレーターがあったであろう場所には大きな穴が開いてある。

そこをカメラが入っていき、そのまま調査が始まる。

中の映像は、俺のモニターでも確認が出来る。


「・・・当然だけど、見たことないわな」


パーツの一つ一つを見ても見たことのない物ばかりだ。

何となくどれがどのような役割なのかはわかる。

だがどうしてこの形なのかが全く分からないのだ。これの方が性能が良いのだろうか。


「ふむ・・・写真だけ撮って、後で複製かな」


試してみるのは大事だろう。

うーん。それにしても非常に面白い構造だ。中にある螺子一つ見ても面白い。

倒されてから千年は経っているはずなのだが、全く劣化が見られない。

それどころか、まるでつい先日作られたかの様な輝きすら見える。


破損している部分さえ隠せば、普通に動き出しそうなくらいだ。


「・・・マジでそんなに前の話なのかこいつは」

『接続端子を発見しました』

「お。繋いでくれ。直接見てみる」


どうやらキクヒメが『ハイドラ』の接続端子を見つけたようだ。

接続し、そこから内部の情報を探る。

すると、面白いことが分かった。

いや、リアにとってはまるで面白くないことかもしれないが。


「・・・中心部に元からダメージがあったみたいだな」

『別の戦闘でのダメージかと思われます』

「だろうな。ふむ・・・ん?これってパイルバンカーでのダメージか?」


『ハイドラ』は、どうやら戦闘していた対象の武装情報も蓄積していたらしい。

それによると『ハイドラ』は確かにリアの前に別の何かと戦っているのが分かる。

その敵が何か。完全には情報がないのであくまで俺の推測になるが・・・


「超近接型・・・それもほぼ特攻型に近いストレングスギアだ」


驚き・・・とは思わない。俺がいるんだ、この世界に俺以外のランナーがいてもおかしくはないだろう。

それにしても、随分と無茶をするやつだ。

『ハイドラ』相手に特攻型とは、勝ちを完全に捨てているとしか思えない。


特攻型とは、その名の通り特攻を行うための機体だ。

敵に取りついての自爆や、高火力を押し付けたりと。とにかく近づいて最大火力を叩きつける機体のことだ。

そして当然。帰りは考えていない。

叩きつけて倒せないなら負ける。倒せれば勝ちと非常にシンプルと言えばシンプルな機体だ。

だが使いこなすのは難しい。俺は結局作ろうともしなかった。


情報を更に漁ると、俺の推測を確信づけるデータばかり出てくる。

パイルバンカー。近接ミサイル。バーストバリア・・・間違いないな。


「後は実際の戦闘の映像とか残ってたらなぁ」


そこまであれば、もうちょい色々調べられたんだがな。

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