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85話

アスピドケロンから無影を装着した状態で飛び降りる。

下に降りる間に、センサーで相手の正確な数を調べる。


『計36体。うち一体がリーダー個体を思われます』

「あのデカいのだな。こっちに気が付いてるな・・・まぁいいか。フィア!」

「お任せください」


地面に脚が着く少し前に速度が落ちる。

フィアが魔法で、俺の落下速度を軽減させてくれたのだ。

これのお陰で、一々アスピドケロンを下に下さなくて済む。いざって時にすぐに離脱出来るからな。


「じゃあサポート任せたぞ!」

「ご武運をお祈りしております」

「キクヒメ!全武装をスタンモードに切り替えろ」

『了解しました。全武装スタンモード起動』


これでどの武器で攻撃しても殺せなくなった。

理由としては俺自身に襲い掛かってきているわけではなく、偶々この時期にここを通るだけと言うことだ。

俺の事情で邪魔だからちょいと寝てもらうだけで、殺すつもりはない。


それにリアからも止められたしな。

こいつらは結構大事なモンスターらしく。討伐は止めて欲しいとのこと。

何でもこの一帯の土地のバランスを守っているらしい。

何のことかは分からなかったが、まぁ大事なのは分かったからそれでいい。


「さて。あっちの動きは?」

『リーダー個体と他の個体との間に、魔力のラインを感知。

 恐らく警戒態勢に入られたと』

「意思疎通をそれで行っているのか・・・意図的なのかそうじゃないのかは気になるが」


確かに全部こっちを向いているな。

まぁ構わんか。運動性能の確認も兼ねて・・・突撃だ。


「ファントムリッパースタンバイ」

『ファントムリッパー。レディ』

「機体周辺で浮いとけ。後ろから来たら頼む」

『了解いたしました』


ジャックナイフを構え、一気に駆け出す。

それと同時に、こちらを見ていたダイヤウルフも反応してくる。


特に分かりやすいのがリーダー個体の反応だ。

こちらを睨み、その青い目が光った。


『魔力に寄る干渉を感知』

「もう来たのか」

『機体に異常なし。戦闘継続可能』

「良し。上手くいっているな」


フィアの魔力膜による防御は上手いこと機能しているみたいだ。

後は何も気にせず・・・


『魔力反応感知。下です』

「おっと!」


俺に直接攻撃は効かないと分かったのか、即座に地面に干渉してきたようだ。

俺のいた場所から、水晶の棘が飛び出してくる。

だがキクヒメの反応が速かったから、俺は飛び出してくるより前にそこを離脱している。


「そういやこんなのもあるわな」

『他の個体からも、同様の反応を検知』

「あらあら激しいことで」


続々と地面から水晶の棘が生えてくる。

その中でも、リーダー個体攻撃は速いし大きい。

徐々に水晶で草原が覆われてくるが、その全てを回避しながら接近を続ける。


するとそれも無駄だと判断したらしい。

今度は水晶で壁が出て来る。

俺を接近させないように、作戦を変えてきたな。


だったら


「アンカー!」

『水晶壁上部に射出』


水晶はかなりの硬度のようだが、アンカーの先がしっかりと引っかかる。

壁の上に引っ掛けたアンカーを高速で巻き取り、一気に壁に近づいていく。

上に掛かったアンカーが巻かれることで、俺は一気に壁を乗り越えることが出来た。


その瞬間に、壁の向うから水晶が飛んできた。


「あっぶね!?」

『攻撃パターン登録』

「言ってる場合か!」


ジャックナイフで撃ち落とす。

何とか無事に地面に着地は出来たが、今度は再び地面から水晶が生えてくる。

休む間もなく、次々に攻撃が飛んでくる。

なるほど、確かに厄介だ。それに伝説になるような人物の話に出てくるのもうなづける。


恐らく意思疎通が魔力のラインで出来ているのも本当だろう。

さっきからあいつら、一度も鳴いていない。

獣であるのならば、鳴き声でそれを行うものと思ってたが。

だがまぁこっちの方が効率は良いだろうな。恐らくだが、相手の動きには隙が無い。

全員が意思を共有していることで、今の様に攻撃を切らさないで俺を狙えるというわけだ。


だが残念なことに・・・


「基礎スペック不足かな」


様子見はここまででいいだろう。














フィアは、ダイヤウルフという魔物が十分に強い個体であると言うことを良く知っている。

何せ魔族である自分達ですら油断ならないのだから、平凡の域を出ない者達ならば適わないのも当然だと。


今回新しく仕えることになった主。

その主は、確かに魔力の量は多い。共に屋敷に来たキイナさまも十分に魔力をもっていたが、あの方はそれ以上。

純粋な量では、自分ですら超える魔力を持っている。

だがいかんせん、流れ人だけあり魔法への理解がまだ浅い。

ダイヤウルフと戦うのなら、体を魔力で覆うのだけでは不十分なのだ。

本来ならば、自分を含めた周辺の空間一体を魔力で封鎖するようにしなければいけない。

その情報は、あえて教えられなかったようだからこそ、フィアも黙っていた。


そしてそれを知らない主は、自分が手こずっていたら手を貸せと言った。

フィアの想定では、そこまで待たずに自分が動くことになるだろうと、そう思っていた。


この光景を、一体誰が想像出来ただろうか。


目の前で、あのダイヤウルフがただの人間一人に圧倒されている。

それも彼らの得意とする水晶の魔法をほぼ全面的に使えている状態でだ。


手に持つ剣で払い、突き、砕く。

そうして水晶を取り除き、時には飛び退いて回避しながらどんどん距離を詰めていった。

そして遂に剣の間合いにダイヤウルフたちが入る。

だが剣は振るわず、曲芸師かのようにダイヤウルフ達の上や横を駆け回り始めた。


「これは・・・」

『どうだ。奴は強かろう』

「リア様。あのお方は一体」

『はっはっは。どうやらお主のお眼鏡にもかなったようだな』

「お話に聞いていた以上です。あのお方は紛れもなく貴方と同格です」

『だろうな。あれで本当にただの人なのだから恐ろしいことだ』


この状況を、リアは分かっていた。

そしてダイヤウルフの情報を中途半端に教えたのも、フィアにきちんとコウという存在を認識させるためだった。


コウは確かに、ゲームの中に出てきたパワードスーツという超化学の武具を持っている。

だがコウが強いと言われたのは、それだけではないのだ。

本人に自覚は一切ない。ただコウは、勘が異常に鋭いのだ。

それも戦うの時のみ発揮される、戦いの才能。

初見の攻撃でも、無意識のうちに頭の中にそれを想定している。

だからこそ不意打ちはまともに通用せず、一度見た攻撃では決定打にならない。


現に四方八方から来る水晶の攻撃を、センサーがあるとはいえそちらを見ずに回避しきった。

そして今も、ダイヤウルフたちをもてあそぶかの様に動いている。


『分かっただろう?お主を奴の元に送る意味が』

「はい。あのお方の元に下手な者は送れません」

『そうだ。いくら奴に価値があると言っても、普通そこまでの人物は送らん』

「ですが、あのお方は別」

『何せ放置していたら、あの災厄を起こしかねない人物だ。

 そのための能力はあるし、何より勤勉だ』

「瞬く間に、さらなる力を得るでしょうね・・・ですが、よろしいのですか?」

『ん?何がだ』

「私があの方に魔法をお教えすることです。

 警戒するべきならば、それは止めた方が良いのでは?」

『んー。逆だよフィア。お主が教えることに意味がある』

「意味・・・ですか?」

『おう。お主ならヘタな物は教えないだろう。禁忌とされる魔法とかな』

「・・・なるほど。確かにそれでしたら私が適任ですね」

『そういうことだ。かつて天災と呼ばれた魔族よ』

「昔の話です」

『ハッハッハ。そうかそうか・・・で?それ抜きにした時、あやつは仕えるに足る主かな?』

「・・・実力と、亜種達を受け入れたことから、凡そ十分かと」

『残りは後で判断か。厳しいのぉ』













「・・・全く、面白いやつだよあいつは」

「リア様~。お茶請けの甘いものなんですけど何が良いですか?」

「む?いくつかあるのか?」

「はい。チョコもありますし。クッキーやケーキ・・・大抵ありますね」

「むぅ。見たことのない物ばかりだ」

「でも材料はどこでも手に入る物ばかりなんですよね。砂糖は別ですけど」

「なんと。あー・・・やはりフィアを送っておいて正解だったなぁ」

「コウ様なら、聞けば教えてくれると思いますけど」

「甘いぞキイナ殿。あやつのことだ。もっと色々甘味を知っているに違いない」

「・・・もしかして、コウ様の所にフィアさんを送ったのって」

「・・・いやまぁ?そういう面も無いこともないがの?」

「どれくらいですか?」

「・・・7割・・・いや6・・・」

「あははは・・・甘いものお好きなんですね」

「この年になると楽しみが孫に会うか食べるかくらいしかないからのぉ。

 まぁそれ抜きでも面白いやつではあると思うがな」

「コウ様ですから!」

「はっは。そうだな。おや、もう終わりそうだな」

「うわぁ。ダイヤウルフ達がお腹向けて倒れてる・・・」

「どんだけ圧倒したんじゃあやつは」

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