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83話

ブックマークの登録数がこの話を予約投稿した段階で綺麗な数字で嬉しかったです

地竜というのは首が長いようで、出ているのが顔だけと言っても結構な高さがある。

『無影』はいつものように着込んでいるので、まだジャンプで届く範囲だったが。


「よっと。キイナさん大丈夫ですか?」

「な、なんとか・・・」


地竜の頭の上でぷるぷると震えているキイナさん。

どうやら高いところが苦手なようだ。


「船乗ってる時は大丈夫だったじゃないですか」

「外があまり見えないし、もっと高かったので・・・」

「あーね」


中途半端な高さが駄目なようだ。まぁそう言う人がいるのは聞いたことがある。

俺はぴょんぴょん飛び跳ねて戦うこともあるからあんまり気にしないが。


話していると、フィアさんも追いついてきた。

てか、何か飛んでる。普通に飛んでる。


「えぇ!?飛行魔法!?」

「ん?すごいんです?」

「精霊の力を借りてもなかなか出来ない高難易度魔法です!

 それをまさか一人で出来る方がいるなんて」

「なるほど。やっぱりすごい人かフィアさん」

「い、いえ。私など大した者では」

「って違う違う。この状況を聞きに来たんだ」


また話が逸れちゃうところだった。


とりあえず、キイナさんに聞けばいいかな。

てか他の連中だとまともに聞けそうにない。

ののかはさっきからこっちも見ずに上から庭を観察しているし、ましろは何か生えてる花のにおいを嗅いでごろにゃんしているし、ライチは寝てる。

ナユタはきゃっきゃしてて話聞いてくれる感じが無い。

さっきまで話してたよな俺達?


「んで、なんでこんなことになってるんです?」

「私も良く分からないんですけど・・・気に入られちゃったみたいでして」

「キイナさんが?これに?」

「はい。ナユタちゃんが言うにはそうだって」

「そうって言ってるよー!」

「こいつ喋れないの?」

「ん?」

「ああ、人間の言葉はってこと」

「むりー!」

「無理ですね。よろしければ通訳いたしますが」

「お願いします」


さらっとこのひとドラゴンの言葉が分かるってのも発覚したんですけど。

いや、これはこの屋敷の人間ではデフォルトなのかもしれない。なにせリアの家なわけだし。


頭の上からでいいのかと思ったが、ここからでいいらしい。

『無影』だって結構な重さがあるだろうに、大したことないんだとか。

まぁ確かにさっきから微動だにしてないけどさ。


フィアさんが顔を下にのぞかせながら、何やら分からない謎の音を発しながら地竜に話かけている。

それに反応するように、地竜の方も唸り声の様な音で応える。

うーむ。精霊の言葉は分かってもこちらは分からないらしい。ちょいと残念。


そして数分すると、状況を理解したようでフィアさんが説明してくれた。


「どうやら、本当にそちらのお嬢様の事が気に入られたようです」

「へぇ~。そんなことあるんですか?」

「まぁはい。珍しいことではありますが」


それでもこんな初対面で顔に乗せるレベルで気に入るのは珍しいんだとか。

気に入った理由は分からないが、とにかくそういうことらしい。


「理由は本人も良く分かってないみたいでして」

「はぁ」

「何か心当たりあります?」

「全く・・・あ、でも」

「お」

「地竜って、土属性の竜ですよね?私が契約している精霊もそうなのでそれかなって」

「なるほど。あり得る話ではありますね」

「そうなんですか?」

「契約している精霊の匂いのようなものが、本人から感じられることは良くありますので」

「ん?じゃあ俺もですかね」

「そうですね。コウ様は複数の匂いがあります」


ののかの土の植物。ライチの風と雷。ましろは無臭というのがあるらしい。

属性ごとの特色のような物。その魔力の残滓があるのかな。

それを感じ取ったこのドラゴンがキイナさんを見て、猶更気に入ったと。


「・・・なかなか見る目があるなお前」

「・・・ゴゴゴ」

「わかるー」


分かる。何か安心するんだよね。


ぺしぺしと頭を軽く叩いてやると機嫌良さそうに声が返ってくる。

当然何言ってるかは分からないが、フィーリングで感じた結果で何とかなった。

実際あってたみたいで、フィアさん驚いてるし。


「・・・えっと、今のでもう言葉を理解されたのですか?」

「いんや全然わかんないっす。感覚ですね。キイナさんの事なんで」

「コ、コウ様!」


はずがしがるキイナさんも良いよな?


「ゴ」

「ほら」

「ほらじゃないですよ!」















「ご挨拶が遅れてしまいました。私、この度コウ様にお仕えする運びとなりました。

 エリフィーアと申します。よろしくお願いしますキイナさま」

「こ、こちらこそよろしくお願いします」


なんやかんやあって、地竜のミナも満足したらしい。

キイナさん達を地面に下して、本当に顔だけ出してナユタを少し離れたところで話している。


俺達はキイナさんとフィアさんの自己紹介も兼ねて、一度サーベスに戻ってきた。

どうせカカオもそとに運ばないといけないしな。それは指示出して無人機たちにやらせてるけど。

あ、ののか達はまだ外で、寝ちゃったライチは部屋に戻したけど。


「コ、コウ様コウ様」

「はい?」

「この人、めちゃくちゃすごい人じゃないですか。なんでこんな人がいきなり?」

「ああ。リアから言われたことなんですけどね?」


キイナさんに事の流れを説明する。

いきなり竜国の貴族であるリアと、国交とまで例えられた結びつきを得たことにも驚かれた。

だがそれ以上に、キイナさん的にはフィアさんが来る方が気になるらしい。


「え、いやだって・・・魔族の方ですよね?」

「そうらしいですね」

「しかも飛行魔法を使えて、心も完全に読めるんですよね??」

「そうっすね」

「・・・昔本で読んだことのある英雄くらいなんですよ?両方出来るのって」

「へぇ~」


心を読むのは素直にすごいなって思うけど、飛べるようになるのってそんなにすごいことなのか?

いまいちピンと来ない。俺が『エアロード』で飛べちゃうのもあるのかもしれないけど。


だがキイナさんの反応を見ると、どうやら俺の想像よりはるかにすごい人らしい。

ん~。リアも随分な人を送ってくれたものだ。


「でも大事なのはこれからの業務内容ですし?」

「えぇ!?こ、こんな方に何かさせるんですか!」

「ええ。基地にいる精霊亜種達の管理を任せようかと。顔見知りらしいですし」

「はい。リア様の共に何度か」

「え、えぇ・・・」


とまぁこんな調子で、キイナさんは驚きっぱなしだった。

俺が一度カカオの運搬の様子を確認しに席を外れて、帰ってきたら魔法の話で盛り上がっていたし。


「私なんて足元にも及ばないくらいすごい人です・・・」

「いえ。精霊に関しては到底私などでは」

「いやいやいやいやいや。こんなのぽーんっと出来ちゃいますし!?」

「首めっちゃ動くじゃないですか」


キイナさんの首が横に取れるんじゃないかってくらいブンブン動いている。

何か初めて見るな、こういうキイナさんは。


俺が村に来た時は、最初の方は人見知りの人みたいな反応されたし。

新鮮でいいなぁと思いつつ、そろそろ運搬も終わるので会話に入り込まなければ。


「二人とも、そろそろ終わりますよー」

「ふぇぇ・・・コウ様ぁ」

「え?何どしたん」


いきなり泣きつかれた。え、何この役得は。

うっかり関西弁が出てしまうくらいには動揺してしまった。俺関東出身なのに。


「フィオさんに改まった態度を取られることの違和感がすごくて・・・」

「・・・慣れてください」

「そんなぁ」


多分これから結構な頻度で顔を合せる思うので。














「ほほぉ。これがあのちょこになるのか」

「ああ。作り方とか、育て方とかは纏めてあるからこれ読んでとりあえず頑張れ」

「分かった。無理そうならお主から購入するかの」

「別に金はいらんのだけどなぁ」

「どうせこの世界で生きるのなら必要になるだろう。貰っとけ貰っとけ・・・ところでだ」

「あん?」

「何故キイナ殿とフィア殿はこう・・・ああなっているのだ?」


リアの見る先には、フィアさんに対して下手に出るキイナさんと、それに対して慌ててさらに下に出るフィアさんの姿が。


キイナさん的には、自分よりはるかに魔法に詳しく、年上の人。

さらに本に出てくる人物の様な存在。

だがしかし、そんな態度を取られて大変なのはフィアさん。

フィアさんはリアに仕えているメイドさんで、これからは俺に仕えることになる。

どういう説明を受けているのかは知らないが、日常の俺の世話をしてくれているキイナさん。

さらに俺もキイナさんを大事に思っているのくらいは聞いているか。

そんな相手に下に出られたらそら困るわ。

使用人としてみても先輩で、普通に考えたら・・・あー・・・俺の良い人候補って認識になるのか。

まぁそれは傍から見たらそうだろうし、俺も悪く思ってないのは確かだが。


「止めないでいいのか?」

「まぁそのうち慣れるでしょうよ。ほら、結構な頻度で会うだろうし」

「その方が良いか。今のうちにやらせておこう」


見ている分には面白いってのもあるけどな。

さて、俺はリアと残った部分の話を詰めるか。


具体的には、俺があちらに何を要求するのかってことだ。

俺から買ってばかりではいい関係とは言えないからな。

とは言っても俺の欲しい物は既に伝えてあるんだけどさ。魔道具や魔法に関する教材。

後は珍しい鉱物とかかな。こっちはあったらでいいんだけど。


俺からは異世界の品物。ゲームの中で作れたもの限定だがそれらだ。

今回のカカオは俺からのお土産なのでノーカン。


「他に欲しい物は無いのか?」

「他かぁ・・・そもそも俺、この街に何があるのかすら知らないんだよなぁ」

「む?・・・そういえばそうだったな」

「ああ。でも牛欲しいかも」

「牛?」

「牛牛。ミルクが欲しい」


もっと言うなら家畜が欲しいのだ。

俺がこの世界でどうやって肉を手にしているか。

村に来てからは、村の人たちがやっている狩りの成果を貰っている。

何かあの村だと俺は救世主通り越して別の何かになっているらしく、肉は普通に貰える。

『ソキウス』のお陰で成果ナシの日が無いというのもあるらしいが。


村を見つけるまでに食べていた物。あれ実は合成肉なのだ。

ゲーム内の物で、ランクは一番高い物だからそれなりに美味しい。

だが当然自然の物に比べると劣る。何故かここはゲーム内でそれ以上に出来なかったのだ。

まぁ合成肉がまずいってのは良くある設定なのかもしれないが。


そんなわけで、基地では肉はそれのみ。

魚介類は俺が獲ってきた物を養殖している。それも貝や昆布とかばっかりだけど。

とにかく、肉を安定して手に入れたいのだ。

そうなると、牛や豚といった家畜が欲しいというわけだ。


「出来るか?」

「むぅ・・・寄りにもよって家畜か」

「え、もしかして無いのか?」

「・・・この街はモンスターを狩ることで肉を得ているからのぉ」

「え、村と一緒なのか」

「というか大体の街はそんなものなのだよ」


これは俺の考えが甘かったらしい。

そもそも家畜と言う概念があんまり広まっていないんだとか。

街の外にはモンスターがいるし、家畜なんぞ放していたらそれらの獲物になるだけだ。


「ミルクはどうしてんだ?」

「そもそもミルクは王家の献上品だぞ?」

「は?ミルクが?」

「うむ。手に入れるのが大変だからな。世話をするにも何にもだ」

「あちゃー」


まぁ確かにこの世界の文明レベルだとそうかもなぁ・・・こりゃまいったな。

あんまり牛乳飲めないから、そろそろ飲みたかったんだが・・・ん?待てよ。


「竜国では少しは手に入るのか?」

「ん?まぁ市場には殆ど出回らんがな」

「でもあるにはあると」

「定期的に王家に献上するための家畜はいるからなぁ。流石にそれは渡せんぞ」

「その牛、どこから手に入れたんだ?」

「うん?」

「いや、そっちは俺が直接取ってこようかと思ってた」

「・・・はぁ?」


買えないなら別で用意するまでの話だ。

なんだ簡単だったな!!

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