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81話

「貿易って・・・俺別にどこかの国にいるってわけじゃないぞ?」

「分かっているよ。例えの話さ」

「けどそれに近いことはしたいってことだろ?」

「そういうことだな」


一体どういうことなんだ。

『ハイドラ』の運送はあちらからの申し出で手伝ってくれるのは分かった。

だがそれが何で貿易なんて大きな話しまで広がってしまうのか。


驚くことに、この話はダイジュナには先にしていたらしい。


「俺の話なのに?」

「何も今すぐにという話ではないのだ。一度帰って考えても良い」


だから先にダイジュナに話をしたというわけだ。


「だけど、何で俺と大げさな物を」

「ふむ。お主はダイジュナから流れ人に関してどれくらい聞いているのだ?」

「は?俺みたいな連中のことだよな?」


あんまり聞いてないとしか言えないな。

地球からこの世界に、文字通り流れ着いた人々。

ほとんど現れることはなく、文字通り天文学的な確率・・・これくらいか。


「ふむ。ではあまり聞いてはないようだな」

「何か他にもあるのか?」

「流れ人は、歴史上においても多大な功績を残した者が多い」

「はぁ」

「私もその中の数人と出会ったことはある。

 大きな力を持っていた者、いたって平凡な者もまで様々だった」

「まぁだろうな」

「その中でも、間違いなくお主が一番・・・いや、私が見てきた人間の中でも最上位に入る強さを持っている」

「・・・は?いや流石にそれは」


この世界の歴史が、どれほどなのかは知らない。

だがそれでも、こんな魔法のある世界で俺がそこまで上にいるとは思えない。

人間だけに限ったとしてもだ。


「いや、人間に限らずともと言ってもいい」

「おいおい。随分と高評価だな」

「それだけ、あの怪物を葬ったという事実が大きいのだよ」

「バイオティラノか?だってあれはなぁ」

「分かっておる。あれが元々お主の世界の者だということわな。

 それを抜いても、我々では勝ちきることは出来んかったのだぞ?」


リアなら、バイオティラノには勝てる。

ハイドラに勝てるのだから、当然と言ってもいいだろう。

だがリアでも、ハイドラに勝つのが精一杯だった。


その影響で、バイオティラノと戦うことはできずアルは自分事封印した。

それはつまり・・・


「そう。当時で見ても。奴らと戦える実力者はいなかったのだ」

「そら・・・相性もあるだろうよ」

「そうだな。確かにある。それ込みでも、恐らくお主の方が強いだろう」

「いや。ダイジュナの本気には勝てないと思うけど・・・」

「本当か?」

「・・・何が言いたい」

「私はな、その存在が持つ実力を凡そ把握できる」

「・・・」

「そしてそれは、本人の扱う武具の判別も出来る」

「ッ・・・どういう感覚してんだそれ」

「ふっふっふ。伊達に長生きではないよ」


こいつ・・・あの機体の事に気が付いているのか。

まだこの世界では起動させたことが無い。

いや、整備すら禄にしてないから、本当に触れても無いあれの事を・・・!!


「この怪物・・・ハイドラと言ったな。これと同じだよ」

「同じ?」

「強い思いが、お主から感じ取れた。そしてそれは、お主に見せてもらった物ではなかった」

「・・・なるほどな」

「一度。きちんと見た方が良いだろう。お主の思っているより、それはじゃじゃ馬であろうよ」

「・・・知ってるよそのくらい」


そもそもあれを使わないのは、俺が使いこなせないからだ。

俺が一番得意な戦い方には合わないというのは理由として大きい。

だがそれはゲーム内の話だ。俺がこの世界であれを使わないのには、別に理由がある。


単純な話・・・周囲の物を全て破壊しつくしかねないからだ。


「今も、それはあの船の中にあるな?」

「ある。あれは置いて行けない」

「ふむ。お主がそれほど警戒する物か・・・」

「そうだな。バイオティラノくらいなら一撃で消滅させられると思う」

「・・・ふむ。それはなんとも」

「多分ハイドラとも正面から戦えると思う」


それだけあの機体は格が違うのだ。

火力も、装甲も、機動力も。

何もかもが、俺の持つストレングスギアとはレベルが違う。


あれを作り上げたのは、『アビスキュイラス』の後・・・かなり後期の機体だ。

そもそも使われている物の設定がぶっ飛んでいるから、それ相応の性能になってしまった。

それに第一・・・俺はあの機体が嫌いだ。


「そこまで毛嫌いする理由はなんだ?お主の作品なのだろう?」

「俺の想定から離れたから」

「・・・何?それだけか」

「俺にとっては・・・いや、俺達ランナーにとっては重要なことなんだよ」


正確に言うと、あれはゲームの運営の想定すら離れた機体だ。

何せあの機体は、機体を組み上げた当時偶然発生していたバグの影響で生まれた機体なのだから。


生れるはずのなかった機体。

それが俺の機体・・・『グランデス』


「あれが俺の知っている機体そのままなら。一撃で大地を砕き海を割るだろうな」

「・・・」


リアも驚いている

その程度なら、リアなら容易く出来るだろう。

だが問題は、それを人間である俺が作り上げたということだろう。

違う世界の、違う法則でとは言えだ。

偶然・・・もう二度と同じ機体は出来ないが・・・それでも、俺が作り上げたことには変わらない。


「お前が感じ取ったのは。まぁそれだと思う」

「なるほど。話を聞くだけでも納得がいくものだったな」

「はぁ・・・まぁ使う気はないんだけどな。んで?その実力者ってのと貿易が何の関係が?」

「おおそうだったな」

「忘れてたのかよ」

「興味深い話だったからな」


俺にとっては楽しくない話だったけどな。


「まぁ貿易云々の話は、実力以外も大きいのだがな」

「ん?まだ何かあるのか?」

「当然だろう。例えばお主が私にくれた物とかな」

「・・・あ!チョコか!」

「そうそれだ!!」

「お、おう」


リアがぐいっと顔を詰めてくる。

ちっこいサイズになっているとはいえ、ドラゴンだから圧がすげぇ。


だがリアはそんな俺を気にせず、チョコについて熱弁を始める。


「あんなものは今まで食べたことが無いのだ我々は!!」

「そ、そうなのか?」

「ああ。それにあれが植物から出来ているというのも驚きだ!」

「あー・・・要するに、そう言う物が欲しいと」

「うむ!流れ人の中でもお主がトップクラスで多くの物を持っているだろうからな!!」

「・・・俺の実力云々話しする必要あったか?」

「ん?そらまぁ確認は大事だからな」

「ああそうですか」


無駄に俺が疲れただけの話というわけではなかったようだ。


だがリアが貿易とか言い出したのはそういうことだったか。

俺が持つ、この世界に無い物。それを求めてのことだったか。

それなら納得行くというものだ。


「それにほれ、お主も欲しいものがあるのだろう?」

「まぁあるな」

「それと物々交換がしたいのだよ。定期的にな」

「なるほどなぁ・・・けどさ」

「うん?」

「俺、定期的にってほど出来るか分からんぞ?」

「何故だ?」

「いや俺一人だけでそんなに多くは出来ないし」


俺もその時にやりたいことが多くあったら対応出来ないこともあるだろう。

貿易が例えだとしても、竜国は国として・・・この場合はリアが貴族として商売がしたいということなのだろうが。

そんな大層な事が出来るレベルで、俺の方が対応できない。人手が間違いなく足りない。

キイナさんに手伝ってもらっても限界はあるし。


「いや今のお主には彼らもいるだろう」

「・・・亜種達か?無理じゃね?」

「まぁほとんどの連中は無理だろうな」

「出来るのもいるのか?」

「精霊亜種は、生れた際の元になった精霊の影響を強く受けているが・・・中には例外もいるのだよ」

「ほう」

「例えばダリアはそうだな。本来のシルフは皆ナユタの方に近いからな」

「あ、それは思ったわ」


というか、サラマンダーのリーダー以外の精霊亜種達のまとめ役はその傾向が強い。

何と言うか、精霊にしては真面目なのだ。

もちろん長生きしている精霊ならそういう個体もいるのは知っているが、それにしてもということだ。

特にダリア。彼女は他のシルフと比べて礼儀正しく、より人間に近い。


「ってああ。そういうことか」

「そういうことだ。人間に近い精霊亜種ならばお主の手伝いが出来るはずだ」

「考えたこと無かったな」


ふむ。確かにいい案かもしれない。

既にみんな俺の基地でそれぞれの生産施設で働いてくれている。

施設自体に憑依して効率を上げてくれたり、その力で補助をしてくれたり。

だが彼女達の願いは普通に働くこと。

だったら、それいがいの仕事がしたいって子もいるかもしれない。


「そして、そのまとめ役として私の家から一人派遣したいのだよ」

「そういう話の流れだったのか」

「うむ。結構長引いたな」

「主に強さ云々のせいだな」

「全くだな」


何でお前が偉そうなんだ。


「はぁ・・・まぁ分かったわ。んで?その人はどういう人なんだ?」

「ん?受け入れてくれるのか?」

「まぁ悪い話じゃないしなぁ」


基地内だって、ストレングスギアとか武器製造とかの重要施設に入られなければ問題ない。

それ以外の施設は・・・言ってはなんだが、簡単に替えが効く施設でしかないのだ。

だから俺の基地は、その規模の割には立ち入り禁止区域が少ない。

ぶっちゃけ何も知らない他人が入って来ても問題ないくらいなのだ。

本当にダメな施設は最初から入れないようにしてあるしな。


「だからまぁお前が信頼できるって人なら問題はないかなと」

「ほぉ・・・もう少し慎重になった方が良いぞ?」

「分かってるけどなぁ」


マジで大事な物は全部サーベスの中だ。

それも入るどころか、入り口を見つけることすら出来ないだろうし。


「私は結構あの中を見たと思うんだが?」

「あんなの半分も見てないぞ」

「む?見た目より大きいのか?」

「まぁそういうのもあるな」


異次元倉庫のことなんてどうやって説明したらいいのか分からんし。

まぁこれでぼかしていくか。


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