79話
「ハイドラはどこにあるんだ?」
「私の住んでいる屋敷の地下に封印してある。万が一にも悪用されないようにな」
「まぁそこらへんはしっかりするわな」
「封印と言っても、すぐに解除出来るがな」
「それはそれで大丈夫なのか・・・?」
「私にとって簡単というだけの話だからな」
そう言う問題なのね。
というか、この世界でハイドラのパーツを悪用する方法とかあるのだろうか。
あれの装甲を削って鎧とかにするってのなら分かるが、それは別に強くもないだろう。
何か変わった使用法はあるのだろうか。
こういうのは実際に聞いた方が良いだろう。
「悪用って、何か使い方とかあるのか?」
「いや私は知らんな。だが昔の知り合いが念のためにと言っていたからな」
「あらま」
「実際私たちも何かに使えないかと思った時期があったんだがな」
「あるのか。何となく結果は分かるけど」
「うむ。どれも失敗だった」
「だろうな」
まず正攻法での運用は不可能だ。
となると魔法的な使い方になるのだろうが、ハイドラはその方面での使用は考えられていないだろう。
確かハイドラの装甲は俺達ランナーも知らない特殊な物だったはずだ。
設定では、古代の超文明を滅ぼした厄災の一機で、既に失われた製法で作られた特殊な合金を使っているとかだったはずだ。
だから俺も、ハイドラの解析が出来るのは非常に楽しみなのだ。
何せゲーム内では絶対に出来なかったことだ。楽しみで仕方ない。
「ああ。だが魔法を使う際に妙な反応があったとは聞いているな」
「ん?妙な?」
「ああ。魔法が強くなったり、魔力の消費が少なくなるとかはなかったそうだがな」
また妙な話だな。
それも俺が調べれば何か分かるかもしれないが。
そろそろ着陸も終わる。
・・・てか、ここも滅茶苦茶広いなおい。
竜国の貴族、リアの住まう屋敷。
その敷地の一部が、彼女が飛ぶ場所になっているらしい。
そこに今回はサーベスを降ろさせてもらうことになった。
そこは封国の景色とは違い、色鮮やかに彩られ見る者を楽しませるように出来ていた。
「あそこと比べられては庭師が怒るからな」
「まぁあそこはそういう所だしな」
「ここは様々な国の動植物が集まっている。キイナ殿たちも楽しめると思うぞ」
「わぁ。楽しみです」
「おばぁちゃん。ミナちゃんは?」
「ミナか?あの子ならそろそろ出てくると思うが」
「ミナちゃん?」
「この子の友達だよ。私の一族の者でもあるのだが・・・ああ、あそこか」
「おん?」
リアが見ている先は、青い花が咲く生垣っぽい物しかない。
そこにナユタの友達がいるらしい。
俺の眼には、普通の植物にしか見えない。
だが着ている『無影』のカメラで見るとおもしろい生物がいた。
「・・・え、そういうこと?」
「お。便利そうな物付けているな」
「実際便利だけどさ。あ、キイナさん付けます?」
「ありがとうございます・・・え?あの子ですか?」
「うむ。あの花を背負っている子だよ」
俺とキイナさんがただの植物だと思っていた物。
それは正確には、ある生物の一部でしかなかった。
地面の下に、巨大な何かが潜んでいる。
ののか達精霊は気が付いていたようで、ナユタも言われてすぐに気が付いたようだ。
その何かについて、リアが教えてくれた。
「我々竜にも、当然種類がある」
「俺は赤いのと緑のを倒してるけど」
「火竜に風竜だな。属性ごとで種類が分かれている。そこは精霊達と同じだな」
「ほう。じゃあこの下の・・・子供なのか?」
「お。分かるか?」
「魔力がちっちゃいから何となくだけどな」
「正解だ。この子は地竜の子供でな。年の程はナユタと同じなのだよ」
「ナユタ今何才だっけ?」
「13!」
「なるほど・・・いやでけぇなこれ」
「ふぇぇ・・・」
キイナさんがまた驚いてる。
今カメラの設定をいじくって全体を見れるようにしたのだが、めっちゃデカい。
今の時点で俺が倒した赤い竜と同じくらい。
これで子供なのだ。あれが成体だとすると、明らかに大きいと分かる。
「地竜と言うのはな、元より大きな個体が多いのだよ」
「だからって限度があるだろうに」
「まぁミナは同じ地竜と比べても大きいがな」
「良かっただよな」
「まぁそのせいで同族に馴染めなくてな」
「あ、重い話?」
「いやか?」
「手短に」
「分かった」
体長が大きくなりすぎて、近い年の竜と仲良くなることが出来なかったそうだ。
いくら地竜と言えども、子供の頃はある程度小さいのが基本だそうだ。
規格外と言ってもいい大きさになってしまったこのミナという地竜は、そのせいで人見知り・・・もとい竜見知りになってしまったらしい。
そんなミナに、そんな事情気にせずガンガンに距離を積めたのがナユタだそうだ。
ナユタが生まれたのは、あの精霊亜種達がこの国にいた時に生まれた珍しい個体。
精霊亜種は生まれることが出来る環境が限られているから、ナユタも同族に友達はいなかったそうだ。
風の精霊亜種、シルフの子供・・・それは風が強く吹き、綺麗な環境でシルフ達が何かすることで生まれる。
この国はその条件を満たすことのできる場所があるらしく、十数年に一度来ることがあったそうだ。
「んで、偶々タイミングがあって友達になったと」
「そういうことだな。まぁナユタの性格が大きかったというのもあるが」
「お前がナユタを気に入っているのは、それも関係あるのか?」
「・・・ん?ナユタから聞いてないのか」
「何を?」
「そうだったのか。まぁあれだ。私はナユタに借りがあってな」
「はぁ」
「その時の礼で、私の力を少しだけ渡したのだが・・・」
「気に入っちゃったと」
「・・・仕方なかろう。独り身で家族など出来んと思っていたのだから」
何か色々あったようだ。まぁそれは今度でもいいだろう。
「んじゃ、ナユタはここに置いてっていいか?」
「ミナがいれば問題なかろう。使用人たちも知っているしな」
「OK。じゃあさっそく行きたいんですけど」
「あいわかった。キイナ殿も一緒に行くのか?」
「俺的にはどっちでもいいんですけど・・・どうしますか?」
「そうですね、どうしましょうか」
「あ!ここみたいです!」
「ののか?」
ののかがこの庭を見たいと言ってきた。
珍しいとは思わないが、普段通りなら俺と一緒にって思ったんだが・・・ああ、そういうことか。
「ドライアドちゃんの参考にするのか」
「おべんきょうします!」
「お主ドライアドも住まわせているのか?」
「色々あってな」
「なるほどな。ではいい勉強になるだろうよ。ここにはドライアドもいるからな」
「あ、マジか」
それは絶好のチャンスかもしれないな。
ふむ。どうせナユタも残るのだ。だったらののか達もここでいいだろう。
そうなると、キイナさんの動きも決まったも同然なのだが。
「キイナさんはそれでいいですか?」
「はい。大丈夫ですよ。元からその予定でしたし」
「すいませんお守りばっかりで」
「いえいえ。普段コウ様にはお世話になっておりますから」
「本当か?」
「生活の殆どはキイナさんに頼ってる自信あるんだけど」
なんだろうか、家事系全般やってもらってるからお世話されてる感が非常に強いんだが。
「・・・後で一緒に街の観光しましょうか」
「わぁ!ありがとうございます!」
それでも全くお返し出来てないだろうけどな。
キイナさんに精霊達を任せて、俺とリアは早速屋敷の地下に。
屋敷と言っても、広くて殆ど城みたいなんだけど。
屋敷の中は、外観から分かる通りの豪華な作りになっている。
細かい部分にも気を使って清掃が行われているのも分かる。
後地味に廊下に飾ってある高そうな絵画とかツボが怖い。触ったら壊れそう。
働いているであろう人達は、こちらを見て深いお辞儀をしてくれている。
リアと共にいるっていうのもあるんだろうが、偉く恐縮されているようにも見える。
と、言うかだ。
「女の人しかいないのか?」
「ん?メイドなのだからそうに決まっているだろう」
「え?封国では執事さんいたぞ」
「殆どの貴族の屋敷ではメイドばかりだな。執事がいるところもあるが、その場合は執務面での補助だな」
「ああ。そういうことね」
じゃあ俺が見てないだけか。
それにしても面白い。
ここのメイドさん達、それぞれ種族が違う。
エルフは村で見ているから珍しいとは思わないが、他の種族はもう全部珍しい。
封国で見かけた種族の人もいるが、結局話をしたりってことはなかった。
あと基本的に観光って感じじゃなかったしな。見方も変わるという物だ。
特にナユタの様な竜の尾が生えた人。
頭には角もあるし、竜人というやつなのだろうか。
「あやつは魔族だな」
「めっちゃ強そうだな」
「流れ人は皆そう言うのだな。魔法が得意な傾向があると言う以外は大して違いはないのだがな」
魔法が得意な種族で魔族なのか。
それはそれで興味深いんですけど。
じっと見ていると、何やら顔が青くなっていく。
はて?
「む。コウ。お前さん魔力の鍛錬はしているか?」
「は?魔力の?魔法のじゃなくてか」
「ああやはりか。じっと見るのは止めてやれ。魔力が漏れているぞ」
「マジか」
「精霊が近くにいれば吸収してくれる程度だがな。今度そのあたりも教えてやろうか」
どうやら俺の魔力をがっつり感じしてしまい顔が青くなったらしい。
魔力は自分の考えていることが普通に伝わるので、分かる人には分かってしまうらしい。
今の場合だと、俺が魔族が何で魔法が得意なのかの理由を考えてみたからだろう。
体の構造とか考えながらだったから、それで変な事されるとでも思ったかな。
「・・・あれ?考えていることそんなズバッと分かるものか?」
「私のそれの元となる能力だぞ?」
「マジか・・・マジか・・・」
「だから見てやるな」
めっちゃ気になるんだが
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