78話
「コウ様大丈夫なんですか?」
「まぁ一日くらいなら・・・」
何だかんだとやってたら徹夜してしまった。
キイナさんが着替えやらの準備を終えて戻ってきたんだが、その後も面白くなっちゃってずっと精霊の力の事を考えていた。
俺の持っている武器が、一体どの属性に分類されるのか。
『サンダーバード』や『フロストエンド』のような分かりやすい物は分かりやすい。
でも他の武装は結構分からない。
実弾兵器は火薬を使っているがどうなのかとか、ビーム兵器は熱っちゃ熱だから炎でいいのかとか。
そんなことをばっかり考えていた。
ちゃっかりリスト化までしてるから、すぐに見て分かるようにもしちゃったしな!
今日が竜国への移動日なのに、それでいいのかと思われても仕方ない。
だが今回に限ってはいいのだ。
なにせ、竜国への移動は二日かかるのだ。
ダイジュナより全然早いのに、サーベスで二日かかるのだ。
ちなみにリアは最速半日で来れるらしい。あいつマジ速い。
まぁだから、今日は眠くてもいいんだ。一日程度の徹夜では問題なかったりするけどな。
「目の下すごいですけど・・・」
「あー・・・顔にはめっちゃ出るんですよね」
そこは諦めてるけど、見た目ほどきついわけではないから安心してほしい。
「寝てください」
「はい」
怒られたので寝ます。
ステルス化して姿を見えなくして、サーベスで移動すること早二日。
下に広がる様々な街を眺めながら、割と退屈せずに済んだ。
特にキイナさんは、サーベスでの長距離移動は初めてだからリアクションが大変面白かった。
そして遂に、竜国の領土内に入ったのだが・・・
速攻でドラゴンに囲まれた。
「なにこれ」
「こ、こんなにドラゴンが・・・」
ドラゴンは、この世界の人間からしたら恐怖の象徴と言ってもいい。
そんなものに囲まれたら、キイナさんは怯えるのは当然だ。
「・・・なるほど消すか」
『待て待て待て待て待て!!』
「ん?どこからか声が」
『私だ私!!』
「・・・私さん?そんな名前の知り合いの貴族はいないんだが」
『分かってるじゃないか!!』
テレパシーってやつか。
頭の中にリアの声が聞こえてくる。どうやら俺の考えを読んだらしい。
「とりあえずこいつら下げてくんない?」
『分かった分かった。ほぉー焦った』
後数秒遅かったら『エアロード』で出てたな。
リアの命令が届いたようで、ドラゴン達はすぐに遠くへ飛んでいった。
多分、自分達の国の領地に入ってきた巨大な何かを警戒したのであろう。
ステルス化してたのに、完全に姿を見られていたようだし。
魔力カットもしてたし、隠蔽は完璧だったよ思うんだけどな・・・後で聞いてみるか。
『今から迎えに行くから待っててくれ』
「はいはい。キイナさん。もう大丈夫ですよ」
「は、はぁ・・・話には聞いてましたけど、あんなにたくさんいるんですね」
「あれでもまだ一部でしょうけどね」
ざっと4,5匹に囲まれたな。あれでどれくらいの戦力にあたるのかは分からない。
だが竜と付く国なのだ、その名にふさわしいレベルの数がいると思っていいだろう。
今のドラゴン達の脅威度は4。俺が今まで倒したドラゴンよりは強いと言う評価になっていた。
まぁその程度なら、どっちにしろ負けることはないのだが。
キイナさんを落ち着けつつ、リアを待つこと10分程。
知っている魔力反応をセンサーで捉えた。
「相変わらずでけぇなあいつ」
「・・・ど、どうしましょうコウ様」
「ん?どうかしました?」
「貴族の方に対して、どうやってお話すればいいんでしょうか・・・」
「・・・何となくそれっぽい感じでいいんじゃないですかね」
リアなら適当でも問題はないだろうな。
『すまんな。待たせたようだ』
「いいっていいって。どっからか入るか?」
『む。ではお邪魔させてもらおうか』
「じゃあハッチ開けるわ」
前方のハッチを開けてリアを迎え入れる。
リアもそれに合わせて、サイズを小さくして中に入ってくる。
中には誘導灯があるので、それを辿れば艦橋まで来れる。
まぁやはり珍しいからなのか、少し見て回ってたようで時間は掛かったが。
「いやぁ。相変わらず面白い船だな」
「そらどーも。ナユタは遊戯室でののか達と遊んでるぞ」
「お、そうかそうか。後で挨拶に行こうかの」
「こんにちわリア様」
「こんにちわキイナ殿。お主なら様はいらんぞ?」
「い、いえ。貴族の方ですから」
「むぅ。気にせんのだかの」
「仕方ないだろうよ」
まぁ俺も以外ではある。
キイナさんは人間社会から離れた村の出身で、そこから出たことはない。
だから貴族相手にっていうのがいまいちどういう物かあ分かってないと思ったのだ。
前回はののか達の相手をしてたからあんまり気にしなかったが。実のところ緊張してたらしい。
今もガチガチとまではいかないが、普段よりは全然緊張している。
「んで?このまま進んでいいのか?」
「構わんぞ。私がいるのは伝えているから、もう囲まれることも無いぞ」
「良かった良かった。次は無かったよ」
「本気で危なかったなこれ・・・」
俺の実力は、バイオティラノを倒した時点で証明している。
だからこそ、あの程度のドラゴンでは相手にならないというのも分かっていたのだろう。
まぁ流石に殺しはしなかったよ。精々再起不能にするだけで。
「それで十分なのだが!?」
「いや手足程度なら俺治せるし」
「何と、回復魔法を使えるのか?」
「いや魔法ではないけど・・・ん?そんな魔法あるのか?」
「属性に分けられてないだけで、確かに存在はしているぞ」
「無属性とは違うのか?」
「また珍しい属性を知っているな。まぁそれとも別物だよ」
「回復魔法は、それ単体で一つの分類になっているんですよ」
「ああ。内容はどうあれ回復は回復だと」
「そういうことじゃな」
また新しい知識が増えてしまった・・・
そんな話をしながら進むこと2時間。
領土に入ってからそれなりの距離を進むと、ようやく街が見えてきた。
「ってデカ!?」
「ふっふー。これが私の治める街だ」
「これが通商都市『ノースアルラ』・・・」
「お、キイナ殿は知っているのか」
「はい。昔おじいちゃんが話してくれたんです」
アルラとは、竜の言葉で口を意味するらしい。
この街は他の国から来る人達の入り口的な役割も持っているらしい。
その規模は驚くほどに大きい。
俺はこの世界では、他の街は見たことが無い。
だがそれでも、この街が明らかに大きいのが分かる。
「事実、首都を除けば一番の大きさだからな」
「ほぉ・・・防衛線も兼ねてる?」
「分かるか?」
「お前がいるならって前提はあるけどな」
ここに来るまで、関所みたいなものはあったが小さい物しかなかった。
それはつまり、そこで侵入者を本格的に止める気が無いということだろう。
関所には数匹ドラゴンがいたから、それで十分なのかもしれないが。
だがここの街を見て確信に変わった。
これだけ立派な防壁があるのだ。非常事態には要塞の代わりになるのだろう。
「コウ様の基地みたいですね」
「俺の基地?」
「そうだな。あそこは立地的にここまで固める必要はないのだろうが」
「まぁ自然の防壁が多いからな」
俺の基地山の中だし。それもとんでもない深い山の。
対してこちらは平地に作られている街だ。
比べるのはちょっと難しいだろう。
「あ、でもコウ様の基地の方が高い建物が多いですね!」
「いや別に競ってはないんで・・・」
「あの高さの物は流石にな。さて、そろそろ降りるとしようか」
「OK。どこに降ろせばいいんだ?」
「私が普段飛び立つ場所があるから、そこに降ろしてもらうぞ」
「分かった。場所だけ指示してくれ。キクヒメ、降りるからののか達呼んでくれ」
『了解いたしました』
とりあえずは、まぁ俺の方の用事を済ませてしまうか
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