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5話

纏めて投降終了です

山で岩を纏った蛇に襲われ、返り討ちにして帰還してから一日経った。

その間、同じ生物の襲撃はゼロ。

それどころか、やはりレーダーには反応がない。

どうやら本当にあれがここら辺を縄張りとして持っていたボスだったらしい。周囲に全く生物がいないことを考えると、かなり強力なボスであったことがわかる。


まぁそれはいいか。要するに危険がなくなったってことだったし。

重要なのは元の目的。この場所で基地建設をするかどうかって話だ。


キクヒメが地下の防御を固めるのと同時に、周囲の安全の確保もやってくれていた。

先ず周囲・・・サーベスの着陸地点の確保と、周囲に必要最低限の設備を立てられる土地の確保。

山という環境上、十分な土地を確保するのは難しいが、そこはSFゲームのハイテク機械。

斜面だろうが、何だろうが問答無用で建物を建てられるから問題なかった。


流石にまだ何も作ってない・・・そもそも建て始めてもいないんだけど。

それでも、俺の意思で始めようと思えば始められるのだ。

今は何から手を付けるかってことを考えている。


キクヒメが出してくれたリストには、いくつか建設出来る建物・・・それも必要度が高い設備がまとめられていた。


「・・・やはり食料関係は急いだほうがいいか」

『現在の状態では、サーベスの機能への依存度が高すぎます』

「種とかは数があるんだな?」

『収穫できた種も含め、十分な数がございます』


ふむ、それはいいことだな。


「試しに植えた種はどうだ?」

『成長率は想定内です』

「じゃあ変な問題もないと」


地下水を発見できたのが大きいだろう。あれのおかげで、農耕するのには問題ないらしいし。

水脈自体もかなり大きいらしく、少なくとも俺達だけが使う量で考えると数百年は大丈夫らしい。

それも、今確認出来る範囲での話だ。

調査の結果、さらに大きな水脈が広がっているらしい。それの最大量は分からないが・・・まぁ水に困らないのはいいことだ。

サーベスにも水の貯蔵はあるが、限界はあるしな。

食料何かより大きな問題なし。先にこれがどうにか出来たのは幸運だろう。


「同時に建てられる設備の数は?」

『現時点は2つ。資材を消費し、建造機を増設すれば増やすことも可能です』

「ふーん・・・どうするかな」


建造機の増設は、いつも通り建築をやってくれる無人機を増やすことなんけど、こいつは今までの無人機とは訳が違うのだ。

今までのはサーベスに収納可能で、サーベスに付属している機体なのだが、建造機は其れ専用の設備が必要なのだ。

基地を作るのに、一番最初にやるのは建造機基地の設立と言われるくらいだ。

デフォで二つ分の建物は作れるからそれが便利でいいんだけど。


まぁここで基地を作るのは確定としていいだろう。

ここ以上に都合のいい場所が見つかるかどうかわからんし。


「となると・・・こうかな」

『建設機基地と。収穫施設の建造でよろしいですか?』

「ああ、それで頼むわ」


まぁこうなるな。

必要度の高い収穫施設。

この先の発展に欠かせない建設機基地。

この二つを作ることにした。


「完了時間は?」

『収穫施設が15時間。建造機基地が29時間です』

「長いわなぁ・・・まぁしゃーないか」


基地建設ってこれだからなぁ。

ゲーム内でやるのは嫌だったんだよ。誰かとチーム組んでたなら話は別だけど・・・うるせぇソロ専で悪いか。

これでもトッププレイヤーだったわ。


・・・話が飛んだな。


「他にやる事あるか?」

『資材獲得施設の建造までの、資源獲得の為の方法を確保するべきかと』

「あー・・・それもあったか」


いくら中規模基地を作れるからって無限にはないしな。


ようするにキクヒメは追加で資源を手に入れられる場所を見つけろって言っているのだ。


「近くに鉱脈とかあるのか?」

『簡易調査では、この付近で金属反応を感知しております』

「ほう。じゃあ期待は出来るのか」


となると問題はだ・・・俺の機体だな。

正直な話、俺の機体はこういう調査には向いていない。

全部戦闘用だしな。もちろんそれを補うために装備は多く持っているのだが・・・まぁ向いていないことには向いていない。

調査用のスーツなら、色々便利なんだが・・・まぁ愚痴ってても仕方ないか。


何で出るか・・・山ってことを考えるのなら、引き続き『ヤマトスコーピオン』でいいだろう。

だが、鉱脈を見つけても中の調査もしなきゃいけない可能性はある。

穴掘って、中に入ることを考えると出来る限り小さい機体がいいな。

そうなると、『アビスキュイラス』かステルス戦闘用のあれ・・・または射撃型のあれだけど。

・・・いや、汎用性の高い『アビスキュイラス』だな。

こういう時の為に汎用性の高いこいつを作ったんだし。

装備は取り回しの良い物を。採掘用の装備は鉱脈を見つけた時にサーベスから送ってもらえばいいし。


・・・ハンドガン系統と・・・まぁ後は固定装備だけでいいか。


















『アビスキュイラス』は、ナノマシン装甲を持つことで様々な環境にも対応できる。

足元が悪くても、ナノマシンが調整を行い快適な足回りを実現できる。

まさに変幻自在な特殊兵器。装備の汎用性だけでないのだよ俺のアビスキュイラスは。


「この辺かな」


キクヒメが足した大雑把な座標付近で、さらに俺がダウジングで正確な位置を察知。

そこにサーベスから送られてきた採掘機で穴を掘ると・・・


「・・・空間だな」

『中規模の空洞のようです』

「人の手は?」

『確認出来ません。自然に出来た物でしょう』


発掘跡地とかではないと。まぁそれもそうか。

ああいや炭鉱とかあれば話は別か。そもそも周辺に人がいたって形跡すらないんだけど。


「反応は?」

『多数あり。希少金属も感知しました』

「お、何があった」

『コロネタイトの反応があります』

「・・・マジ?」


コロネタイト。

BМWの世界に存在する資源の中で、最も良く目にする物だろう。

そして、一番消費する物でもある。

初級者から中級者までのプレイヤーが持つスーツの装甲のほとんどがこの金属で構成されている。

または、この金属を用いた合金なのだ。故に、開発から修理など多くの使用用途がある。


まぁ俺の機体にはほどんど使われていないが・・・単純に基地建設や無人機の建造にも使えるのだ。

この先、絶対に必要になるであろう資源だろう。


それがまさかこんなすぐに見つかる・・・てか、恐らくBМWの世界ではないであろうこの世界に存在していたのは幸運だな。

勿論、基地設備が整えば量産は可能なのだが。


「掘るより先に調査かな?」

『敵性存在の調査を推奨』

「原生生物か・・・まぁどこまでのがいるのやら」


穴を開けた場所から飛び込む。

大体20メートルほど落ちたたな。この程度なら着地も問題ない。

土煙を上げて着地する。

周囲を見渡すと、仄かに鉱石が光っている。そのせいか、洞窟自体がうっすらと明るい。


コロネタイトはこんな風に光らない。

恐らくは未知の鉱石か・・・


アビスキュイラスの爪で一つ塊を採る。

重量は・・・思ったより軽いな。だいぶ岩石も含めているはずだが。


「なんだこれ」

『データベースにない鉱石です。調査を推奨』

「持って帰るか。・・・いや、本当に軽いな」


だが手触りから脆いといった感覚は受けない。しいて言うなら柔らかいだな。

もう少し持って帰ろう。何かに使えるかもしれない。

そう思い、爪を両手に出した瞬間、レーダーが生態反応を捉えた。


『反応4。こちらに向かってきます』

「・・・何か鉱石の反応もないか?」


なんだこれという俺の疑問はすぐに解決した。

岩に穴をあけて、4匹のトカゲが来たのだ。岩を背に背負ったトカゲが。

・・・ああいや、背負ってるというか、あれは甲羅か。


「あーそういうこと」

『上部の反応と、先ほど手に入れた鉱石の反応が一致』

「・・・ああ、もしかしてこれ食ってる感じか」


この軽い鉱石を食うことで、甲羅が同じような性質になったのだろう。

んで、恐らくここはこいつらの縄張り・・・あの蛇に襲われない場所だったのだろう。

そんなところに現れ、しかも鉱石を採っている不届きもの・・・それが俺だ。

そら集団で襲ってくるわな。

何か息荒げてるし、爪とか威嚇みたいにカリカリしてるし。


「敵意マシマシ?」

『敵に、高エネルギー反応を確認』

「は?」


甲羅が赤く光ったその瞬間、四匹のトカゲの口から炎が吐き出された。


「おっと」


左腕の爪を広く伸ばすように変化。

形状を記憶させた武装形態の一つ、カオスラウンドシールドで炎を防ぐ。


「結構温度高いな・・・それにこれ、マグマか?」

『粘度が高いため、機体に損傷を与える可能性があります』

「食らえばだろそれ」


攻撃してきた以上、眺めるだけってわけにはいかないな。

それに鉱石採りたいし、洞窟内で戦って崩れたら厄介だからな。

速攻で終わらそう。


すでにアビスキュイラスは全身に展開している。

故に、戦闘を行うのに何の問題もない。


盾を前にして、前に進む。

トカゲたちは何度もマグマを吐いてくるが、全く意に介さない。

耐熱には気を使っているからな。それは盾にしても変わらない。むしろ盾にしたことで防御性能は高くなっている。この程度では揺るぎもしない。


全く攻撃が効かないことにしびれを切らしたのか、四匹のうちの一匹が岩が付いているのかと言わんばかりの太い尻尾を叩きつけてくる。

それをは見ていたが・・・俺は腕を動かさなかった。それは何故か。


そんなことをしなくても、既に尻尾は切り落してあるからだ。


「シャ!?」

「そんな声なのかお前」


そこでようやく俺のアビスキュイラスの形状を見たのだろう。


まず、俺のアビスキュイラスは武器を持つことは少ない。

それは固定武装があるからと言ったが・・・本当は、こいつには固定武装すらない。

正確には、ナノマシンに記憶させた形状に装甲を変化させているだけだからだ。

これは武装とは言わない。

爪も盾も、元をただせば装甲だ。


そして今、アビスキュイラスは今までにない姿になっている。

右腕は鋭い一本の剣の様な形に、左腕は盾に。

そして最も目立つのは・・・腰から生えた、尾剣だ。

もはやストレングスギアと言うよりは、こういう怪物なのではと疑われるような格好だが・・・これがアビスキュイラスの最も安定した姿。

本来の意味での『アビスキュイラス』

名付けた名は、『ナイトビーストモード』

騎士のような堅牢さと、怪物のような獰猛さを持つ、攻防一体の戦闘形態だ。


「それじゃあさいなら」


尾剣が風を切り裂く音を鳴らしながら、トカゲの首を全部纏めて切り裂く。

圧倒的な切れ味を誇る剣は、抵抗感を一切感じさせずにその首を地に落した。

トカゲは、自分が切られたと認識することすら出来なかっただろう。


『反応ゼロ。お見事です』

「この程度じゃなぁ。まぁ採掘の続きと行きますか」



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