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74話

無属性魔法。

他に存在している魔法の属性、それらに属さない、分類出来ない魔法全てをそう呼ぶ。

この魔法は単純な効果を持つ物が殆ど。

その理由として、本来必要とするプロセスを無視して結果を直接出すという側面があるだからだそうだ。


例えば、温度を上げる為に魔法を使う場合。

炎属性の魔法でこれを行う場合、単純に火を出してこの結果を出す。

しかし無属性魔法の場合は、火を出すと言う過程を得ずにいきなり温度が上がる。

最も魔法らしく、最も非科学的な物と言える。


だがしかし、この魔法には大きな弱点がある。

一つの結果を生み出すのに必要な労力が大きくなることだ。

温度を上げる場合、炎属性なら1の魔力で出来る。

しかし無属性の場合はこれが2掛かる。

単純に倍。又はそれ以上の魔力が掛かるのだ。

これが、無属性魔法が廃れた理由でもある。


「そして、魔鉄との相性がいい理由でもあるのだ」

「その理由は?」

「無属性と言うのは、無色透明であり魔力そのものと性質が近いからだ」

「・・・ん?」

「お主は、魔力の持ち主を判別で来たな」

「俺と言うかセンサーがだな」


ダイジュナならダイジュナの、アルならアルの特徴がある。

それをデータとして集計。集めた物を使って、誰の魔力かを判別している。

つまり、生命の持つ魔力と言うのはその個人の影響を受けていることになる。

この影響が、ダイジュナ曰くダメなのだそうだ。


「ダメとまでは言わんが、魔鉄との相性という点においては無属性に劣る理由なのだ」

「へぇ~。じゃあ魔鉄を使うなら無属性の方がいいってことか?」

「いや。そうでもない」

「何故に?」

「魔力を倍以上使うのだぞ?魔鉄との相性が良くても釣り合いが取れんわ」

「なるほど確かに」


結局魔鉄自体に魔法の威力を上げるとかの効果が無いと意味がないわな。

あれは魔法を扱う上で特に支障をきたさないから良い物って言われてるだけだ。


「ん?もしかしてそれって」

「そうだ。無属性より相性は良くないが、それでも効果はあるからこそ何もないのだ」

「じゃあ無属性魔法と組み合わせると?」

「いや魔法と組み合わせても微妙ではあるんだぞ?」

「・・・じゃあ何の相性が良いんだ?」

「無属性という魔力自体との相性だな」


この相性を活かせるのは、無属性の精霊のみ。

人間や他の生物は、何かしらの属性に寄ってしまっているのでこの恩恵を絶対に受けられないそうだ。


「魔力を魔法として扱わず、ただ力として扱える者のみが効果があるのだ」

「ああ。だから精霊か」

「そういうことだ。我らの使う物は、厳密には魔法ではないからな」


人間の間では、魔法として扱えると言うだけで魔法ではない。

あれは精霊の力を使い、世界の物質に干渉して結果を引き出しているという表現が近い。

なので、やっていることは魔法ではなく、魔力を手足の様に使っているのと同義なのだとか。


その手足の様に魔力を使う。これが人間には難しい。


「無論練習すれば出来なくはない。だがそんなことをするくらいなら普通に魔法を使った方が良い」

「分かって来たぞ。無属性って精霊にしか意味がないんだな?」

「そうだ。使えなくはないが、使う必要が無いからな」


そら廃れるわ。

俺もこういう機会が無かったら知らなかったであろう知識だし。

でもうちのましろがそれになるかもしれないとは、中々に運の良い話かもしれない。


「具体的には何が出来るんだ?」

「知らん」

「・・・はい?」

「だから知らんのだ。正確には教えられん」

「どういうこと?」

「やれることが多すぎるからだ」

「はぁ?」

「無属性の精霊と言うのはな?精霊にとってはそれだけで最強格の存在なのだ」

「・・・つまりは?」

「本人の意思次第で、何でもできる」

「・・・バグってんのかそいつ」

「我もそう思うぞ。だが事実我らが母上はそうなのだよ」

「ああ。精霊の母親がそうなのか」


前にも言っていた、精霊達の生みの親ってやつだな。

その無属性の力を使って、ダイジュナ達も生み出したらしい。

確かにそれを聞いただけでも何でもできそうな感じはするな。


何にも染まっていない力から、各属性に偏ったダイジュナ達精霊を生み出す。

それを応用すれば、他のことだってできるだろうな。


「ふむ。ましろの事考えたら、そのうち会いに行った方がいいか?」

「まぁどちらでも良いとは思うがな。いずれにせよ、歓迎はされるだろうよ」

「お、案外フレンドリー?」

「というか、暇を持て余していてな。来客は基本歓迎されるぞ」

「へぇー。じゃあいろんな人が来そうなもんだけど」

「・・・だったら良かったのだがなぁ」

「違うっぽいな」

「住んでいる場所が場所でな。あまりにもあまりな場所なので人は滅多に来ない。

 なんなら我ら精霊でも滅多にいかんぞ」

「・・・可哀そうに」

「仕方なかろう。我らもそう暇ではないのだ」

「そうかー?」

「うっ。ま、まぁ確かにお主に出会ってからは暇そうに見えるだろうが」


実際こいつのこと暇人だとは思ってる。

だって俺と出会ってからずっと村か近くの精霊樹にいるし。

最近は封国に行ってたりしたけど、それ以降は基本近くにいる。

出会うまではいろんな場所を巡っていたとか行ってたけど、あれはいいのかと思わんでもない。


「実際の所どうなんだ?」

「・・・まぁ我がせんでもいいようなことばかりでな」

「あ、そう言う系ね」


他の精霊でも出来るようなことをやっていたらしい。

大体森が成長しすぎたりしてないかとか、他の精霊が困ってないかとかそう言うのを聞いて回っていたとか何とか。

確かにダイジュナじゃなくても良さそうだな。


「てか、アルは帰らなくてもいいのか?」

「やつはある程度力が戻ったら一度帰るとか言っていたな」

「お前もその時帰ったらどうだ?」

「・・・確かにその時に一度顔を見せに行くか」

「そうしろそうしろ」


俺が行くのは・・・まぁ別の機会でもいいだろう。

どうせましろが本当に無属性になるかまだ全然分からないのだ。

もうちょっと成長してからでも遅くはないだろう。


それに成長っていう点で言うなら、先にののかの方を心配すべきか。

あの子が俺の精霊の中では一番大人なわけだし。

今もドライアドと楽しそうにお喋りしてるが・・・あ、水が減ってるな、追加しておこう。


「そういや、ののかはこのまま育つのか?」

「ん?ののかか。まぁののかはそのままだと思うぞ。今も影響を受けているしな」

「ん?今も?ドライアドからか?」

「そうだ。精霊亜種と言うのは、属性の変化が起きないから元々の力が強いのだ」

「ほーそれは初耳」


キイナさんから聞いた話では、精霊亜種は精霊より弱いみたいな話だったはずだが。


「む。それはあっているぞ」

「合ってるのか」

「力が強いというのは最初の段階の話だ。ののかの様な子供よりは強い」

「じゃあ成長して段階が上がるとののかの方が上になると」

「そういうことだな」


精霊亜種は成長もあまりしないそうだから、そういう点では確かに精霊の方が強い力を持つらしい。

それに出来ることの多さでも、精霊の方が多いからその点でも同じだそうだ。

むぅ、何か精霊亜種が不憫に思えるような話だな。


「そもそも精霊亜種ってどうやって生まれたんだ?」

「む」

「話聞く感じ、完全に精霊の劣化だよな」

「人間的な側面が強いからそういうわけではないのだぞ?」

「それも聞いたけど、それも中途半端と言うかなんというか」

「・・・まぁ別に話しても良いか」


ダイジュナは、精霊亜種の誕生の話を語り始めてくれた。


「精霊亜種は・・・精霊と人間の融合体なのだ」

「・・・融合体?」

「うむ。かつて魔法の発展で大陸の殆どを征服した国があった・・・」


その国には、不思議なことに精霊使いが殆どいなかった。

魔法の技術と言う点で他の国を圧倒したその国は、当然その力を欲しがった。

だが精霊を視認することが精一杯。契約まで出来る存在は殆どいなかったそうだ。


そこで、精霊の力を得るべき様々な実験が行われた。


「精霊の力を封じる道具なども、その時に制作された物だ」

「そんな話が」


その実験の中に、精霊と人間の融合実験があった。


「何だってそんなことを」

「自分達は才能がないから使えないと考えたのだろう。なら別の手段で力を得ようとした」

「・・・なるほど、才能じゃなくて精霊の力そのものを得る為にやったのか」

「正解だ。精霊自体をその身に取り込むことで、精霊の力を使おうとしたのだ」


もちろん実験は失敗した。

それどころか、その実験はある存在の怒りを買った。


「誰だ?」

「我らの母だ。あの怒り様は今でも覚えているよ」


まさに天災。

自然の猛威そのものが具現化したかのような怒りだったそうだ。

大国だったその国は、たったの一日で全滅。

文字通り何も残らず消え去ったようだ。


だが、唯一残った者がいた。

それが、実験で生まれた精霊亜種だった。


「今生きている彼らは、その時の生き残りの子供なのだ」

「なるほど。そういう理由だったのか」

「母は、彼らに会いづらいらしくてな。もっと前に助けられたと嘆いていたよ」


はぁ。精霊亜種の扱いが何か微妙だったのか。

ヘタな扱いをすれば、再び過去の国と同じ目にあう。

だが実際問題、何が正解か分からないと。


「まぁそう言う意味では、理由を知らなかったお主の元に来れたのは幸運であったな」

「だなぁ。まぁ知ってても対応変わらないだろうけど」

「うむ。流石流れ人だ。我らの常識が通用せんのはこういう時に良い」

「それ褒めてんのか?」

「褒めているよ。彼らの希望条件も満たしていたしな」

「・・・そういやそこ聞いてないな」

「む?聞いてなかったか」


精霊亜種達の希望条件。

それは、そこに住む上でこれをしたいということだった。

だが、それはあまりにも大したことではなくて。


「彼らはな、一人前に働きたかったのだよ」

「・・・はい?」

「精霊亜種の話はこの世界では有名な話だ。だからこそ、誰も彼もが彼らを特別扱いする」

「あーそういうね」

「母の事もある。敏感になっていると言っても良いな」

「まぁそこは仕方ないんじゃないのか?」

「そうだな。だからこそ。彼らは住処を求めて旅をしていたのだろう」

「他の精霊亜種達は違うのか?」

「殆どは違うな。精霊ともにいる存在の方が多いしな。ほれ、ドライアド何かはそうだぞ」

「あ、あの子がそうか」


・・・ふと思ったが、ドライアドも精霊亜種だよな。

どうやって子供作ったんだ?


そんな疑問を、ダイジュナにぶつけてみた。


「どうなん?」

「ん?普通に同族同士で結ばれていたぞ?」

「あ、そこは普通なのか」

「まぁかなりの数があの時点でもいたからな」

「種類も多かったのか?」

「それはそうだろうよ。精霊亜種はその生まれの関係で種類はこれ以上基本的には増えんしな」


以外と深い話だな・・・ん?待て待て。


「じゃあなんでドライアドは森に生まれるんだ?」

「ドライアドの種子はどの森にも存在するからだぞ」

「・・・は?」

「いや、ドライアドは精霊と人間。そして植物の側面を持っているからな」

「まぁ・・・それは何となく分かってた」

「そもそも植物がどうやって子を残すかは知っているな?」

「え?まぁそれくらいは・・・もしかして」

「そのもしかしてが正解だ。ドライアドの生殖方法は植物と変わらん。子の残し方もな」

「ほ、ほぇ~・・・」


魔力の環境が整った場合に生まれる精霊というのはののか達がそうだな。

精霊亜種は、その方法でも一応子供が出来るらしい。理由に関しては教えてくれなかったが。

まぁ亜種の種類によってその方法は大きく違うらしく、一概にこうとは言えないそうだ。

な、何だろうか。生命の神秘と言うかなんというか・・・とにかく、何か深い話を聞いた気がするぞ。


「まぁ豊かな森でないと芽は出んのだがな」

「やべぇ色々パンクしそう」


ちょっと詰め込みすぎたかもしれん。

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