73話
『ヤマトスコーピオン』に乗ってドライアドちゃんの回収作業。
鋏である『アンチローリエ』を取り換えてただのシャベルに。
どんな環境にでも戦える機体である『ヤマトスコーピオン』
その馬力は俺の持つ機体の中でもトップクラス。
なのでこういう作業的な事も簡単に出来てしまう。サイズも大きいから、土木作業向きだとこちらの世界に来て気が付いた。
「根っこどこまでだー?」
「ふむ・・・どうやって示せばいい?」
『ダイジュナ様の力をマーキングします』
「根っこの所までお前の力伸ばしてくれればいいやー」
「分かった」
えーっと大体・・・え、10m?根っこ長いんすね。
「おんなのこにいっちゃだめです」
「え?何身だしなみ的な話?何かごめん」
ののかとドライアドちゃんにぷんぷんされてしまった。
だがしかし、実際かなり長いと思う。
この森の木の根っこが大体2mくらいだった。
それに比べて単純に五倍。これはドライアドが原因なのか、それとも別要因か。
ただ根っこは植物の精霊的には身だしなみ的な事があるらしいのであんまり調べるのはやめておこう。
無駄に怒られるのは本意ではないのだ。
丁寧に慎重に、絶対にドライアドちゃんの根っこを傷つけないように掘り起こす。
ののかの力も借りて、体がひっくり返らないようにも気を遣う。
ゆっくりやること20分。完全にドライアドちゃんを地面から掘り起こせた。
「よし、これで後は何故か倉庫にあった巨大鉢植えに植え替えれば・・・」
「・・・なんでこんな物があるのだ?」
「さぁ?」
何かのイベントで使ったんだと思うんだが記憶にないんだよなこれ。
「ののかも入ってくかー?」
「いいんですか?」
「いいぞ?ドライアドちゃんも一人だと暇だろ」
「じゃあいっしょにいます!」
わーいとののかIN鉢植え。
実際移動させ終えたら暇になるだろうからな。ののかにいてもらうのはありがたいことだ。
後はこの巨大鉢植え事サーベスに移動させる。
流石に倉庫に戻すのは出来ないので、他のストレングスギアが置いてある格納庫に持っていく。
「何か他に必要な物あるか?」
「水があれば、後は我の魔力があればここでも問題はないだろうな
・・・いや、ののかがいればそれもいらんか」
「じゃあとりあえず水は置いておくか。どっかにタンク置いておけばいいか?」
「どうやって使わせる気だそれは」
「その為のののかだよ」
「なるほどそういうことか」
「そんなわけで、短い間だけどお世話係よろしくな」
「フンス!」
「おおーやる気満々」
まぁこの調子ならそこまで気を使わなくても良さそうだ。
これでこの土地に置きた異変の調査も終わりだ。
原因も分かったし、特に問題も無いことも分かった。
アルは村の方にいるから、俺達はこれから帰るだけだ。
「アキハ達に挨拶せんでいいのか?」
「・・・今行ったら、また追加が来るって先に言われたからな」
「あー・・・」
アルに先に忠告されてたからな・・・
そんなわけで、今日はこのまま帰ります。
ナノマシンも操作はいらないみたいだし。
これで一息つけるという物だ。
「・・・そういやさ。あのドライアドなんだけど」
「ふむ。気になるか」
「そら気になるでしょ」
サーベスの艦橋で、ダイジュナとドライアドについて話す。
ダイジュナはあの環境では生きていけないと言っていたが、そもそもどうして生まれたのか。
それは、ドライアドが生れる環境に原因があった。
「まず、ドライアドがいる森は肥沃な森と言うのは教えたな?」
「聞いた聞いた」
「誕生するのもそれと同じ条件が必要なのだ」
「・・・じゃああそこでもいけんじゃない?」
「それが無理なのだ。あそこは特殊すぎるからな」
ダイジュナが森を歩き回った感覚では、森から感じる力はどう見積もってもあの規模の森ではなかったらしい。
もっと小さく、弱弱しい森の力を感じたそうだ。
しかし規模はそれに見合わずに大きい。これは、急成長したが故の問題であると言う。
「急成長の理由は、お主の方が詳しいな」
「そうだな」
あれは俺のナノマシンが働きかけた結果だからな。
ふむ。じゃああのドライアドが生れたのには俺にも責任があるな。
ナノマシンがダイジュナの影響を受けて変異した結果、一時的に大きな力を発揮した。
恐らくだが、その一時的な力を受けて、森の中にドライアドが生れたというわけだ。
「じゃあ俺達が来なかったら危なかった?」
「だな。しばらくはお主の団子のおかげで生き永らえたろうが」
「時間が経てば森が活性化するんじゃないか?」
「しないな。周りが同じような環境ならそうなるが」
あの森しか生きていない状態なのには変わらない。
なので森がこれ以上活性化することはあり得ないのだそうだ。
「だがこれは少し考えものだな」
「そうだなぁ」
「ドライアドが毎回生まれてたんじゃな。回収するのはいいけどさ」
「我も森にドライアドが多くいるのは構わんが・・・生まれるのを分かった上でやるのもな」
「ちなみに多くいると何か良いことあったりする?」
「・・・んー。森が豊かになるから、恵が多くなるな」
「・・・いいことじゃね?」
「その分森に住む魔物達も強くなるぞ」
「一長一短ってことか」
「まぁあの村では大丈夫だろうがな」
『ソキウス』があるから、村の面々は最近苦戦が無くなったとか言ってたレベルだしな。
村長も滅多に戦わない立場なのにも関わらず同じこと言ってたし。
これは『ソキウス』がこの世界においては異常なことが原因だからあれだけど。
まぁでもそれはそれでいいのかもしれない。
俺も環境の変化に関しては目で見てみたいし。
「一匹・・・一人?いるだけでも変わるのか?」
「流石に広範囲では変わらないが、狭い範囲なら影響はあるぞ」
「ほほー」
「あの村だと、ウッドベリーのある所にいると良いかもしれんな」
「そうなの?」
「うむ。あれはうま味が増せば柔らかくなるからな。加工もしやすいだろうよ」
「へぇー」
流石ダイジュナ。そういう方面の知識は大量にありそうだ。
「それにあそこなら、あの娘もすぐにウッドベリーを食べられるだろうしな」
「・・・あ、普通に食事するんだ」
「そこは我と同じだな。太陽の光や魔力でもいいし、直接接種するのでも構わんのだ」
「ののかは違うよな?食事だけだし」
「あの子は大地の力の方が色濃く出てるからな。
正確には、両方が強いが故にどちらかの性質に一気に寄ったのだろう」
「ほぇ~」
やはり精霊は奥深い・・・ん?待てよ。
「ライチは電気食べられたりするのか・・・?」
「あちらは確か、シルフと共にいたのだな?」
「そうだな。基地にいる時は入り浸ってたし」
「なら食べているのは風だな」
「・・・風を食べる?」
「風に込められた魔力を食べているのだ。確か魔石を使った魔道具でも良かったはずだぞ」
「魔石の魔力で風を起こす感じ?」
「そう。それだ」
なるほど扇風機だな。あれは電気だけど。
でもライチはそうなのかー。だったら何か作ってあげてもいいかもしれない。
他にも、ののかは植物と大地の合わせ技で大地の恵み・・・野菜や山菜と言った物が好きでもあるらしい。
俺の家ではキイナさんがバランスよく食事を出してくれているので、あんまり気にしたことは無かったが。
ましろはまだ特定の属性がないので、魔力か普通の食事のだけ。
これは分かっていたことだな。
ちなみに、このまま成長していくと変わった精霊になるのだとか。
「精霊なのに属性に偏らないってあるのか?」
「あるぞ。無属性という扱いになる」
「む。聞いたことない属性だぞ」
「おや?キイナから聞いてないのか」
「無いな」
「・・・もしかしたら知らんのかもしれんな。いかんせん古い属性ではあるしな」
他の属性全てに属さない魔法、それらすべてを纏めて無属性魔法と言うらしい。
ただ基本的に無属性で出来ることは他の属性で代用できてしまうそうだ。
さらに、無属性は誰にでも使える代わりに、他の属性で威力の面で劣る。
その為に、無属性という魔法は、属性そのものが徐々に廃れて行ってしまったらしい。
「寂しい話だなぁ」
「仕方に無いことだがな。だがちゃんと無属性でも利点はあるのだぞ」
「お、それは聞きたいな」
「ずばり、魔鉄との相性が抜群に良いのだ」
「・・・その話少し。いや、かなり詳しく頼めるか」
「・・・おや?」
今とても大事な話が聞こえた気がしたわ。
「あ!おみずのむ?」
「」(コクリ
「まっててねー」
ののかが鉢植えの近くに置かれたタンクの栓を回して口を開ける。
すると蛇口から一気に水が流れてくる。あっという間に鉢植えを満たしてしまいそうなくらいの勢いだ。
だがその勢い以上の速度で、水が減っていくのだ。
ドライアドが、その根と手に当たる部分を水に浸けて一気に飲んでいるのだ。
「」(♪~
「おいしいー?」
「」(グッ
「よかったー!」
基地でろ過された水。何となく積んであった物のうちの一つだ。
こんなことに使うことにあるとはもちろん想定されていないが。
「あ、そうだ。ますたーにおみずのごほうこく・・・」
『ダイジュナ!一体無属性って何なんだーッ!!!』
『説明するから座らんかぁぁぁぁぁ!!!』
「・・・あとでにしよ」
ののかは、空気を読むということを学んだ。
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