表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/241

70話

「すまん取り乱した・・・」

「すげぇ声出てたぞ」

「我もあんな声出るのかと驚いた」


どんだけ衝撃的だったんだよおい。


俺が村から出てから後に、アルが遊びに来たらしい。

どうやら俺とダイジュナがやっている大地再生の事で話があったらしいのだが、俺がいなかった。

帰ってくるのは今日なのは分かっていたので、村で待っていたらしい。


そんな時に、遠くの山岳地帯から感じるとんでもない強い魔力。

それも知り合いの物。何かあったのではと、急いでここまで来たそうだ。

確かにダイジュナが本来の姿に戻っている。マジで本気だったか。


「まぁ何も無いようで良かった」

「何心配してたんだ?」

「いやな?お主ドラゴンを二体倒しておるだろう?それで勘違いしないかとな」

「ハッハッハ。警戒はされたが、当然レベルでしかしてなかったぞ」

「まぁそれくらいならな」


いきなり知らん人が家に来てたらそら警戒するよねってレベル。

俺の場合は同居人が勝手に呼んだ知り合いって立場なんだが、それなりに警戒はする。


「てか、警戒しようがカスみたいなもんじゃないのか?お前にとっては」

「うん?確かに感じる物はそうだが、戦いはそれだけではないからな」

「コウ。分かっているとは思うが」

「分かってるよ、こいつ、お前より強いんだろ?」

「不本意だがな・・・」

「不本意なのか・・・」


一体こいつらの間に何があったんだ。


だが別に仲が悪いわけではないらしい。

お互いにこの程度は軽口の範囲なようだ。


「ふん。それにしても相変わらずの様だなお前は」

「今更変われと言う方が難しいだろうよ。そういうそっちはだいぶ変わったな。

 おや?色が濃くなっているな?」

「貴様はこっちが本来の姿だと知っているだろうが!」

「さてどうだったか」


俺が話さなくてもこんな具合だ。付き合いも長いみたいだし。

片方は精霊。もう片方は貴族ドラゴン。

どういう流れがあって知り合いになったんだか。


「そういえば、外にバカでかい荷物が置いてあったが?」

「あ、そういえば忘れてたわ」

「おおあれか。中は我が国で取れる名物だったり資源だったりとかそう言う物だ」

「・・・ん?もしかして俺宛て?」

「そうだぞ。人なら何かしら役に立つだろうと思ってな」

「このバカ親が」

「まぁまぁ。我が子が可愛いのは私も良く分かりますし」

「お、アル。そっちはもういいのか?」

「ええ。何やら大変恐縮されてしまいましたが」


俺とリア、ダイジュナが話している間アルがどこにいたか。

ダリアとナユタ、キイナさん達の方にいてもらったのだ。

二体の精霊が入って来た時、一番反応が顕著だったのはダリアだ。

キイナさんは最近俺の家にいることが多いので、ダイジュナと合うこともあるのであまり驚かなくなってきた。

村の人達はずっと歓迎ムードなんだけどな。


それで、ダリアが反応したのは単純に彼女が精霊亜種だから。

精霊亜種というのは、精霊に対して何か思う所とかは無いらしい。

自分達の良い所はちゃんとあるし、それは逆に精霊達が持っていない物だからだ。


だがそれでも精霊は精霊。

精霊達の中でも偉大な存在のうちの一体であるダイジュナとアルディーン。

この二体を直接見たら、そら反応しちゃうわな。

それに気が付いたアルが、俺達に断りを入れてそちらに行ったのだ。

まぁあんまり緊張をほどけたりはしなかったみたいだけど。


「まぁお前らを前にしたら、精霊の系譜の者達は皆そうなるだろうよ」

「私としては、そこまで立派な存在ではないはずなんですけどね」

「いや。永い時間。一人で世界の脅威を封印し続けたのだから当然だろうが」

「そうだな。我もそう思うぞ」

「うむうむ。アルは前から謙虚だな」

「そ、そうですかね」


褒められまくって照れるアル。

服の袖を掴んでもじもじとしている。


あ、そうだ。その封印で一つ聞きたいことがあったんだ。


「そういえば一ついいか?」

「ん?私か?」

「そうリア。お前の力な、バイオティラノ・・・あの封印されてたやつくらいなら簡単に倒せると思うんだが」

「・・・あー。うむ。そうだな」

「何で倒さなかったんだ?」

「・・・ダイジュナ。お前はどこまで話した」

「細かいとこは言ってないが、凡その流れは伝えてある。ただ当時の世界の話はしていない」

「そうか。なら、私の国の話をした方が良いか」


リアのいた国。封国の更に南。いくつか国を超えた先に、その国はある。


「名を竜国ドラゴニアン。その名の通り、人と竜が共にある国だ」

「へぇ・・・珍しいのか?」

「珍しいな。そもそも人と生きる竜など我ら以外にはいないだろうな」

「お前も知っているだろうが。普通の竜は理性はあるが本能的だ」

「人間なら襲い掛かってくるってか?」

「そうだ。言葉も話せんしな」

「私たちからすれば、野良の連中と一緒にされたくはないがな」


違いとしては、普通のドラゴンは言葉を話さず人を見下している。

そして何より、魔法を使わないそうだ。

使う力は感覚的に操っている属性の力。それは確かに強力だが、力押しであるが故に知性的ではないとのこと。


対してドラゴニアンに住まう竜たちはそうではない。

本能的に操っていた力を洗練させ、より鋭く、強力に使いこなす。

そして人と力を合わせることでさらなる力も持つことが出来るそうだ。


「じゃあ俺が倒した連中は?」

「そもそもあの国の連中はあまり外に出ないから気にせんでもいいぞ」

「うむ。それに真剣での戦いで負けたのだから、我は何も言わんよ。というか何故言わなければいかんのだ」

「あら。割と弱肉強食?」

「そうですね。私の契約者も同じことを言ってましたよ」


うーん。強気こそが竜。負けたものは恥さらし・・・とまではいかんがそれに近いんだろう。


「んで?その国が何か関係があるのか?」

「ドラゴニアンの歴史はそこまで長いわけではない。今ある国に比べたらそれなりに長いのだが」

「大体封国と同時期に出来上がっているのだ。基盤自体はこちらの方が古いが」

「はい?そうなのか?」

「国として成り立つ前。世界はいくつもの脅威にさらされていた・・・」


リアが教えてくれたのは、この世界の歴史。

何があり、どうなって今に至るか。

その話は、俺にも大きく関係している事だった。


「私の国に有った脅威は、言葉に表すなら破滅の竜と言った所か」

「破滅の竜・・・」

「バイオティラノが現れたのと同じ時に、それらは突如現れたのだ」


触れる物全てを破壊していく竜。

通った場所全てを飲み込んでいく大樹。

あらゆる国を制圧し、人々に恐怖を与えた影の軍勢。

そしてバイオティラノ。


この4つの脅威が、かつてこの世界に襲い掛かってきた。

それらは本当に突然。何の前触れもなく現れたらしい。


「それらとの戦いは、文字通り死戦だった」

「私の国にいたのは、そのうちの一体である竜だ」

「そいつと戦ってたのか」

「当時はな。そしてその力に関しても分かっていた。だからこそ、封印を解くわけにはいかなかったのだ」

「万が一、自分の力に適応されたらってことか」

「ああ。封印ごと壊すことも出来たが、その場合はアルを犠牲にすることになる」

「生きているのなら、どうしても助けたい・・・そう願った我らは、その手段を取ることが出来なかったのだ」


確かに詳細を知らずに、バイオティラノの適応能力だけみたらそうなるのも仕方ないか。

最悪は、リアの力自体を学習して使えるようになる可能性もある。

というか、バイオティラノは生物的な存在と相性が最悪なのだ。

その設定と効果は、まさに生物キラー。

学習し、適応し、作り変える。

『アビスキュイラス』はそれを前提に作っているから、ある意味でこれもそれと同類なのだが。


「じゃあ俺がやったのってお前ら的には駄目だった?」

「まぁ奴の事を知らんのなら止めたがな」

「お主はあれの事を、その名すら知っていただろう?」

「そういうことか」


自分達よりその敵に詳しい存在が、絶対に勝てると言い切ったのだ。

確かに任せてみる価値が大いにある。

実際勝ったわけだし、アルも無事だし。


「だからな、あの祝い品はその礼も含めているのだ」

「・・・えぇ?別にいいんだけど」

「めっちゃ嫌そうな顔したなお主」

「すいませんうちの子達が」

「かなり悩んでおったからな」

「何があったらそうなる」


も、貰った魔道具だけでもお腹いっぱいなのに更に増えるのかと思うとついな・・・


「い、いや。引っ越しの祝いだと思えば何とか・・・なるか?」

「がんばれ」

「まぁ大した物ではないから気にすることはないぞ?あの程度ならすぐ手に入るしな」

「人に贈り物するやつは皆そう言うんだ」

「変なひねくれ方になっとるな」


こればっかりは分かるまい。


「はぁ・・・まぁ後であらためるか」

「うむ。そうしてくれ」


最悪亜種達に押し付けようそうしよう。


「だけど、バイオティラノ以外にも似たようなのがいたんだな」

「あ、ああ。もしかして。そちらも知っているのか?」

「・・・え、その竜も封印されてるの?」

「いや。完全に破壊したぞ」

「だよな!・・・ん?破壊?」

「ああ。魂の無い存在だったからな」

「お主のクロウの様な物だったな。まぁクロウは良い子なのだが」

「・・・破壊の竜・・・なぁ、その竜って、もしかして翼からビーム撃ってこなかったか?」

「うん?・・・確かに、翼から何か出していたな」

「爪がバカでかくて、目が赤くて。具体的にはこういうやつ」


俺は、リア達にあるレイドボスの画像を見せる。

俺が・・・いや、俺達がかつて倒したことのあるレイドボスの一体。

その時は確か、30人で組んで戦ったのだ。

初見の戦いでは、6割の機体が撃墜。大破判定が4機。それ以外は俺含めて全て中破判定まで持ってかれた


敵機体の名前は『ハイドラ』

コンセプトは、全てを超越する火力と攻撃範囲。

翼にある100を超えるビーム砲台は、放たれれば一瞬で街を灰すら残さず消し飛ばす。

爪に触れれば、どれだけ強固な機体でもあっという間に叩き潰す。


「・・・」

「・・・」

「・・・これは」

「こいつなんだな」


全員。画像を見た瞬間に反応が分かれた。

ダイジュナはやはりかと言う目だ。恐らく知っているだろうという予測は立てていたのだろう。

クロウも見てるし、魂の無い恐ろしい存在と言う点では、俺は専門家とも言える。


アルは単純に驚いている。どうやら彼女も見たことがあったらしい。


そしてリアだが・・・竜の顔でも分かる程、怖い顔をしていた。


「・・・そうか、これは別の世界にも」

「というか、俺の世界出身だよ」

「倒せたのか?」

「30人で組んで、全滅一歩手前まで行ったけどな」


バイオティラノよりは後になって実装されたレイドボスだが、それなりにレイドボス自体に慣れてきた俺達。

だからこそ、こいつと戦って認識を改めさせられた。

どれだけ慣れても、レイドボス相手に油断してはいけないのだと。


確かに当時の機体は、俺含めて今ほど強くはなかった。

だがそれでも、当時のトッププレイヤー達が全滅しかかったのだ。


「よくもまぁ勝てたなと」

「・・・何も失わなかっただけではないがな」

「だろうよ」

「コウ。お前は他の二体も知っているか?」

「獣の方は知らないけど、多分影の方が知ってるぞ」


獣は情報が足りなくて絞り切れないが、影の方は分かる。

ただそれはレイドボスではなく、勢力戦と呼ばれる特殊なイベント戦闘に置いて出てくる敵だった。

一つ一つの戦闘力は高くはないが、そいつらを生産しているやつを壊さない限り無限に出てくる。


「そうだ。それだ」

「まぁ生産してる物さえ壊しちまえば全部止まるから、勝てたんだろ?」

「ああ。奴等が守っている物は分かっていたからな」

「占いで、それがやつらにとって重要な物であるのは分かっていたからな。何とか忍び込み、破壊に成功したのだ」

「忍び込む?よくやれたな」


文字通り地平線を覆うほどの数が出てくるんだけどな。蟻一匹通る隙間もないレベルだ。

『無影』だってあれの眼をすり抜けるのは苦労するぞ。

大体勢力戦の勝ち方は、壁となる機体とランナーが前線を押し上げて、後方から狙撃と砲撃で削っていくスタイルだ。

中には軍勢の中を単機で押し切るやつもいるがな。


「まぁ俺の事なんだが」

「良く出来るな」

「相性が良いんだよ」


数が多くて戦闘力はそこまで高くない=アビスキュイラスの餌が多いということだ。


だがそうか。バイオティラノ以外にも何体か存在していたのか。

そうなるとだ、この世界にはまだBMWの中にいた敵がいるのではないか?

俺がこの世界に来たのは・・・それを倒す為なのか?

よろしければ評価やブクマ登録お願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ