66話
風力発電や、風が関係している施設にいた『シルフ』
採掘機付近で採掘活動をしていた『ノーム』
山の中を通る水源の管理と、清浄化を行っていた『ニンフ』
精錬所やエネルギー生産施設に多くいた『サラマンダー』
基地にいた精霊亜種達各種族のまとめ役を管制部に集めて話し合いをすることに。
内容は、この基地に住んでいいよっていう許可だから話しあいってレベルではないが。
中でもニンフとサラマンダーは喜んでいた。
彼らが好む環境と住みやすい環境は必ずも一致しない。
精霊とはいえ亜種だから、住みやすい環境と言うのは人間のそれに近い。
だが精霊だから、可能な限り自分の属性の力が強い場所にいたいというジレンマ。
この二点を見事に満たしていたのが、俺の基地の各施設と言うわけだ。
「実際問題。なんでそこは属性の力が強いんだ?」
「我々の力は、環境ともう一つの要因があるのです」
「そこで行われている活動内容が大切なんだー!」
「活動内容?」
「例えばですが、森林では命が育まれているでしょう?
この場合、生命の力を持つ精霊が好む空気になりやすいのです」
「なるほど。じゃあ火山だったら活火山の方が良いわけだ」
「動いてないなら住みやすくはあるんだけどね!」
「なるほどねー」
『シルフ』と『ニンフ』はおとなしい。
『ノーム』は真面目な感じ。
『サラマンダー』は元気な印象を受ける。
この精霊達、話しを聞けば聞くほど中々に大変だったであろうことが分かる。
精霊としての側面があるが故の問題と、普通の生命体に近いからこその問題。
その両者が良い所と反発しあっているから、生きるのも難しい。
キイナさんは言っていた。
人の中に住むようになった精霊亜種達は、ある意味で成功した者たちだと。
上手いこと環境に対応出来た・・・人に近い性質が強い者だち。
そして逆に、精霊の力が強い彼らは、あまり人にとって整った環境になりすぎると住みにくくなる。
住めることには住めるが、どうしても不快感が残り続けるそうだ。
「精霊としての力が強いなら、誰かと契約は出来なかったのか?」
「あーコウ様。精霊亜種との契約は、普通は出来ないんです」
「ん?出来ない?」
「はい。精霊達と行う契約も一つの魔法なのですが、それは亜種達には反応しないんです」
「別の魔法が必要ってことですか?」
「そうなんですけど・・・彼らは人なので、そのあたりが厳しくて」
人と人の間で結ぶ契約魔法も当然存在する。
主に商人たちによって使われている魔法だが、これは別に強制力が働くものではないのだ。
精霊達との契約は、ある種の強制力が働いている。
魔力の動きに関してだ。強制力を働かせることで特に意識しなくても魔力を精霊に送ることが出来る。
他にも細々と、あった方が良い部分に関しては強制力が存在している。
亜種達にとって問題なのはこの強制力の話。
「人扱いだから、強制力がある契約は駄目だと」
「基本的に法律違反になるって、おじいちゃんは言ってました」
そういえば奴隷とかも基本は駄目だったな。あれは隷属することを強制されるからだ。
「じゃあその強制力が一切ない物なら・・・あー、それだと意味が無いのか」
「そうなんです。契約はどういった形であれ強制力が絶対に発動する魔法なんです」
「難しいな」
「それらを解決しても、結局才能が無いと契約も出来ないので・・・」
「見えたらってあー・・・そうか。精霊が見えるほどの才能があれば契約は出来るってだけでしたっけ」
精霊が見える=精霊使いとしての才能がある。これは間違ってない。
しかしだ、別に精霊が見えない=精霊と契約出来ないではないのだ。
俺みたいに何かしらの道具で精霊を感知出来れば、契約出来る者もいる。
大事なのは見れることだと、ダイジュナ達は言っていた。
では亜種達は誰にでも見えるのなら、契約出来るのではないかとも思う。
これは違うらしい。
精霊を肉眼でみることが出来るのなら才能が◎。
何かの力で見えるようになり、契約出来るのなら才能〇。
だが人間の殆どは・・・見えないし、見えても契約出来ない。
俺やキイナさんは才能ありだから契約可能だが、精霊とのこれ以上の契約は普通に出来ない可能性が高い。
キイナさんは特にな。
「俺だったらワンチャン?」
「だ、ダメです!コウ様は既に三体の精霊と契約してるんですよ?」
「とは言っても、ダイジュナ的には俺はまだ余裕があるらしいけど」
「・・・え?そ、それは本当ですか?」
「らしいですよ」
「契約した時に、体が重くなったりとかは・・・」
「無かったですね、欠片も」
「「「「「・・・」」」」」
何かめっちゃ驚かれた。
キイナさんだけでなく亜種達まで。しかもとんでもない怪物を見る目をされている。
・・・そういえば、ダイジュナに言われたな。
精霊との契約数に置いて、自分の才能だけで三体は最高数だと。
古の英雄でも、道具や補助込みで五体だったっけ。
そらまぁ驚かれるわな。
「ちょいと契約してみない?問題解決したらだけど」
「・・・いいんですか?」
「ん?全然いいけど」
「・・・で、では出来るようになったら」
「OK。まぁどれだけ出来るかはわかんないけどな」
実際後どれくらい契約出来るんだろうか俺は。
そのあたり事前に調べられたらいいんだけどなぁ。
どれだけ調べても、精霊との契約数の条件や限度がいまいち調べきれないし。
魔力の総量とは言われたけど、何かそれだけじゃないみたいだしな。
量だけだなら、キイナさんならもう一体はいけそうだったし・・・まぁいいか。
「あ、そういえばここで住むんなら家必要か」
「え!?だ、大丈夫ですよ!!」
「我々は今の場所があれば全く問題ないんです!!」
「でも寝る所はあった方がいいでしょ?」
「ま、まぁそれはそうですけど・・・」
「ベッド欲しい!」
「ほら」
とりあえず、コヒメに指示して宿舎でも作るか。
レイアウトは・・・まぁ一度作ってからだな。
「いやぁ。まさかこうなるとは」
「お疲れ様でしたコウ様」
「いやいや。キイナさんもごめんなさいね。結局普段と変わらないことさせちゃった感じで」
「いえいえ。私も楽しかったですよ。初めて亜種達も見れましたし」
「そうです?ののか達は?」
「みんなおとなでした・・・」
「えぇ・・・」
どこでへこんでんだこの子は。
ライチとましろに関しては聞くまでもない。何せ仲良くなりすぎて、今俺の近くにいないし。
ライチはシルフたちの所に、ましろはニンフの所に居る。
ライチは属性関係上の相性だが、ましろは単純に気に入られたからだな。
やはり猫の可愛さは精霊すら虜にするらしい。ましろは虎だけどな。
今は基地内にある管理室。俺の部屋にいる。
人が寝泊まりするって環境なら、サーベスよりこっちの方がクオリティが高い。
作っておいてなんだけど、どこの高級ホテルかと思ったほどだ。
あ、もちろんキイナさんの部屋はここじゃないからな?隣ではあるけど。
今はお話しましょうってことで、俺の部屋に呼んだのだ。
「・・・そういえば、一つ気になったんですけど」
「はい?」
「あいつら・・・契約に何か悪い思い出でもあるんですかね」
「え?」
「いや、俺が契約しないかって聞いた時、一瞬ですけど・・・悩んだ?違うな、戸惑ったんですよ」
「・・・これも、聞いた話ではあるんですけど」
「何かあるんですか?」
「そもそも精霊亜種は・・・契約する意味がないんです」
「・・・は?」
「私たちが精霊と契約する理由は、お互いにメリットがあるからです」
「そらまぁ・・・そうでしょうね」
俺達は精霊の強力な力を使えるようになること。
精霊達は、自分達の好みと、与えられる魔力で成長する。
このお互いのメリットがあるからこそ、俺達は契約を行う。
理由の大きさにそれぞれの差はあれど、この前提は変わらない。
だが、亜種達がそれの意味がないとは、どういうことだ?
「えっと・・・亜種と契約出来ると言うことは、精霊と契約出来るということでもあるんです」
「そらそうでしょうね・・・まさか」
精霊亜種は・・・精霊より力が弱いのか?
「正確には、精霊亜種達が使える魔法は、私たちも普通に使えてしまうんです」
「そして精霊なら当然出来ると」
「はい・・・だからその、精霊亜種と契約を行う人は少ない・・・いや、いないんです」
ただでさえ少ない精霊と契約出来る人間。
その彼らですら契約を行わない精霊亜種。
理由は、まぁ大体想像できる物だった。
実際同じことをやらせても精霊の方が強い力で出来るらしい。
確かに魔法の扱いにおいては、人間達より優れていると言える。
だがそれは、本当の精霊に比べたら自由度と力の大きさで大きく劣る。
人間の魔法でも、似たようなことが出来てしまう。
その為に、彼らは人に必要とされないのだ。
「クソみたいな理由ですね」
「私もそう思います・・・精霊亜種達があまり人の前に現れないのは、そういう部分もあるんだと思います」
「自分達が全員で暮せる場所を探す旅・・・ああ、そういうことか」
何とかしてやりたいところだがな・・・難しいか。
これは俺の分野ではないというのもあるが、規模がデカすぎる。
せめて俺の基地では、平和に暮らしてほしいものだ。
ああてかそうか。最初にノームたちが俺が話し掛けても返事してくれなかったのはそういうことか。
「お前さん知ってたの?」
「??」
「フェーンは長生きですから、多分知ってたんだと思います」
「だから先に声を掛けてくれたのか。あ、チョコたべるk」
俺の指毎食いつくな。
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