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65話

近くに来るとよくわかる。

ノームと言う精霊が採掘機の周りにわらわらしている。


「マジで何故に?」

「コウ様が呼んだのではないんですね?」

「まぁここは精霊関係ないんで」


そもそもののか達ですら来るのは初めてなのだ、精霊を連れてくるならまずののか達に言う。


「もしかして他の施設にも・・・?」

「えーっと・・・多分ですけど」

「マジか」


何もなければ良いんだが。


「キクヒメ。全施設の稼働状況を確認しろ」

『了解いたしました』


この基地の設備では、精霊達を感知することは出来ないし見ることも出来ない。

だが施設が今現在どのように動いているかのデータを見ればとりあえず問題があるかどうかの確認は出来る。

最悪精霊がいても、問題が起きていないのなら放置でもいいんだが。


『・・・稼働データ集積完了。画面に表示します』

「・・・何か想定より動いてる?」

『施設の性能以上の資材の入手が確認されています』

「しかも全施設で・・・これってもしかして」

『資材回収施設に、精霊が憑依していると思われます』


そうとしか考えられないか。

全部が全部そうと言うわけではないが、精霊に憑依された物は想定されている以上の能力を発揮することがある。

猫玉ラックも元はその性質に目を付けて開発したものだ。

他にもビット兵器なんかは機動性能が上がったとかもある。


それと同じ現象が、この基地の施設に起こっているらしい。

施設と言うか、鉱石系なら採掘機に直接憑依しているようだ。

明らかにおかしなデータになっているのはそういう部分だけなのだ。


「とりあえず問題はないっぽいか」

「精霊達が悪いことをするのはあまりないですから」

「あ、そうなんですか?」

「まぁ・・・結果的に悪くなってしまうのは多いんですけど」

「それは困るなぁって」


基本的に、魔法が関わっている場合に悪いことが起きやすいらしい。

魔道具を何かの影響で壊したり、ちょっとした行動で魔法の効果を乱しちゃったり。

エルフの村でも、時折あるんだそうだ。

多いのは水を出す魔法を使っている時に、他の精霊が良かれと思って手助けして水が出すぎるらしい。

まぁそれくらいなら可愛いもんだな。


「冬とか結構嫌で・・・」

「それは・・・ご愁傷様?」


ともかく、俺の基地の場合には問題ないらしい。

これは今まで精霊や魔法に関する物を何も導入してなかったことが功を奏した。


だが、そもそも何でこいつらはここにいるんだ?

前に来た時は別におかしなことは無かったから最近だと思うんだが。


「聞いてみます?」

「・・・聞けるものなんですか?」

「多分コウ様なら大丈夫だと思いますよ」

「俺なら?」

「そもそも精霊亜種と言うのは、完全に精霊というわけではないんです」

「と言いますと」

「肉体的・・・精霊達に比べて、物理的な干渉能力が強いんです」

「・・・つまり?」

「精霊使いでなくても、姿を見ることが出来るんです」

「へぇ~」

「だから国によっては普通に人の中で暮らしていることもあるんだとか」


そして俺なら聞けるという理由だが、そもそもこの基地が俺の物だからだそうだ。

亜種とは言え、精霊であることにも違いないらしく好奇心旺盛らしい。

その好奇心を満たすために、ちゃんとした持ち主の話は聞きたがるはずだと。


「それに、ののかちゃんもいますから相性的にもいいはずですよ」

「なるほど。じゃあののかも手伝ってくれるか?」

「わかりましたー」


先ほどからちらちらこちらを見ていたノームたちに近づく。

隠れるでもなく、だからといってこちらに話かけてくるでもない。

ただ見られている。そんな集団に近づいてみる。


こうして近づいて確認すると、確かに精霊とは少し違うようだ。

全員子供みたいな姿をしているし、その形もしっかりとしている。

だが感じる力はましろ以下。つまり本来は形をしっかりと形勢出来ない程度の力しかないのだ。

だからもっとふわふわした存在であるはずなんだが、しっかりとしている。


「あのー」

「ザワザワ」

「口で言うのか」

「みんなおとなみたいです」

「大人なのかこれで」


ノームは全員子供みたいな見た目から成長しないらしい。


「あー・・・とりあえず、誰か話聞かせてくれるやついる?」

「「「「「・・・・・・」」」」」

「・・・全員シャイとかってある?」

「どういういみですか?」

「恥ずかしがりや」

「うーん・・・ぜんいんはないはず?」


話しかけても反応無し。

いや反応はしているが、返事をしてくれない。

参ったな。これだと話にならないぞ。


何度か話かけてみたが、それでも反応無し。

さて打つ手なしかと困ったその時、ノームたちの中から一体だけ前に出てきた。


「あの~」

「普通に喋った」

「ノームは亜種ですから普通にお喋り出来ますよー」


キイナさんが後ろから教えてくれた。

町に住んでいるってのもいるからそれもそうか。


「ご質問は私が受けさせていただきます!」

「おお。丁寧で大人になったののかみたいだ」

「む。わたしもれでぃです!」

「はいはいレディレディ」


ひらがな喋りが終わったらそういう扱いにしてやるよ。


まぁ前に出てきてくれたなら好都合だ。

ノームたちの後ろにフェーンの姿があるが、いつのまにそこに移動したのだろうか。

とりあえず後でチョコでも上げればいいんだろうか。


さて、早速質問と行こう。


「お前らって、ノームでいいんだよな?」

「はい!土の民ノームとは我々のことです」

「ノームは炭坑や鉱山がある街に多くいるので、そう呼ばれてるんですー!」

「なるほど・・・キイナさんこっち来ません?」


どうせ教えてくれるなら隣にいてください。


キイナさんを隣に置いて、再度質問開始。

色々聞いたが、俺が聞きたかったのはこれだ。


「何で俺の基地に皆いるんだ?他の所にも大量にいると思うんだが」

「実は・・・」


どうやら彼らは、あまり人の前に出ない精霊亜種だったらしい。

複数の亜種たちの集まりで、季節ごとに様々な地域を巡って旅をしていたそうだ。


「亜種は厳密には精霊ではないのですが、それでも環境の影響は受けますので」

「へぇ」

「それでも旅をするというのは・・・聞いたことはないですね」

「旅の目的は?」

「皆で暮らせるところを探す為です!」

「皆で?」


各精霊亜種達は、それぞれ好みの環境が当然違う。

ノームなら山や渓谷。

風の亜種であるニンフなら風が強く吹くところ。

サラマンダーなら気温の高い場所とそれぞれだ。


そして本来この亜種たちは、この好みの違いから共に行動することは滅多にない。

だが彼らは珍しく、ずっと仲良く旅をし続けていたそうだ。

その時間、なんと20年間。


「何で一緒に旅してたんだ?」

「最初は自分を含めた数体が偶々仲良くなって遊んでただけなんですけど・・・」

「気が付いたら大勢集まっていたと」

「それはそれで楽しいので良いんですけどね!」


そして旅をしている最中。この山を見つけた。

調べたら見事に全員の好みを満たす環境が揃っていた。


さらに、どうみたって面白そうな俺の基地もある。

実際ここにあるものは全て真新しく、誰かの物であるのは一目瞭然なのでお手伝いと遊びを兼ねてそれぞれの施設がやっていることを手伝っていた。


これが、彼らがこの基地にいて、施設の稼働状況を上げていた理由だった。


「あ、じゃあお前らここに住んでんの?」

「雨風もしのげるので・・・つい」


しょぼーんとしている。

勝手に人の家で泊っている形になるわけだし、常識があるならそうなるか。

人前には出てこないとはいえ、その辺の常識はあるらしい。


「別に住むのは一向にかまわないんだけどさ」

「え?」

「良いんですか?」

「全然。むしろ管理してくれてるなら俺からお願いしたいくらいで」


何度も言うが、彼ら精霊亜種たちのお陰で稼働状況は上がっているのだ。

想定より多くの資材を手に入れられ、状況を見るとどうやら施設のメンテのようなこともしているようだ。


「ドリルのとっかえとか、整備とかしてくれてたんだろ?」

「えーっと。遊ぶのに必要だったからなんですけど・・・」

「遊びでも役に立ってるしなぁ」


俺の持論だが、遊ぶことで誰かの役に立つのならその方が良いと思っている。

というか、誰かの役に立つときはそれくらいの軽い気持ちでやった方が良いすら思っているからな。


それにドリルの整備一つとっても、俺がやるより少ない資材で行っているらしい。

先ほど確認したが、収支が若干変なズレ方をしていた。

資材の増加量が増えているのは憑依のお陰だが、減少量が減っているのはそういうことだろう。

恐らくノーム特有の魔法とかがあるんだと思う。

それで少ない資材で、俺よりその面では効率的に行えているのだろう。


「てか、今気づいたけどコヒメは・・・あー建設方面やらせてたから見てないのか」

『資材管理自体は行っておりませんので』

「別にどうでもいいけどな。俺に悪いこと一切ないし」


大事なのはそこだ。俺にマイナスが面が一切ないこと。これが素晴らしい。

いやマジで、本当に頭下げて住んでほしい。そして働いてほしい。


「てかそうするか。正式に」

「で、では!」

「おう。とりあえず、各精霊亜種たちの責任者呼んでくれない?」


色々詰めていかないとな。

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