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61話

休みだったのでつい投稿

「さて、ようやくお前の改造タイムがやってまいりました」

『ガウ』(ワー


電子音特有の鳴き声と共に、クロウの上に乗った精霊がはしゃぐ。

ようやくと言ってもいいだろう。忘れてた俺が悪いのだが。


そう。クロウに魔石を搭載して、精霊と契約出来るようにするのだ。

やると言って何か二週間くらい経った気もしてるけど、この際気にしないことにしてほしい。

よく考えると『マーメイド』作ってるあたりから視線を感じてたけどこいつらからだったな。


「つっても、改造と言う程のレベルではない気もする」

『ウ?』

「いやな?必要なのって、お前に魔力を持たせることと、

 それに永続性を持たせることなんだわ』

『・・・』

「・・・お前そのくらいは理解出来る知能持ってなかったか?」


何で分からんみたいな動きすんだ高性能ペット。


ともかく、やるのはこの二つだけだ。

この中で必要なのは後者。魔力の永続性の方だ。

永続性ってのは、魔力をずっと保持し続けることが出来るようにすること。

魔石を組み込んだだけでは精霊との契約で魔力を消費して、そのうち空っぽになってしまう。

そこで、魔力を常に持てるようにしなければいけない。

人間の場合は魔力は時間で回復するから、それに近い物をクロウにも搭載しないといけない。


これに関しても、既に考えはある。

『アビスキュイラス』のナノマシンだ。


「こいつらか取ったデータを基に、それ用の機関を既に制作してあります」

『ガウ!』

「そうなのよ。だからくっ付けるだけ」


これが改造と言うまででないと言った理由だ。

もはやアレンジの領域で済んでいる。

ちなみに俺は、改造の場合は機体自体に手を加えることを言い、

機体にパーツを付けるだけなどの簡単な作業で済む時はアレンジと言っている。


「ちなみにこれの説明いる?」

「」(ブンブン

「あらそう」


いらぬと精霊さんに首を横に振られた。ちょっと残念。

だから作業しながら心の中でこっそりと。


この魔力吸発生機関、これの開発にはナノマシンから得たデータともう一つ。

魔石の解析結果から分かった物を使って作られている。


ナノマシンからは、これが食べて覚えた魔力を受け止められる形を。

魔石からは、魔石が持つ効果そのものをまるっと映している。

ナノマシンの方は『アビスキュイラス』の精霊の力を受け止められる器の云々の話と同じなので割愛する。


大事なのは魔石の方。

何故魔石が魔力を持つのか。その理由について二つの推測を立てていた。

まず一つ。これ自体が、魔力を生み出すという性質を備えていること。

これに魔力を溜めこむ性質を合わせることで、魔力を持つことが出来る。


もう一つは、周辺から魔力を吸い取っている事。

これも魔力を溜めこむ性質が合わさることで、魔力を持てる。

二つとも魔力を溜めこむと言うのは共通しているが、これに関しては前提条件なので無視する。

ではこの二つでは何がどう違うのか。

魔力を吸収する場合はあんまり深く考えなくていい。

植物が日光を吸収して光合成をおこなう様に、それを行っている器官を見つけて再現すればいい。


だが、魔力を生み出す場合はちょっと難しい。

まずこの世の中の物は、無から生まれるということはあり得ない。

つまり。魔力を生み出すために別の物を生み出す必要がある。

この別の物が何か。それを調べる必要が出てくる。

生き物にしかないと仮定して、カロリーなのかそれとも別の物なのか。

これの答えは、ナノマシンが示してくれていた。

より正確には、精霊の力が答えでもあったのだ。


そもそも、俺が何で魔力と精霊の力を分けて考えていたか。

答えは簡単で、二つの物が別物であるとデータが示していたからだ。

だが精霊は、魔力の塊とも言える存在。

つまりは、精霊の力=魔力でないとおかしいのだ。

何故計測の結果が違ってしまうのか。


答えはズバリ、精霊の力は魔力を生み出す元の何かであったからだ。

そしてダイジュナやののか達が持っているのは魔力で正しかった。

俺が『アビスキュイラス』で土を食べて覚えさせた力は、魔力の元・・・魔素とでも呼ぶべき別の力だったのだ。

恐らく、長い時間が経ったことで精霊達の魔力が魔素に戻ったのだろう。

力に差があったのは、完全に魔素に戻り切っていなかったからだと思われる。


そして不思議なことに、魔石にはこの魔素を溜め込む性質はあっても吸収するための能力は無かったのだ。

そこで俺が作った魔力発生機関には、魔素を吸収する能力を備え付けてある。

これに魔石を繋げれば、クロウが人間と変わらないように、魔力を持つように出来ると言うわけだ。


「そんなわけで完成!!」

『アオーン!!』

(オメー


クロウの背中に薄い装甲版が増設された。これが魔力発生機関だ。

魔石を加工して薄くしてあるから、あんまり大きく作らなくて良かった。

そして地味に始めて魔力を絡めた設計のパーツを作ったわけでもある。

地味に上手く行って良かった良かった。


「んじゃ後は契約なんだけど・・・どうするんだ?」

『・・・ウ?』

(エ


俺の時はダイジュナが契約用の指輪くれたからな。それを持ってないからすぐに出来ない。

他にもやり方はあるんだろうが、俺はそっちはまだ知らないのだ。

仕方ない。ダイジュナでも村長でも誰でもいいから呼んでくるか。

そうだ。キイナさんが上の家にいたはずだから、キイナさんに来てもらう。

そう思って先ずはキクヒメを呼び出そうとしたら、クロウと精霊に裾を引っ張られた。


『ガウ』

(チョイチョイ

「お?どったの?」

(オワタ

「ん?・・・ああ。終わったって?契約出来たの?」

『アウアウ』


何か良く分からないが契約出来たらしい。

ふむ・・・あれ?俺決定的な瞬間を見逃したなこれ。


『録画は完了しております』

「ナイス!」


あぶねぇ助かった。流石キクヒメだ。


「てか、お前さん契約自分で出来るのか?」

(デキナーイ

「ふむ。今のは出来ないだな?ってことは、何か道具を持っていると」

『ガウガウ』

「ん?入力?ちょいまち」


クロウは高性能だから、ボディーランゲージである程度意思疎通も出来る。

だけどそれが伝わりにくい場合は、文字入力でこちらに意思を伝えることも出来るのだ。

それ用のディスプレイを接続してやると、すぐに文字が出てくる。


「・・・なるほど、ダイジュナから預かってたのか」

(ソノトーリ


俺が前に使ったあの指輪を預かっていたようだ。それでささっと契約したらしい。

まぁ出来たならいいか。後はクロウに問題がないかってことを確かめるくらいかな?


「つっても機能的には大丈夫そうだな。一応ちゃんと動いてみる?」

『ガウ!!』

「良し。じゃあ久しぶりに『散歩』に行くか」

『ウウ~!!』

(・・・サンポ?


クロウに乗った精霊が、頭を傾げている。

まぁすぐに分かるさ。
















ウッドベリーを採りに来て以来の森だ。

キイナさんに聞いたことなんだが、この森に出てくるモンスターは定期的に数を調整して倒しているらしい。

減らしすぎても駄目で、バランスが重要なんだとか。


今回は散歩ってことで、その役割を任せてもらうことにしたのだ。

当然俺では良いバランスの塩梅が分からないので、今日は村長も一緒にいる。

キイナさんに頼もうかと思ったら、アカサさんと何かやっていたので遠慮したのだ。

そして暇そうにしてた村長を見つけたというわけだ。


「最近はコウ様から頂いた武具のお陰で時間が余っておりましてなぁ」

「『ソキウス』は調子良さそうですね」

「それはもう!春先は冬眠から起きてくるモンスターが多いのですが、

 今年はけが人も無く済みそうです」

「だったらあげた甲斐がありましたよ」


成果をちゃんと挙げられている様で何より。


『敵反応感知。フォースアームベアーです』

「お、四本腕の熊が来ましたけど、倒してOKです?」

「問題ありませんぞ。と言いますか、基本襲われたら倒すので」


まぁそれもそうか。

さて、今日のお散歩・・・よく考えてみれば、こっちの世界での散歩は初めてか。


「クロウ。久しぶりだろうけど行けるよな?」

『アーウ』

「余裕そうで何より。お前さんも大丈夫?」

(イエーイ

「うーんノリノリだ。じゃあ行ってこい!!」


反応があった方向に、クロウが走り出す。

クロウと俺が行う散歩とは、要するにフィールドに出て敵を倒すことだ。

ゲーム内では、通常フィールドに出ては手当たり次第にクロウに倒させていた。

それが俺達の『散歩』だ。ご機嫌だろ?


「そういえば、クロウ殿の戦いは初めて見ますな」

「まぁ戦わせてなかったですから。てか、クロウにも殿付けなんですか?」

「何かと村の手伝いをしてくださっておりますからなぁ」

「いつのまにそんなことしてんだあいつ」


俺が封国に行っている間に村中をうろついて暇を見つけては仕事を手伝っていたらしい。

そんなことしてたのかという驚きはあるが、まぁやっててもおかしくないかなとも思う。

流石高性能。偶にアホなのはもはや仕様として諦めている。


「まぁゆっくり見ますか」

「魔物を前にして、くつろげる日が来るとは思いもしませんでしたなぁ」


改めて考えてみると、俺もクロウが戦っている所ってあまり見たことないな。

大体は俺の横か後ろで一緒に戦うから。クロウの背中を見るって経験は無かった。


精霊ありきとは言え、ここまで戦えるのを見ると、製作者の腕の良さを再認識できるという物だ。

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