59話
数百個程のナノマシン団子を全て埋め終え、キイナさんも植物の苗を増え終えた。
ダイジュナの方もそこそこの範囲に力を入れた。
まぁすぐに効果が出てくるわけじゃないから、ぱっと見はまだ荒野なんだけど。
「大体お前の方ってどれくらいで成果が出るんだ?」
「そうだな。この範囲になると大体3か月だな」
「む、結構早いのかな」
不思議な事だが、ダイジュナの力が入った土地は勝手に植物が生えてくるそうだ。
種も苗も植えてないのにだ。一体全体どういう理屈でそうなってるんだか。
ちなみに俺の方はもっと速い期間で成果が出て大体1か月程。
ナノマシンの拡散と状態を整えて植物に栄養が回って芽が出てくるまでそれくらいだ。
こんなところでも違いが出ている。うーむ興味深い。
「・・・ダイジュナ、物は相談なんだが」
「うん?」
「帰ったらお前の力が込められた土くれない?」
「む?土?」
「どうやって植物が生えてくるのか気になる」
あまりストレングスギアの開発には役に立ちそうにはないが、単純に気になる。
それに精霊の力の一端をこれで理解出来るかもしれないし。
「まぁその程度なら構わんぞ」
「よっし」
「また何か始めるのですか?」
「始めると言っても、片手間に観測するだけですけどね」
「あまり無茶はしては駄目ですからね」
「うい」
「なんだ。キイナから見たらこやつは無茶をしているのか?」
「・・・お勉強に熱中すると、一日二日寝ないのが良くありまして」
「それくらいなら寝なくてもなぁ」
最長だと・・・一週間くらいか?それくらいなら寝ないで活動できる。
その分動くために色々補給しないと倒れるけど。
だがダイジュナ的にはこれはアウトらしい。
「いかんな。それはいかんぞ」
「ん?」
「睡眠と言うのは成長にも大きく関わる。あの子らにも影響が出るのだぞ」
「は?マジ?」
「お主の体調次第で、魔力に影響が出るからな」
「あ、それが流れるからののか達にもってことか」
「そういうことだ。分かったなら寝ろ」
「はいはい」
むぅ。それは確かに寝ないといけないな・・・
俺だけならともかく、ののか達にも影響が出てしまうのはちょっと良くない。
子供は寝ないと育たないしな。
「いやお主も子供なのでは?」
「・・・は?」
「・・・ん?」
「・・・コウ様、今おいつくでしたっけ?」
「今年で23」
「・・・はぁ!?」
「そんな驚くことか!?」
「完全に10代だと思っていたな」
「じ、実は私も最初は・・・」
「うそー」
流石に十代ってことはないだろうよ。
確かに日本人って若く見られがちだけどさぁ。
「てか、キイナさんだって見た目十代じゃね?」
「いやキイナはエルフだからなぁ」
「むしろ私は普通位といいますか」
「・・・言われてみればそうかも」
キイナさんの母親であるアカサさんも結構若めに見える。
村長は老け顔らしく、普通にそれ相応の年齢って感じに見えた。
他にもパッと思いつく村の人の顔を思い浮かべると、大体若い。そして全員が大人だ。
「・・・エルフって結構モテる?」
「美形が多いからな。人気は高いな」
「そうなんですか?」
「ってキイナさん知らないんですか?」
「私、村からあまり出てことがないので」
「というか、あの村の連中は基本村から出んからな。特に女子はその傾向が強い」
「へぇ~・・・あ、じゃあ今回って」
「はい!私の初めてのお出かけです!」
そのお出かけがこんな荒野な上に労働させちゃったんだけど良いのだろうか。
キイナさんの表情は非常に楽しそうにしているから大丈夫だとは思うのだが。
・・・よし、別の所に行こう。
流石にこれだけじゃあ勿体ない。どうせ出たのなら他の所も見るべきだ。
「キイナさんって、山と海だとどっちが好きですか?」
「へ?え、えーっと・・・海・・・ですかね?」
「まぁあの村からも山は見えるからな」
「じゃあ海行きましょう。今から」
「お?」
「え?」
数時間後。
「うわぁ・・・!!」」
「本当に来れるとは。あれが最高速度ではなかったのか?」
「カタログスペック上だとマッハ3・・・一時間で3000キロくらい飛ぶし」
「化け物かこれは」
「まぁ普段はその速度じゃ飛ばないけどな。
消耗もすごいし、メンテナンス大変だし」
最高速度ってのは、文字通り出せる速度の限界なのだ。
そこまで速度を出すと、普通に『サーベス』自体がぐらつく。
大体その速度を維持できるのは・・・長くて30分か。それでも1500キロくらい一気に飛べるんだけどな。
まぁそんなわけで、海にやってきました。
調査もしないし、ただ飛ぶだけだったから短い時間でついた。
来た海は前に俺がクラーケンと戦ったあの海だ。基地から見て、村の真反対。
サーベスでゆっくり飛んだらこんな物だろう。
「それで?初めての海はどうです?」
「すっごく綺麗です・・・聞いてたよりずっと」
「森のエルフは、普通海は見ないからな」
「そもそもエルフって森にいないパターン少ないんじゃないのか?」
「他の種族に比べたら少ないが、希少かと言われる程ではないぞ」
「封国では確かに何人かいたな」
「あそこは国として見るなら例外中の例外なのだがな」
「俺他の国知らんし」
「知っておるよ。ああ、そういえば海エルフなどと言うのもおったな」
「・・・海にいるの?」
「海の森と呼ばれる海域があってな。そこに住んでいるはずだ。
まぁ彼らに関してはアルの方が詳しいな」
「それ千年前の知識だけど大丈夫か?」
「・・・ちと確認はとった方が良いな」
「やっぱり?」
どうやら知識は遅れているようだ。まぁ仕方ないね。
さてさて、おしゃべりもこの辺にしますか。
「キイナさんキイナさん」
「はい!なんでしょうか?」
波打ち際で水の満ち引きを楽しんでいたキイナさん。
服が濡れないように、ちょっとだけ裾を上げているから見える生足が眩しい。
だがそれに見とれている暇はない。
今回はちゃんと考えがあって海に来たのだ。山に来た場合でも案はあった。
「海の中、入ってみませんか?」
「・・・海って入れるんですか?」
「え、そこから?」
「海ってしょっぱいから入れないってお爺ちゃんから聞いてたんですけど・・・?」
「あー」
間違ってないけど合ってもないな。
「一応潜れますよ?口に入るとしょっぱいですけど」
「へぇ~そうだったんですね」
「それに俺のスーツ着れば呼吸も出来ますし・・・中から見ると綺麗ですよ」
「入りたいです!!」
所謂スキューバダイビングだ。
俺が潜る場合は『ドルフィンレーン』がある。
そしてちゃんとキイナさん用の物も・・・まぁ専用って言うほど大層な機体ではないが。
「ダイジュナはどうする?お前はスーツいらんだろうけど」
「そうだな・・・」
「「きゃっきゃ!」」
「みゃー!!」
「・・・こやつらの面倒でもみておるよ」
「悪いな」
「良い良い。楽しんでこい」
気を使われたか、単純にののか達から目を離せないのか。
てか、いつのまに君らいたの。俺今回連れてきてなかったよな?
『ワフ』
「お前が犯人か」
クロウまでいた。どうやらこいつに付いてきたらしい。
当然クロウの事がお気に入りの精霊ちゃんも一緒にいる。
なにやらぷんすかしている。
「え?どったの」
『ガウ』
「・・・すまん忘れてた」
「(´・ω・`)」
そう言えばクロウの改造すっかり忘れてた・・・すまん、帰ったらやるわ。
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