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57話

「お待たせいたしました!」

「おおこれが・・・多くね?」

「使わなくなった物で大変申し訳ないのですが・・・」

「いやそういう量じゃないよねこれ。明らかに片っ端からかき集めてきた量だよなこれ!?」

「・・・へ?いえ。まだ半分にも満たないのですが」

「それはそれでどうなんだ!?」


何でそんな一杯あるんじゃ。




















バイオティラノとの戦いから早三日。

村に帰ってきて、キイナさんの抱擁を受けたりとそれはもう素晴らしい体験もした。

封国で貰った大量の魔法道具も、それの解析と使い方を習ったりと割と暇は出来なかった。


大きな戦いではあったから、それなりに暇になるかとも思ったんだけどな。


村の方も、特に変わったことはなかったそうだ。

クロウのデータを見ても、キイナさんと一緒に昼寝したり警備がてらの散歩しているだけだった。

あ、でもシュミレーターのブームは一端治まったらしい。

まぁ時間が経てばまた流行りそうだ。今はストレスを出し切ったのだろう。


「これは何です?変な形ですけど」

「これは・・・あ、水差しですね」

「水差し?魔道具なんですよね?」

「はい。これに魔石を入れると、魔力が続く限りは水が湧き続け得るんです」

「へぇ・・・ちなみにこれって」

「多分ですけど・・・結構高価な物かと」

「やっぱり?」

「やっぱりです」

「・・・やっぱりかぁ」


そして今も、キイナさんから貰った魔道具の事を習っている。

主に、貰ったものがどれくらいの価値があるのかを聞いているのだ。

結構な量があるので、その時点でその資産的価値はかなりの物になると踏んでいたのだが・・・想像以上だったようだ。


「うわっ。しかもユリス製ですよこれ」

「ユリス?」

「ユリス公国っていう、国があるんです。そこの魔道具は、高値で取引されているんです」

「見分け方はどうすれば?」

「ここにサインがあるじゃないですか」

「・・・ああ、この文字っぽい物ですね」

「この名前で判断するんです。有名な人しか出来ませんけど」


売買される時には、どこで作られたか、誰が作ったかを示す証明書が付いてくるらしい。

ブランド品ってことだな。


「まぁ私はお爺ちゃんから聞いただけなんですけどね」

「流石に実物は見たことはない感じですか?」

「一回だけあります。あれは水筒でしたけど」


ふむ、本当に高級品みたいだな。

んで俺はそれを貰ってしまったと・・・なるほど・・・


「・・・他にもあると思います?」

「・・・あるんじゃないしょうか」

「「・・・はぁ」」


何故にこんなテンションなのか。

確かに俺は魔道具が欲しかった。ええそれはもう欲しかったですよ。

作り方とか知りたいし、一回バラシてもいいし、実際に使っても見たかった。


それは将来的に、新しいストレングスギアの為になるのだから、妥協する気は無かった。

だがそれは、あくまでも将来的な話だ。

元々魔道具自体がそれなりに高価な物であるというのは、キイナさんから教わって知っていた。

じゃあ数が集まるのは後になるかなーと、そう思っていたのだ。


しかし、封国で大量に貰ってしまった。何十個も一気にだ。

何が言いたいか。

要するに、あんまりにも貰いすぎて、こちらが困ってしまっているというわけだ。

キイナさんも、あまりの量に俺と一緒に困ってくれているのだ。


・・・いやマジでどうするよ。


「これでもお礼にならないとか言われたんですけど」

「そ、そんなに余裕があるんでしょか・・・?」

「いや、ちゃんと理由はあるみたいでして」


そもそも封国には、基本的に資源が無い。大地が枯れているから、食物は育たない。

だがそこに住む人々にも生活はある。何かしらの手段で、食料などを得る必要がある。


そこで目を付けたのが魔法の研究だ。

特に封印系や契約系。これらの魔法の研究し、その成果を外に出すことで利益を得ていたのだ。

この世界では魔法に関することでは大きな金が動く。

新しい魔法や、使い方でもお金を払って知っていく世界だ。

当然利益も大きくなるから、封国には金が溜まっていく。

あんまり娯楽にお金を使わない、使えない環境と言うのも大きいだろう。


そしてもう一つ。彼らの風習が関係している。

それは、ある程度の年齢になったら世界を旅するという風習があることだ。


「その繋がりで何やら安く物が手に入ったり、何なら貰ったりしてたらしくって」

「あー。聞いたことあります」


封国の人間は清く正しい。

世界を旅して、困った人々を助けて回っている。


この世界では、割と常識に近い話らしい。実態は間違ってないんだが。

まぁそれでその人達に助けられた人、慕った人が封国への援助を行うのだ。

そして更に、物だけは溜まっていく。

この魔道具も、そうした長年溜まった物だそうなのだ。

新しいのは持っているから、古いのは使わなくなってしまうのだと。


「倉庫も圧迫してるとかだそうでしてね」

「えーっと・・・じゃあ貰ってもいいんじゃ」

「キイナさん俺が一杯持ってるからって俺の家にある物何かしら大量に送られたらどう思います?」

「・・・あの、ありがたいんですけど」

「でしょ?」


困るよな。俺困ってるもん。

そもそもがアルを助けたお礼ってことだし、それで更に俺がお返しをするのも変な話なのだが・・・流石にねぇ。


あちらの価値観的には、本当に大したことないのかもしれないが。

貰った側からすると非常に何かこう・・・変な気分になるのだ。

まぁ封国から帰ってくる前に断り切れなかった時点でダメなのかもしれないけど。


「貰うしかないってのは分かってるんですけど」

「もやもやが止まらなくなってきました」

「気持ちのおすそ分けです」

「これはいらないです・・・」

「「・・・はぁ」」


さてどうするか。


二人で溜息をついて魔道具の山を眺めていると、背後からダイジュナがやって来た。


「何をしているのだ二人とも」

「ああダイジュナ。見たら分かるだろ眺めてるんだよ」

「おはようございますダイジュナ様」

「おはよう。魔道具をか?分解するとか言っていたではないか。しないのか?」

「実はな」


ダイジュナに一通り状況を説明する。

すると、理解してくれたようだが、気にすることは無いと言う。


「実際奴らはかなり余らせておったからな。気にするだけ無駄だぞ?」

「あんまりにも色々貰うとお返しも大変なんですよ?」

「いやそもそもこれがお返しなのだがな・・・まぁ要するに、気が引けると言うわけだな」

「「そういうわけです」」

「相変わらず仲が良いのは分かった。なら、ちと我を手伝ってくれんか?」

「うん?」

「封国で、やらなければいけないことがあってな」

「ほう?」


何やら大仕事な予感。


「何をするんだ?」

「封国の大地が死んでいるのは知っているな?」

「知ってる知ってる」

「そしてその原因もお主のお陰で消えた」

「そうだな」

「そこで!我は封国を再生させようと思うのだ!」

「おおー」


本当に大仕事になるなこれ。

それにしても土地の再生か。中々に骨の折れそうな仕事だ。


「とは言っても、我らがやるのは初めだけだがな」

「そうなん?」

「アルがおれば大体管理は問題ないからな。最初のきっかけを与えに行くのだ」

「なるほど・・・あれ、それ俺要らないのでは?」

「いや、お主の『アビスキュイラス』を借りたいのだ。出来ると言っていただろう?」


俺が土地を調査してた時の話だな。

どうやらダイジュナだけでは土地が広くて大変だから、俺にも手伝ってほしいとのことだそうだ。


『アビスキュイラス』も、元の用途がそれ用ではないから難しい部分もある。

だがダイジュナと協力すれば、かなりいい具合に出来るのではないのだろうか。


「そしてそれがお礼代わりにもなると」

「まぁまた増える可能性もあるがな」

「・・・スゥー」


それはまぁ・・・考えないようにしようかな!!


「その時はその時に考えようと思いますはい」

「そうするがよいであろう。最悪我が頼んだと言えば、奴らからは何も貰わないだろうしな」

「良し」

「あ、ではまたお出かけですね。準備のお手伝いいたしますよ」

「じゃあとりあえず・・・」

「む?キイナも行くのではないのか?」

「え?」

「はい?」


何故にそんな話に?


「いや全然嬉しいけど」

「お主と共に悩んでいたのだろう?ならばキイナも行くと思ったのだが」

「あー」

「・・・そういえば、貰ったのはコウ様で私じゃないですね」

「すっかり一緒に悩んでくれたから忘れてた」

「えへへ。私もです」

「本当に仲が良いのだな」

「何だかんだ一番一緒にいるしなぁ」


ののか達より一緒にいる時間は当然長い。

キイナさんの方が先に知り合っているというのもあるが、

ののか達と出会ってからで考えてもキイナさんと一緒にいる時間は長いだろう。

家にいる時は俺のお世話とかしてくれるし。何ならご飯作ってくれる時もあるし。


「そもそも家の留守任せてるしな」

「なんだ。お主ら婚約していたのか?」

「・・・ほぁ!?」

「あー・・・」


ダイジュナの言葉で、キイナさんの顔が真っ赤っかに。

割とよく見る光景ではあるのだが、こうなると暫く動かないんだよなぁ。


その反応を見て、どうやら勘違いに気が付いたらしい。


「む?もしや違うのか?」

「違うね」

「・・・どういう関係性なのだお主ら」

「・・・しいて言うなら、助けた人と助けられた人?」

「キイナがお主に尽くすのは分かるが、お主はお主で心を許しすぎであろう」

「いやぁ・・・ついねぇ」


ぶっちゃけキイナさんがやってくれていることは、キクヒメに頼めばいいことでもあるのだ。

だけど、何故かキイナさんに頼んでしまう。

それはまぁ。俺個人がキイナさんの事を悪く思っていないと言うのもあると思う。


だがそれ以上に


「誰かがいるのが分かってるとこう・・・辞めたくなくなるんだよなぁ」

「まぁ分からんでもないがな。ふむ。まぁ特に問題も無さそうか」

「あ?何が?」

「何でもない。まぁそういうわけだ、準備が出来たら言ってくれ」

「分かった・・・まぁキイナさんがこれだから明日以降だと思うけど」

「別に急ぎでもないから構わんよ」


いや土地の再生は割と急ぎなのでは???

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