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3話

『周辺植物の調査を推奨』

「おん?」


宝石を手に入れて、サーベスに戻ろうとした時に、キクヒメからそんな提案をされた。


何でも、今現在の俺の食料事情はサーベスの自動調理食料に依存している状態だ。

より正確に言うと、機体のエネルギーを使い、中に整備された農務室・・・まぁ野菜とかを育てる部屋だな。栽培室だ。

これをエネルギーで管理、そこから調理を開始してあの自販機から出てくるのだ。

だから、正確にはエネルギーだけを消費すればいいってわけではない。


だがこれも、エネルギーが無くなると動かなくなる。

そうでなくても、何かダメージで動かなくなったり、不備で機能停止してしまうと言う可能性は否定できない。

それに備えて、この世界での植物を調べないかっていうことらしい。

代わりになる物があれば、いざって時に困らなくていいからな。


「だけど、見つけても育てられないぞ俺」

『現在地周辺の拠点化を提案』

「ほほう。ここら辺をか・・・資源はあるのか?」

『現在、異次元倉庫に中規模基地の設立が可能な資材がございます』

「あ?異次元倉庫あるのか?」

『1から4まで、すべての倉庫を確認出来ております』


それ早く言おうヨ。


異次元倉庫。

所謂課金拡張で手に入るアイテム倉庫の拡張版だ。

一つで千種類のアイテムが入り、一スタックは999個まで入る。一つ千円する割と高い部類の課金アイテムだ。

まぁゲーム内のアイテムが種類多いし、必要数も多いからこれくらいないと足りなかったんだよ。


それで、ゲーム内のシステムで、自分の好きな場所に基地を作ることが出来るのだ。

中規模基地と言うと、大体プレイヤー100人規模で攻略するような広さと質を持つ基地を言う。

本来一人で作るような規模じゃないんだよなこれ。

本来なら基地じゃなくてサーベスみたいに移動拠点を持つのが大半だし。

実際俺もゲーム内では持ってなかったしな。


基地を作ることの利点は、資源が手に入ることだ。

本来特定の場所でないと手に入らない物でも、それ用の施設を作ってしまえば手に入る。

そうすることで、貴重な素材の安定供給が可能になる。

作ることの利点は大きいが・・・いかんせん作るのが面倒だ。

消費する資材の量は多いし、建設するのに時間もかかる。

ゲーム内では、待ってるの嫌だったからやらなかったんだよねぇ。


「だけど、ここではやった方がいいか確かに・・・てか、なんでそんなに資材あるのよ」

『特殊エリアでの基地攻略で得たアイテムが多くあります』

「あーね」


特殊エリア・・・所謂ダンジョンってやつだ。

そのエリアの中で戦うのが俺のルーティーンだったのだが、それが原因か。

後俺基地作ったこと無いからそれ分の資材溜まってたなこれ。


まぁ作れるのなら作るに越したことはないか。

問題はどこで作るかなんだけど。


「良い感じの土地あったか?」

『・・・西に70キロ。山岳地帯を確認しております』

「人は?」

『現在まで、確認出来ておりません』

「うーん・・・大丈夫そう?」

『天候情報など、多数の情報が不足しております。現時点で判断することは不可能です』

「カァー・・・まぁそらそうだわな。とはいえ、待ってるのもあれだな」


何度も言うが、基地建設は時間がかかるのだ。

始めるのなら早めにするべきだ。


『先に周辺植物の調査を推奨』

「あ、それもそうか。じゃあ可能な限りでいいから情報集めておいてくれ」

『了解いたしました』

「俺は俺で乗り換えるか。アビスの準備もよろしく」

















「うーん一面の・・・これは緑だけではないか」


普通に赤も黄色もあるわ。果物?だけど。


恐らくリンゴっぽい果物と、黄色のブドウみたいな物は見つけた。

サーベスに帰らないと毒の判定も出来ないから食べてないけど。

まぁ匂いはいい感じだな。甘い匂いでいい感じ。


それにしてもさっきから木に生る系の植物しか手に入らないな。

一応それ以外を調べられそうな装備持ってきたんだけど。


地中探査機・・・てか、ダウンジングのセンサーだ。

これを起動しながら歩き回ると、地面の中に何か埋まってた時に反応する。

ゲーム内ではこれを使って良く散歩したもんだよっと?


センサーに紫の反応あり。何か地面の中にあるみたいだな。


「カオスクローモード」


腕が肩から蠢き、大きな爪の形になる。

流石にショベルは持ってないからな。これで代用だ。

大きな爪を閉じて、土を掘り返す。大体反応的にはそんなに深くないはずだけど・・・


「あ、あったあった」


何だこれ・・・ジャガイモ?いやジャガイモだな。どっからどう見てもジャガイモだわ。


掘り返してみると、一番最初に見つけたのは蔓だ。

それを切らないように引っ張り上げると、大量の芋が釣れた。

色も形も間違いなくジャガイモだよこれ。いいね、フライドポテトにでもするか?


「って、なんだこの辺一杯あるな。ちょっと深いけど」


俺が芋を掘り返している間に、ダウジングレーダーは深い所まで探してくれていたようだ。

それによると、この周辺には結構色々埋まっているようだな。

よしよし、発掘・・・じゃなくて収穫かな?始めましょうか。

















「ハッハ―!!大量大量!!」


本当に大量だった。

一番取れたのはやはり暫定ジャガイモだったけど、それ以外にもサツマイモも獲れたし、自然薯・・・でいいのかこれは?

まぁそれもそこそこ取れた。

それに、人の手が入っていないからか、キノコもあった。トリュフは確か土の中にあるんだったな。恐らくそれだろう。


そして数は少ないが、人参らしき物と玉ねぎも手に入った。

完全にカレーが出来るよこれ。


「ただこれどこに入れるよ」

『素材倉庫に収納すれば、こちらで解析いたします』

「お、それでいいのか。じゃあ頼むわ」


スパイスと肉はどうするかって問題はあるけど、カレーには近づいたな・・・何の話だよおい。


「それで、例の山はどうなの?」

『水源も確認出来ております。周辺地域では最も建設に適した場所であると判断します』

「そりゃいいわ」


そんなところに人の手が入ってないのは気になるところではあるが・・・まぁいいだろ。


「植物の解析にどれくらいかかる?」

『すべてを解析し終えるのに、凡そ二時間』

「早いな。あの宝石は?」

『不明情報が多く、予測時間を大幅に上回る可能性があります』

「それでもいいよ」

『約29時間です』

「それでも十分な気がするけどな」


まぁゲーム内ではまる三日とかあるしな。その程度なら気にもならん。

解析はまぁそのままでいいとしてだ。じゃあその間に何をするかって話だな。

基地建設はキクヒメの解析が終わってからがいいしなぁ。

・・・下見にでも行くか?それが良いかも。


「あ、今カレーって食える?」

『供給に問題はありません』

「じゃあよろしく。ポテトとナンも付けてくれ」

『了解いたしました』


おなかへったわ。

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