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54話

本来のレイドボスと戦う場合、それぞれ戦う距離で定石が分かれる。

近距離なら、相手の攻撃を躱せるギリギリの位置を見極め、一撃離脱を心掛ける。

中距離なら、余裕をもって相手の全体像を把握出来る距離感で、可能な限り弾幕を張り続ける。

遠距離なら、とにかく相手から自分の行動を邪魔されない位置を見つけ、一方的に戦う。


もちろん戦うフィールドの状況によるが、基本としてこの戦い方を抑えてないと速攻で撃墜される。


それは当然、俺の場合も例外ではない。

ただ少し違う点もある。


「『フロストエンド』!」

『照準OK』

「関節部を見極めてから撃て」


『フェイタル』を構えながら、キクヒメに指示を出す。

『アビスキュイラス・ドライブ』の場合は、基本的に中距離で火力で圧倒する戦い方をする。

初手の『オーバーロード』は、あの一撃だけに掛けた一発だから行った。


『ドライブ』の両端から、『フロストエンド』が二丁現れ弾丸が装填される。

当たった個所が凍結し、相手にダメージを与えると同時に動きを阻害する特殊兵装。

これを当てつつ、メインの武装で削る。

基本と違うのは、俺はこれを近距離戦の間合いで行うということだ。


『敵対象付近の空間二か所にエネルギーを感知』

「攻撃手段の記録はとっておけよー!」

『了解いたしました。攻撃来ます』

「って雷か!」


二つの雷球が現れ、そこから雷が俺に向かってくる。

直角に軌道を変えて回避し、『フェイタル』で反撃する。


「誘導性能は大したことないな」

『各属性の精霊に関する攻撃を行ってくると予測』

「やばいのは雷か。ショルダーシールドを生成しろ」


『アビスキュイラス』の方が蠢き、二枚の盾を生み出す。

もし、回避できないタイミングで来た場合、一度盾で受けて即座に切り離す為の物だ。


「それにしてもっ!・・・再生能力がいやに高いな」


『フェイタル』はもっと上位のレイドボス相手でも通用する一本。

その武装を当て続けて、即座に回復されている。

無限に回復出来るわけではないが、それにしたって速すぎる。


『空気中の魔力を吸収していると思われます』

「魔力で回復してんのかこいつ!?」

『魔力濃度の計測を行います。可能な限りダメージを与えてください』

「なるほどね!?」


無茶とは言わないが何て注文をするんだこいつは。


「しゃーない。ののか!『モンテーロ』を投げろ!」

『りょうかいです!!』


結界の外にある猫玉ラックから、『モンテーロ』が投げ込まれる。

代わりに『フェイタル』を投げ返して、即座に装備変更を行う。


「瞬時にダメージを与えるならこっちだろ!!」


『モンテーロ』・・・こいつは実にシンプルな火力を出せる武装だ。

ビームライフルという、扱いやすくシンプル。だからこそ強い。


封印結界の名残である氷の中を縦横無尽に動き回りながら、『モンテーロ』を撃つ。

貫通まではいかないが、確かなダメージをバイオティラノに刻み付ける。


「ギュクラァァァァァァァァ!!」

「うるせえ!!」


高熱のブレス攻撃が放たれるが、ドライブで加速に乗った状態の俺に当たることはない。

炎も雷も、何もかもを置いていく。


だが、少し妙だな。

この程度なら、あの状態のダイジュナなら勝てそうなもんだが。


その思いがあったからこそだろう。俺は相手の微妙な違いに気が付けた。


「尻尾の先が・・・ッ!?」


尻尾の先が地中に埋まっている。

それを認識した瞬間に、地面から離れる様に跳躍する。

次の瞬間、俺のいた場所が何かによって貫かれた。


鋭い、回転した・・・複数の触手だ。


『地中から尾を伸ばし、分裂と先鋭化を行ったと推測』

「あっぶね」

『地上戦は危険です』

「言われても・・・クッソ!」


どうやら隠す気がなくなったようだ。

尾の初撃を回避してから、腕や首からさらに触手が伸びてきた。

この攻撃は、ノーマル体のバイオティラノにはないパターンだ。

精霊への適応化だけではなかったか。


それでもまだ防御面での耐性を持ってないだけマシだな。

触手も『モンテーロ』で撃ち落とせる。

だが阻まれているのは確かだ、相手の本体に届いてない。


「だったら!」


キクヒメを介さずに、直接ナノマシンを操作して『モンテーロ』の出力を調整する。

消費エネルギーを上げて、火力も上げる。


「そぉらこれならどうだよ!!」

『肉体へのダメージを確認』


触手を一瞬で、融解させるようにぶち抜いてバイオティラノの肉体に当たる。

想定していなかったのであろう。ダメージが入りバイオティラノが悲鳴を上げる。

間違いなく、ダメージは入っている・・・だが。


「ぱっと見速攻で戻りやがるな」

『計測終了。魔力を吸収し、肉体のダメージを回復させています』

「クソ程面倒なことになってんなこいつ」


バイオティラノ・精霊適応体ってところか。

そのついでに魔力まで覚えやがって。


これでは核を探すのも一苦労だ。肉体を削るのに時間が掛かりすぎる。


「周辺の魔力が無くなるまでどれくらいだ」

『不明です』

「あ”?」

『魔力が酸素の様に流れている場合、一度に大量に消費しない限り無限です』

「・・・まっっっっじでめんどくせぇ!!!」


削れないとは言わないし、負けるとは欠片も思っていない。

だが・・・めんどくせぇ!!


あてずっぽうで撃って、偶然核に当たる可能性に掛けた方がいいまである。


触手を撃ち落とし、魔法攻撃を回避し、『モンテーロ』で撃ち抜く。

この繰り返しで、膠着状態になってしまった。


「あーあーどうするよこれ~」

『核の位置予測演算を開始しますか?』

「結局俺が直接当てた方が早そうだから却下!攻撃タイミングの予測に集中しろ」

『了解いたしました』


こうなったら崩れた方が負ける。

相手の攻撃を読み切り、躱し続ける必要が出てきてしまった。

ある意味で、あのアホ難易度のシュミレーターが役に立つ形になった。


『うつ~?』

「いや大丈夫だ。流れ弾は行ってないか?」

『なにもこないよ~』

「ならいいけど・・・っさ!!」


幸い苛烈と言うほどの攻撃密度ではない。

それにののか達の方にも攻撃は言っていないみたいだ。

完全に、俺に対して警戒しているのだ。


お陰で状況が固まっているよちくしょう。


「一遍ダイジュナに繋いでくれ!」

『わかりました!』


少し試したいことがある。


『どうした』

「一発でいいから。何か魔法で攻撃してみてくれ」

『分かった、五秒後に行くぞ』

『ダイジュナから、高魔力反応感知』

「・・・今だ!!」


俺でダイジュナのいる穴の位置を視覚的に隠し、寸前でそこから飛び退く。

太陽の様な光が、レーザーとなってバイオティラノに向かい、命中する。

バイオティラノにダメージを与えるのに、十分な威力を持っていると思われるその攻撃。

しかし、それはバイオティラノの体の表面で弾かれた。


『ええい!やはりこうなるか!!』

「チッ。やっぱりこうなるよな」


魔力を吸収出来る。そして、ダイジュナ達がかつて手も足も出なかったあたりから想像はしていた。

完全に、魔力を使った攻撃が効かないのだ。

やはり俺が削り切るしかないか。


「『モンテーロ』の火力を上げろ!後ののかは『フェイタル』の弾変えて投げろ!!」

『わ、わかりました!!』

「ライチ!ましろ!射撃ビットで撃ち始めていいぞ!!」

『よっしゃー!』

『いくよ~!』


猫玉ラックから四つのビットが分離する。

ライチとましろが憑依している無線誘導浮遊型シールド。それに付随しているガトリングだ砲での攻撃を行ってもらう。

二匹はシールドの本体に憑依しており、これ自体が損傷しても本体には問題ない仕様だ。


バイオティラノの周囲を、二つの盾機銃が飛び回り火花を散らす。

そこに、更に火力を上げた『モンテーロ』と弾を変えた『フェイタル』が体を焼いていく。

回復はするが、ダメージはアリで痛いのだろう。

叫びながらも、触手と魔法でこちらを狙ってくる。

先ほどより密度は高いが、まだまだ躱せる範囲だ。


「ライチ達は・・・」

『ひゃぁぁぁ!!』

『にゃぁぁぁ!!』

『損傷ゼロ』

「・・・やるぅ」


思わず舌を巻く。いくら訓練させたからと言って、この密度の弾幕を躱すか。

俺より小さく、細かく動き回るそちらに気が取られているのか、俺に方に来る弾幕が薄くなった。

これなら・・・


「ののか」

『はい!いつでもなんでもごめいれいを!!』

「何そのテンション・・・まぁいいや。

 俺が合図したら、『サンダーバード』をフルチャージでぶっぱなせ!」

『らじゃーです!!』

「何見て影響されたの!?」


どれだ、どの戦闘記録を見てしまったんだこの子は!?!?

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