49話
色々話も聞けたところで自由時間になった。
俺達が寝泊まりする場所は普通にサーベスの中だから、帰ればそのまま寝れる。
かといってそれではつまらない。
ののか達を引き連れて、神殿の中を探検することにした。
「結構綺麗だな」
「おおきいですね」
「でもひとがいない?」
それは思った。神殿の規模の割に、人間が少ないのだ。
周囲にはそれなりに建物があったから、そちらの方にはそれなりにいるようなのだが。
「ここは住居スペースじゃないのかもな」
「じゅうきょ・・・?」
「人が寝泊まりしてないってことだよ」
「おおー」
「わたしたちにとっての精霊樹みたいなものですね」
「ん?お前らって寝るのって精霊樹なの?」
「けいやくしてないばあいはそうですね」
「へぇ~」
今は俺の家なら皆用のベッドがあるからそこで寝てる。
まぁ使ってるのののかだけだけどさ。
ライチは止まり木だし、ましろはクッションに包まれているのが好きらしい。
ちなみに俺は抱き枕がないと駄目なタイプ。
「何かお前ら的に気になることとかあるか?」
「ともだちがいっぱい!」
「友達?精霊か?」
「うん!」
「ああ。やっぱり多いのか」
何となく気配がそれっぽいとは思っていたのだ。姿が見えてないから確信は持てなかったが。
レーダーを確認すると・・・うん。当然だけど近くにはいないな。遠くにちらほらある。
ダイジュナの話だと、あの村以外では見ることすら珍しいとか言ってたし、ここも多い方なんだろうな。
「エルフもいるんかね?」
「いないとおもいますよ?」
「そうなの?」
「はい!」
ののか曰く、エルフと言うのは基本的に魔力が薄い土地を避ける傾向があるらしい。
もしいるとすれば、よほどの物好きかそれだけの理由があるのだと。
「なるほど・・・誰から聞いたの?」
「ダイジュナ様です!」
「あーね?」
どうやらダイジュナはののかに甘いようだ。いや、小さい精霊全てに甘いのかもな。
ののか達の話だながら神殿を歩いているが、誰にもすれ違わない。
センサーでは人はいるんだが・・・
「もしかして、俺全く関係ない場所来てる?」
「だれもいないね~」
「そうなんだよな~」
「ひま~」
「むー・・・しゃーない。どっかの部屋に入ってみるか」
誰か捕まえて神殿の事を聞きたかったんだがな。
サトハさんは用があるみたいで忙しそうで聞けなかったのだ。
しかしましろが暇そうにしているので、適当に入ってみることにした。
「じゃあこのデカい扉で」
「・・・だいじょうぶです?」
「大丈夫大丈夫」
魔力センサー的にも反応無いし、何か危ないことはないでしょう。
まぁそれでも一応・・・
「キクヒメ。内部のスキャン頼む」
『了解いたしました』
本来は敵基地の構造を調べる時に使う機能なんだが、こういうことにも使える。
スキャンの結果、内部は図書室であることが判明した。
中は本棚と本でいっぱいのようだ。
「では失礼しまーす」
「しまーす」
「しますー」
「いいのかなー?」
何かあったら一緒に謝ってくれると嬉しい。
まぁ本当に何もなかったのだが。
「これは・・・随分と古い本だな」
劣化しているとは言わないが、書かれたのは随分と古い時代のようだ。
文字が微妙に古めかしい印象を受ける。
キイナさんにさらっと聞いただけだから自信があるわけじゃないが、恐らく合っているだろう。
「どれどれ・・・」
「よめるんですか?」
「大体な。キクヒメのサポートありだけど」
本来キクヒメにはそんな機能はない。
ただ、キクヒメの圧倒的な演算処理能力を使えば色々応用が出来るのだ。
膨大な文字データを記録させて、古文書を読むとかな。
解読の結果、これは日記であることが分かった。
「それも日本人のか」
この世界の言葉で書かれているが、間違いなく日本人だ。
まだ全部読んだわけではないが、多分封印の事・・・バイオティラノとの戦いについて書かれている。
「・・・ちょいと時間をかけて読みたいな」
「えぇ~」
「まぁだよね。しゃーない。キクヒメ」
『撮影を開始します』
本をぱらぱらとめくっていく。その様子をキクヒメが撮影する。
写真と言う形で残しておくことで、後で読めるようにするのだ。
ああ~図書館から持ちだせない本を読むときに印刷とかしてたなぁそういえば。
「・・・よし完了。お待たせ」
「またされましたー」
「はいはい悪かったって」
さて、探検の続きと行きましょうか。
「あんまりおもろいの無かったな」
「ふつうでしたね」
「余裕ないとか言ってたしこんなもんか・・・ライチ?ましろ?」
「「zzz」」
「退屈だったか。ののかも眠たいなら寝ていいぞ?」
「おさんぽたのしかったですよ!」
「それは良かった」
マジでただの散歩になっちゃったけどな。
神殿は、普段サトハさん達が使っているスペースが一部に集中しており、そこ以外は掃除するだけでしか行くことがないようだ。
歩き回っている間、殆ど人に会わなかったしな。
台所とか、食堂みたいなところではそれぞれ住人・・・サトハさんのサポートをしている人たちが住んでいた。
「でもまさかエルフもいるとはな」
「おどろきです」
そう、そのサポートをおこなっている人たちの中に数人エルフと思わしき人がいたのだ。
思わしきってのは、直接聞いたわけじゃないってのと、少し違和感があったからだ。
「耳短かったんだよな」
「そうですか?」
「ああ。ちょっとだけだけど」
誤差と言えば誤差の範疇なのかもしれない。
そういうエルフ達だと言われたらそこまでだしな。その程度だが、確かに耳の長さが違った。
俺の推測では、彼らはハーフエルフという存在なのではないかと思う。
この国、封国では人種を問わずに封印を守るために暮らしている。
ドワーフの様な人もいたし、獣人の様な人もいた。
なら、そう言った関係になる人たちが現れてもおかしくはないだろう。
それが長い時間続いているというなら猶更だ。
「まぁののかの友達が増えたのはいいことかな」
「まだあかちゃんでしたけどね」
小さい。それこそましろ達より小さいんじゃないかってレベルの精霊。
それがそのエルフらしき人たちの元におり、ののかに気が付いて近寄って来たのだ。
両方人の姿ではなく、方や海月、方やイルカぽかった。
「両方海の生き物なのは、何か理由でもあるんかな?」
ここら辺は別に海が近いとか言うわけでもない。むしろ水とは縁遠い場所だろう。
雨は降るみたいだが、周囲に川などもないしな。
幸い、魔法で飲み水は確保出来るからそれで困っているというわけではないようだが。
「それは、アルディーン様が水を司る精霊だからでございます」
「なるほど・・・いつのまに?」
「お二人のお声が聞こえましたので。先ほどでございます」
用事を終えたサトハさんがやってきた。
「申し訳ございません。本当でしたら、中をご案内すべきでしたところを・・・」
「いやいや。散歩がてら丁度良かったですよ。ちなみに何してたか聞いても?」
「封印の様子を確認しておりました。アルディーン様が中でご健在とは言え、
用心に越したことはないと、教えられてきましたので」
「なるほど・・・アルディーンが水の精霊ってのが、さっきの子達もそれに近いっていうのは?」
「ダイジュナ様から、精霊の集う場所に関してのご説明は受けておりますか?」
「ああ。精霊樹とかの話は聞いてる」
「それに近しい理由でございます」
水の精霊アルディーン。
その力はダイジュナに並ぶほどの存在だ。
そしてその存在がこの場所にいる。その事実が、水の精霊を呼び寄せているらしい。
ダイジュナの様に、普通ならばそのような事はないらしいのだが。
「アルディーン様は、封印の為に自らの力を使い続けておりますので」
「なるほど。その力に惹かれているのか」
「はい。そして封印の近くは魔力が溜まる場所でもありますので、
新しい精霊が生まれやすくもあるのです」
「封印の近くには魔力があるのか?」
「封印事態に魔力が込められているとお考え下さい」
ふむ。封印は巨大な氷となって姿を現している。
その氷に、強大な精霊の大きな魔力がそのまま込められているのだろう。
だからこそ、氷自体には魔力があるのだ。大地から吸収し続ている魔力が、氷に移っていると考えてもいいな。
もしかして、あの氷が精霊樹のような役割を担っているのかもしれない。
「さしずめ精霊氷柱ってところか。アルディーンがあそこから抜けたらどうなる?」
「封印の意味がなくなりますので・・・恐らく、全て消滅するかと」
「ふむ。なるほどなるほど」
消滅・・・消滅か・・・
その前に、少しだけ削っておきたいな。
ああいや、バイオティラノ倒して、精霊助けたら貰えばいいのか。
いいね。俄然やる気が湧いてきた。
よろしければ評価やブクマ登録お願いします




