47話
村を出発して時間が経ち・・・
『前方に、巨大な物体を確認』
「・・・んお?着いたか」
仮眠をとっていた俺を、キクヒメの声が起こす。
何か見つけたようだ。
「映像出して」
『了解いたしました』
映し出された映像には、巨大な氷の塔が映っている。
なるほど、これがダイジュナの言ってたやつだな。
「ダイジュナ達はどこに?」
『ののか様方と食事中でございます』
「OK。食べ終わったらどこ降りるか聞いておいてくれ」
『それでしたら、伝言を預かっております』
「お?」
『降りる場所は、一番高い建造物の庭に頼む・・・だそうです』
「ならそこ行くか。場所は分かってる?」
『既にマーキングされております』
「OKOK。じゃあ降りてくれ・・・いや無理だわな、降下艇用意してくれ」
『了解いたしました』
一番高い建物・・・神殿の様な建物だ。
そこの広い庭は空き地が目立っており、殆ど庭の様相を呈していない。
だがしかし、僅かばかりに緑があり、何とか庭であると言うことが分かる。
「さて、後はダイジュナ待ちかな」
流石に俺だけで降りるのもあれだからな。
「すまん。待たせたな」
「良いっていいって。どうせ予定より早いんだろ?」
「ああ。数日早い」
ダイジュナの基準で考えたらそうだろうねって言う。
「んで?もう降りていいのか?」
「ああ。必要な物は持っておいてくれ」
「ん?武器とかも?」
「いや。それは大丈夫だ。今日は挨拶だけで終わるだろうからな」
「うい。まぁ俺は大丈夫だけど・・・ののか達は?」
「だいじょうぶです!」
「おーけー」
「だいじょうぶ~」
「ならよし」
キイナさんが作ってくれたののか達用の小さい鞄を身につけている精霊達。
中にはおやつが入っている。精霊達用に細かくしたお菓子だ。
足りなくなった時用に俺の方にも同じ物が入っている。
ダイジュナの先導で、降下艇から降りる。
改めて見ると、やはり殺風景な風景だ。ここがいかに枯れた土地であるかが分かる。
「思ってたよりひどいな」
「我が力を与えなければ、このわずかな緑もなかったでろうな」
「ギリギリってここまでか」
こりゃちょっと甘く見てたな。
「それにしても珍しいな」
「何が?」
「いや、我が来たのに誰も来ないとは・・・何かあったのか?」
「普段はお前が来るって分かるのか?」
「ああ。我の魔力を感知出来る者がいるからな。精霊も数体おる」
「・・・あ、それサーベスのせいかも」
「む?」
「いや、二回目のドラゴン倒した時にちょっとあってな」
俺は、あの緑のドラゴンは紅いドラゴンの魔石の魔力を感じてこちらに来たと考えた。
そこで、魔力が強い存在を引きよると考え、それを遮断する方法を考えたのだ。
今のサーベスには、その試作品のうちの一つである『魔力遮断塗料』が塗られている。
そのせいで、サーベス内に乗っていたダイジュナの魔力を感じることが出来なかったのであろう。
「ああ。だからこんな動きになってるのか」
俺が着込んでいる『無影』の動体センサーには、いくつかの反応が慌ただしく動いているのが見える。
恐らく急にダイジュナの魔力が、それも既に庭にいるってことで慌てているのだろう。
「そんなことも出来るのか」
「まだ試作段階だけど・・・割と上手くいってるんだな」
「我の魔力を遮断できるのなら十分だと思うが?」
「持続性が無いんだよ。雨が降ったら落ちるし」
とりあえず魔力のことしか考えてないからそれ以外の性能はカスみたいなものだ。
これで完成とは、何があっても言えないだろう。
いやまぁ・・・他の物と混ぜれば出来るかもしれないが。
「お主といると本当に飽きんなぁ」
「それほどでも」
「はぁ・・・はぁ・・・ダイジュナ様!?」
「おう。数日振りだなサトハ」
「・・・サトハ?」
神殿の中から女性とお付きの人みたいな恰好の人々が走って出てくる。
マジで焦っているのが分かる。何人かこけそうになってるし。
それにしても先頭の女性・・・サトハって呼ばれてたな。随分と日本人みたいな名前だ。
偶然か?
「ず、随分とお早いご到着で」
「すまんな。我もこやつの速度を侮っていたのだ」
「まさか一日でお戻りになられるとは・・・それにこの大きな鳥は」
「いや、一日じゃなくて五時間だったな」
「・・・は?」
「まぁそれは後ででいいだろう。こやつの紹介をさせてくれ」
「ハッ!?も、申し訳ございません!!」
「いや俺は全然いいですよ?」
何か予想外のことだらけっぽかったし、仕方ないでしょ。
誰もこんな早く来るなんて思わなかっただろうし。
俺はそもそもここまでの距離が分からなかったから何とも言えなかっただけだけど。
「このお方が・・・例の」
「ああ。あの怪物を倒せる勇者だ」
「・・・勇者?」
なんだその中学二年生が暴れだしそうな称号は。俺に似あわない名前ナンバーワンでは?
「鋼の鎧を身に纏い、ドラゴンすら堕とした者・・・コウだ」
「どーも」
「そしてその契約精霊達だ」
「どーも!」
「ども!」
「どーみょ!」
「さ・・・」
「さ?」
「三体の精霊と契約を結ばれているのですか!?」
「んあ・・・ああ。そういえば多いんだったな」
「歴史上、特別な理由なしではお主が最多であろうな」
「そんな話もありましたねぇ」
あんまり気にしてなかったけどな。
「んで?俺にも紹介してほしいんだけど」
「おお。そうであったな。こやつが・・・」
「ダ、ダイジュナ様!。自己紹介くらいなら我らが!」
「そうか?ならそうするが良かろう」
「では・・・お初にお目にかかります。勇者様」
「あ、はい」
「私は、この地で封印を守り続けている者達の代表・・・巫女のサトハと申します」
「巫女?」
「はい。この地の封印の管理を始めてご先祖様が命名した役職にございます」
「・・・なるほど。だからか」
「はい?」
「いや、こっちの話」
なるほどな。だからサトハか。
それにこうして見ると、サトハさんには日本人に見られる特徴がうっすらとだが見える。
恐らくだが、俺みたいに別の世界からこの世界に流れてきた者がいて、それがこの地で生きていたのだろう。
封印が始まってからだと仮定しても、かなり前の話になるから生きてはいないだろうが。
そう考えると、不思議なもんだな。
この地にある封印は、大元をただせば俺達の世界に奴のせいだ。
それの被害を防ぎ、封印を守り続けているのも俺達の世界の人間だ。
そして今、俺という異世界の人間が封印されている怪物を倒そうとしている。
ガラでもないが・・・運命ってのはこう言うことを言うのか。
「後ろの方々は?」
「彼らは私の補助をしている者たちです」
「封印の管理をしていると、どうしてもサトハはそれ以外できなくなるからな」
「彼らがいなければ、こうして今もあることは出来ません」
「なるほど。ダイジュナの聞いてた通りだな」
様々な人たちが、恩に導かれて封印を守るためにこの地に集う。
彼らの眼には、強い信頼が見える。いい人たちなのだろう。
まぁ国として見るなら、立地条件は最低だがな。
挨拶も一通り済ませたあたりで、ようやく彼女達も落ち着いたようだ。
「それにしてもダイジュナ様」
「どうかしたか?」
「いえ、本日は何かあったのですか?まるで魔力を感じることが出来なかったのですが・・・」
「ああ。それはこやつの船のせいだな」
「言い方よ」
「間違ってはなかろう」
「船・・・もしや、これが船なのですか?」
「そっちに分かるように言うなら、空を飛び姿が見えなくなる船だな」
キクヒメに指示を飛ばしてステルスを起動させる。
するとあっという間に降下艇の姿が透明になり見えなくなる。
それを見て、サトハさん達は大変驚いたようだ。
「なんと・・・!」
「こやつはこのような物を大量に持っていてな。すべて自作だったな?」
「全部ではないけど、大体自作だな」
「そして何より、一人で精霊三体と契約を結べるほどの才能もある。
あれを相手取るのに不足はないはずだ」
「ダイジュナ様からお話は聞いておりましたが、まさかこれほどの人物だとは・・・」
「そんな大層な人間ではないんですけどね俺」
「ご謙遜を。その身から溢れんばかりの魔力がすべてを物語っております」
「サトハは特殊な体質でな。魔力を感じることで相手の強さが分かるのだ」
「へぇ~」
正直ストレングスギア頼りの俺の強さとか大したことないと思ってたんだが・・・俺強いのか?
いや、精霊三体いる時点で、並みの精霊使いよりは才能あるのは確定だったか。
ふむ。もしかして、そのうち俺自身も鍛える時が来るか?
「・・・まぁ新しい機体の為なら吝かではないな」
「また話が飛んでいるぞ」
「おっと」
「まぁ多少変わったやつではあるが、まぁ数日面倒をみてやってくれ」
「はい!大したもてなしは出来ないのですが・・・」
「あ、そういえば食料持って来たんで必要なら言ってください」
「しょ、食料までお持ちいただいたのですか!?」
そう言えば忘れてたわ。
まぁこの驚きようだと喜んでくれそうで良かった良かった。
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