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2話

ドラゴンを倒し、自動素材回収機ココナツでその体をばらして回収した。


自働資源回収機ココナツ。

搭載数は20機。サイズはホルンと同じ人間大。

戦場で俺が倒した敵を素材として回収するための機体だ。

戦闘力はゼロ。全く戦えない。


そして周囲の探索をして人のいる所に・・・行かない。

ドラゴンをばらした結果、興味深い物を見つけたのだ。


「これ・・・なんだ?」

『正体不明なエネルギーを保有しております』

「正体不明・・・わかりやすくファンタジーなら、魔力ってところか」


ドラゴンの体内から取れた宝石・・・宝石なのかこれ?

まぁそれを検査していると、何かしらのエネルギーを保有しているのがわかった。

わかった理由は、この宝石が常に熱を帯びていることから判明したのだ。

材質には特にそういう性質は認められないため、恐らく何かのエネルギーを持っていると考えた。

そこで材質調査機ではなくエネルギー貯蔵機に入れたところ、何かしらのエネルギーが溜まったのだ。


非常に興味深い。

この世界の生物が、このエネルギーを持っていると言う可能性がある。


「キクヒメ、このエネルギーを感知するレーダーは作れるか?」

『サンプルが足りません』

「材料じゃなくてサンプルか。OK、近くに生体反応は?」

『・・・半径5キロ内に100以上の反応を確認しました』

「その中で熱源が大きいのをピックアップしてマップ上に配置しろ。アビス・・・いや、エアロードで出る」

『了解いたしました』




俺の持つストレングスギアにはそれぞれの個性がある。

『アビスキュイラス』の特徴は戦闘可能時間の長さだ。近接武装を多く詰んだアビスキュイラスは、その武装のすべてに装甲と同じナノマシンが付随している。

このナノマシンが、敵に触れた瞬間に敵にくっつく。そして、そのまま敵を食い荒らしエネルギーに変換する。

このエネルギーが、アビスキュイラス本体に還元されて長時間の戦闘を可能にする。

そして、ナノマシンによるメンテナンスの簡易さ、回数の少なさを実現している。

格下との多対一の場合、俺の持つストレングスギアの中ではアビスキュイラスの右に出る物はいない。


今回使う『エアロード』

これは空中戦に特化したスーツだ。

武装のほとんどがビーム兵器で、腕に付いている腕部ガトリング以外は本当に全部ビーム兵器だ。

その役割は高機動を活かした偵察と奇襲。場合によっては、ミサイルをガン積みすることもある。

つまり、特徴は高い機動力にある。

BМWでは、全体を通して空中戦に特化した機体があまりいない。

まぁゲームがそうだからってのがあるから仕方ないんだけど。

その中で、無理やり空中戦を可能にした俺の『エアロード』は、嵌れば最強と言われる程の性能を持つ。

・・・弱点として、装甲が驚くほど薄いというのがある。

機動力を売りにしている機体ならある程度装甲が薄いのは良くある話なのだが、『エアロード』はそれらよりさらに薄い。

ぶっちゃけマシンガンが軽く当たっただけでダメージになりかねない。

とんでもなくピーキーな機体になっている。


だが、今の状況なら、『エアロード』以外はあり得ないだろう。

広い範囲を動き回り、敵を倒しまくるというこの状況。そして、あのドラゴンから考えるに、そこまで空中戦闘能力が高いのはいないだろう。


『システム起動。出撃タイミングを、譲渡します』

「オーライ。エアロード、行くぞ」


サーベスから一気に加速して飛び出す。

ゲーム内では特に何も感じたことはなかったが、周囲の風景が一気に置いてかれる感じは少し怖い。

だがそれより


「・・・ハハ。俺飛んでるぞ!!」


本物の空を飛んでいる。

ゲームでは決して感じることのできないこの感じ。

肌で感じるというのは、こう言うことを言うのだろう。

それに、心なしか空気が上手い。やっぱり地球より空気が綺麗なのかな?


『マップにターゲットを表示しました』

「・・・4体か。慣れることも含めてゆっくりやるか」





















森に住む小動物たちは、この森の支配者・・・ドラゴンが倒されたことを既に察知していた。

弱いからこそ、そういったことに敏感なのだ。そうでないと、自然の世界では生き残れないから。

だが、そのドラゴンを倒した存在が、自分達の上空を高速で通り過ぎるのはわからなかった。


風を切り裂く轟音が、木を揺らす。

このあたりに、ターゲットがいるのだ。


「・・・見つけたな」


見た目こそ普通の蜘蛛だが、明らかにサイズがおかしい。人間くらいなら、簡単に飲み込めるだろうその大きさ。

そしてその蜘蛛を中心に広がる大きな糸の巣。

なんというか・・・虫嫌いな人は死んでも見たくない存在だなぁ。


あちらも俺に気がついたようだ。

その口を大きく広げて威嚇してくる。その際に、口の中が見えたが、中は鋭い歯がたくさん並んでいる。

マジで近づきたくねぇ。キモイ。


キクヒメの危険度観測によると、あの蜘蛛の危険度は2。

まぁ雑魚だな。雑に戦っても勝てるくらいの敵。てか、前に倒したターゲット達もそんな物だったんだけど。


ん?口をまた開いて・・・おっと!?


糸を口から吐いてきた。なるほどそういうタイプね。

糸の速度もそこそこ。残念なのは、空に向かって吐いてるため勢いが無いことかな。

この程度なら見てれば避けられる。

うーん・・・あんまり観察する意味なさそうだな。


「実弾もタダじゃないんでね。エネルギーは実質タダだけど」


両手に持つライフルを構える。

エアロードは機体重量を可能な限り削ってるから、装備も軽い物しか持っていない。

今持っているのはビームマシンガン・・・名前はない。これは簡単に量産可能な装備だからな。

俺が名前を付けるのは、貴重な素材を使ったり、会心の出来の装備だけだ。これはそのどちらにも含まれない。

ゲーム内での名前はあるから、それを言うなら50ミリビームマシンガンなんだけど。


蜘蛛は何度も糸を吐いてくるが、かすりもしない。

全部躱して、両手のマシンガンのトリガーを引く。

それと同時に糸も吐かれるが、糸ごと消し飛ばしながら緑のビームが蜘蛛に穴を開けていく。

数秒で、蜘蛛は穴だらけになり生体反応がレーダーから消えた。


「本当に弱いなぁ」


この蜘蛛の前に、既に3体のターゲットは倒している。

だがそのすべて、似たような戦いで終わっているのだ。

まぁそういうのが狙いで『エアロード』で来たってのはあるんだけど。だからと言って回避するだけでいいってねぇ。

それも横に動くだけーとかそんな回避だからな。ヌルゲーだ。

しかも大して攻撃力の無いこのビームマシンガンで即殺してしまう。


いいことなんだが・・・いい事なんだがなぁ。


とりあえず敵の死骸から必要な物を手に入れなければ。

本来ならこういう素材回収はココナツがやるんだが、今回はサーベスから遠いからな。

こういう時の資源回収機能も、一応『エアロード』には付いている。

まぁ大量に持ってけないし、本当に必要な物を数個だけ持っていくための機能なんだけど。

そもそも拡張可能範囲が微妙に余ったからつけた機能だし。


「・・・お。あったあった。こいつのは紫色か」


体内から宝石を取り出す。これは紫色。

どうにもモンスターによって宝石の色は大きく違うようだ。

だからと言って何が違うのか、それが判明するのは調べてからなんだけども


「周囲に変化は?」

『確認出来ません。危険度0の生物を多数確認しています』

「ふーん。本当に大したことない森なんだな。まぁ楽でいいか。ドラゴンの素材の方はどうだ」

『解析率、63%です』

「早い・・・早いのか?」

『肉体を構成している物質が、未知の物質で構成されています。当初の予想時間を大きく超えています』

「十分な気がするけど」


ドラゴンを倒してからまだ何時間も経ってないんだ。

未知の物質の解析で、すでに半分も終わっているのなら上等だ。


「今わかってる段階で、何が出来そうだ?」

『耐火装備への転用を提案』

「耐火か・・・もうあるんだよなぁ。他は?」

『・・・特殊義体用のスーツの開発を提案』

「ああ、なるほど。足りるのか?」

『サイズを調整すれば可能です』

「へぇ・・・まぁちょっと保留で」

『了解いたしました』


特殊義体スーツ。

特定の生物を倒し、手に入れた素材で人型以外の機体を作ることだ。

俺もなんとなく数体作ったが、趣味じゃなくってな。一機以外は大した性能を持っていない。

その一機も、人型じゃないってだけで、生物的な要素を残してはいないんだけど。

何と言うか・・・全身機械の装甲を纏ったライオンだな。


アニメの影響なんだけど。あれは趣味だしな。


今回のドラゴンなら、ドラゴン型の機体を作れるってことなのだろう。

姿形を真似するだけなら、そういう風に組み立てればいいだけなんだけど。

まぁ元となった生物の素材を使った方が性能が高くなるのだ、特殊義体型は。

まぁ危険度3・・・ああ、素材ランク的には5か。それでも大した性能のは出来ないだろうが・・・


「ドラゴンのロボットもいたなそういや」


・・・作るか。


『機体の残りエネルギー、60%を切りました』

「おっと。帰るか」

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