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43話

シュミレーターの完成から三日後、ダイジュナが帰ってきた。


「すまないな。思ったよりも時間が掛かった」

「そうか?予定通りだと思うけど」

「思うよりあちらの反応が良くてな」

「まぁ・・・いいことじゃね?」


長年のお役目から解放させるかもしれないのだ。

それに、ダイジュナの仲間が助かるかもってなったらそらそこの人は喜ぶだろう。


「ところで、お主と契約した者たちが見えんが・・・」

「あー・・・見に行く?」

「む?」


家の地下に案内する。案内する場所は、ここ数日でシュミレータールームとなったあの部屋。

そこでは、シュミレーターに夢中になっているののか達とキイナさん+αの姿が。


「・・・なんだこれは?」

「いや・・・まさか俺もこうなるとは思わなくてな」


シュミレーターをののか達専用に作ってから、キイナさんにも許可を出したところ大ハマり。

ゲームという概念自体がないこの世界には、これはすさまじい衝撃だったらしい。

娯楽としてはまぁ最強なのは間違いないのは分かっていた。


問題は、これの情報はキイナさん経由で村人たちに広まったことだ。

別に困ることはないんだが・・・


「日頃のストレス発散に丁度いいらしくってな?」

「な、なるほど・・・」


主に遊んでいるのは女性陣だ。

男性陣はソキウスもあるし、外に出て狩りもあるからそうでもない。

逆に村の中での仕事が多い女性陣はちょうどいいとばかりに遊び始めたのだ。

村の外にも出ないし、シュミレーターだから危険もない。

設定次第では体を動かすのと変わらない爽快感も味わえる。

流石に魔法は使えないが、それでも運動するって点ではこの上なく適している。


「まぁ実際に動いてるわけじゃないって注意はしたんだけどなぁ」

「ま、まぁこれで気持ちよく仕事が出来るのなら良いのではないか?」

「実際仕事の効率上がってるらしいんだよねぇ」


普段は夕方までかかる仕事も昼過ぎには終わっているレベルだ。

娯楽が待っていると思うと、仕事も早く終わるってのは何となく分かるけど。

おかげでシュミレーターも増設することになった。これは早めに空間投影型シュミレーターを作らないといけないかもしれない。

あれは一台あれば複数人纏めて使えるからな。その分用意する物も多いけど。


「はぁ・・・まぁいいや。封国の事聞かせてくれるか」

「分かった」

「現状やばそうなことは・・・ないってことでいいんだよな?」

「ああ。状況は変わらず。封印も特に変化の様子はない」


確か・・・時間ごと凍結させてるんだったな。随分と優秀な封印だ。


「てか、あちらさんは俺の事を信じたのか?」

「うん?」

「いや。言っといてなんだけど・・・普通信じなくないか?」


ダイジュナ達がかつて倒すことも出来なかった存在。

最終的に、仲間を犠牲にしての封印が精一杯であったそれは、永い時を経てなお状況維持しか出来ていない。

自分達が、どれだけやってもそれまでだった存在を、倒せると言う男。

普通なら簡単に信じることはないと思うんだが。


「いや、普通に信じたがな」

「マジで?」

「うむ。私の言葉というのもあると思うが、実績もあるしな」

「実績?」

「ドラゴンを二体程葬っておるだろう」

「ああ。あれか」

「お主の感覚では大したことないのだろうが、ドラゴンと言うのは基本災害扱いなのだぞ?」

「そんなことも前言ってたな」


そういえばそんな話も合ったなって感じだ。

なるほどね。俺のそういう実績もあり、ダイジュナの言葉もありで信じてもらえたというわけだ。


「他に気にしないといけないことってあるか?」

「戦う場所については必要か?」

「絶対に必要」

「分かった。とは言っても大した情報ではないが」

「いやいや。大事だぜ」

「いや、本当に大した情報ではないのだ。基本は室内だが、天井が開けているはずだ」

「はずってのは?」

「封印の影響でな。大きく凍らせたので天井が無くなっているのだ」

「ほう・・・」


天井が無いのか。そうなると、あまり高度は気にしなくていいか。

使う機体は結局アビスキュイラスにした。万能機だし、近中遠のいずれに距離にも対応できる。

武装も多く詰めるし、最悪自前で武装の形成も出来る。

ちょっと瞬発力不足が気になるかもしれないが、まぁバイオティラノ相手ならそこまで気にしなくてもいいだろう。


空中戦もあんまりする気はないから、調整もそっち方面で合わせればいい。

これが他の機体だと、気にしないといけないことが多くなるからな。


「あ、建物壊しちゃダメとかあるか?」

「倒せるのなら何をしても良いとのことだ」

「は?そこまで?」

「そもそもあの国は封印の為だけにあるからな。必要がなくなるなら、国もいらんとのことだ」

「うわぁすげぇ覚悟だわ」


マジで何も気にしなくてもいいレベルかもしれんな。

まぁ持っていく武装に関しても決めてあるから変更することはしないが。

それに流石にそんな危険な武器持ってないわ。


「出発は?」

「お主の準備が整ってからで良いそうだ」

「あらま。まぁ終わってるけどな」

「む。そうなのか」

「俺自身のはってだけだけどな。後はののか達次第かな」

「彼女達も戦わせるのか?」

「まぁな。勝率も上がるし、戦うってか援護目的だし」

「まぁキイナややつが何も言ってないのなら問題ないのだろうな」


精霊使いとしての経験は村長たちの方が絶対的に上だ。

ダイジュナも、自分自身が戦うのならともかく、使役されている精霊の戦いに関しては微妙だそうだ。

だから自分が何か言うよりは、キイナさん達が言った方が良いと思っているようだ。


「ちなみに何をさせるつもりなのだ?」

「俺の武器を運ぶかかり。これに憑依させるんだ」

「・・・これは・・・何と言うか」

「可愛らしいってか?」

「うむ。戦うようには見えんな」

「実際ののかのパフォーマンスを上げる為のデザインだからな」

「精霊の調子は確かに重要だな・・・まぁこれは流石に予想外ではあるが」

「ちなみにこれでもやろうと思えばドラゴン倒せるぞ」

「何がどうなったらそうなる!?」


中に積んである武器がえぐいんだよこれ。


「まぁ流石にスペック上の話だけどな」

「つまり、使いこなせえれば誰でもそれが出来ると」

「そうなるな」


それはソキウスの時から変わってないけどな。

あれはそれ自体のスペックはそこそこだが、装備できる武装に制限がないのが特徴だ。

アビスキュイラスに近いと言えば近いのかもしれない。

あっちがファイタータイプで、アビスキュイラスはカオス系統なのが大きな違いだが。


「それじゃあ出発は・・・明日にするか」

「分かった。それでは今日は休ませてもらうか」

「あ、どれくらい離れてるか教えてくれ」

「・・・お主、この世界の距離の単位を知っているのか?」

「あ」


そういえば聞いたことないな。この村の中だろ聞く必要もなかったし。

なのでダイジュナからは馬車での移動距離を聞いた。

場所の場合は最速で20日ほどだそうだ。


結構離れているな。

確か馬車って一日で100キロくらい移動出来るんじゃなかったか?

単純計算で2000キロはあると思っていいわけだ。

・・・サーベスだと大した距離じゃないな。


その後も少しだけ話してダイジュナは精霊樹の方に戻っていった。

精霊に体力的な疲れは存在しないが、精神的にはツラいらしい。

まぁ移動が続けば仕方ないよな。


「んで俺はこっちの様子見なんだけど・・・」

『暫く終わることはないかと』

「だよなー」


キイナさん達女性陣は暫くシュミレーターから離れないだろう。

ののか達と遊ぶってのも本来ならあるんだが、楽しいのかこちらもシュミレーターから離れない。

ましろが時々擦り寄ってくるのが癒しだよねっていう。


「機体の調整も終わってるからぁ」

『装備。資材。食料などの積み込みも終了しております』

「何かやることあったか?」

『研究中の物の進捗確認ですが、緊急性はございません』

「ってなると・・・本格的にやることないな」

『バイオティラノとの戦闘シュミレーションを提案』

「えぇ~・・・お前の想定するやつアホキツイんだもん」


キクヒメは俺が作った高性能AI・・・所謂人工知能だ。

クロウもそれなりに高性能だが、それをはるかに超える。


そのせいか、キクヒメに難易度調整を任せるととんでもないことになる。

俺が勝てるか勝てないか実に微妙なラインにしてくるから・・・戦うと非常に疲れる。


「明日出発じゃん?」

『戦闘日は明日ではないと思われます』

「・・・まぁだろうね」


それはそうだろうな。

あちらに俺が着いて、そこでもある程度情報を集めてからになると思う。

どれくらい時間が掛かるかは不明だが、それでも明日すぐってのは無いだろう。

確かに、キクヒメの言う通りシュミレーションをする余裕はある。


「・・・しゃーない。待ってても暇だしやるか」

『設定は既に終了しております』

「・・・ソウデスカ」


うわぁこれマジのやつだ・・・うわぁ・・・

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