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41話

「えぇー。そんなわけで改造タイムに入りますはい」

『放っておいてよろしいのですか?』

「ののか達に任せた」


キイナさんの顔を真っ赤に爆発させてしまったのでお勉強は後回しです。

俺というやつは何故にあんな言葉が出てきてしまうのか。


「嫌がられたりはないよな流石に?」

『私には分かりかねます』

「まぁデスヨネ」


そんなわけで、ほとぼりが冷めるまでは別の事をしようかと。

キイナさんが言っていた、シュミレーターを使ったののか達の訓練。

やりたいのは、様々な敵に対して模擬戦闘。


しかし猫玉ラックの運用方法が問題だ。

ののか達が操縦するのなら問題なくシュミレーターが使える。

しかし、憑依して動くとなると使えない。


解決しないといけない問題は、憑依している状態をシュミレーターで再現できないかということだ。


「とは言いつつも、出来そうなことは限られるんだよなぁ」


一つは猫玉ラックをそもそもそう言う物として登録すること。

そうすればとりあえず戦いの時の位置取りや、状況に応じての動きの予習は出来る。

問題は、ののか達が結局動くのではなく操縦することになるから実際に自分で動かす時の経験を積めないことだ。


もう一つはシュミレーター事態に憑依してもらうこと。

中の機能を使えるのなら、それで猫玉ラックを再現できるはずだ。


そして最後。ある意味ではこれが本命なのだが・・・


「新しいタイプのシュミレーターを作る事」

『空間投影型の場合、開発時間が膨大になります』

「そうなんだよねぇ」


シュミレーターの種類は大きく分けて二つ。

一つはプレイヤー自体がシュミレーターに入り込み仮装区間の中で戦闘を行う物。

大体はこのタイプを使うことになる。理由としては、これが安価で作りやすいからと言うのがある。

欠点としては、一部の特殊な機体は使えないということ。

俺の持つ機体の場合、『ヤマトスコーピオン』と『エアロード』後は『ドルフィンレーン』が使えない。


そしてもう片方が今回作りたい方。

空間投影型シュミレーター。

これは、広い空間に設定した戦場を投影するパターンだ。

自分の機体はそのままに、敵機の反応だけがあるパターンだ。

これの欠点は、シュミレーター本来の役割を微妙に果たせないことだ。

例えば、自分が作りたい機体のデータを先にシュミレーターに入力して確かめるというのは一つの役割だ。

だが空間投影型はそれが出来ない。その時点である機体でしか使えないのだ。

模擬戦闘を行うという点では確かに使える物だが、その点があるためにあまり使われていない。

何より広い空間が必要と言うのもあって、中々に使い勝手は悪いのだ。


「だがしかし、特殊な機体でもシュミレーターを使えると言うのは利点だ」


俺が持っていない理由は、単純に俺の特殊な機体はシュミレーションをする必要が無かったからだ。

極限環境対応。水中専用。空中戦特化。

ある程度形を最初から決めていたのでやる必要がなかったのだ。

機体の完成予想図に関しても、キクヒメがいるからそう言うのは作ってくれたし。


「てか、うちって特殊ガラスの在庫ってあるっけ?」

『基地攻略時に入手した物が複数ございます』

「あ、手に入れてはいるのね」


正確には、特殊偏光ガラスって名前だ。

これは通常の戦闘では決して手に入らない素材だ。高ランクの物になると、敵基地を攻略するか、どこかに埋まっている廃材を分解して低確率入手するしかない。

後者は運ゲーになるので、やりたくないという俺の我儘であんまりやったことない。

ああ。後はプレイヤーがプレイヤー相手にアイテムを売るプレイヤーマーケットで高額で販売されているってのもあったか。

空間投影型シュミレーター以外にも、ちょっと変わったアイテムを作るのに数が必要だからな。需要が枯れることは決してない。


「ちなみにあれって作れたりは・・・」

『現時点では不可能です』

「だよね!!」


ああーどうしようかなー。

確かに今の状況・・・ゲーム内ではなく、異世界に来て自由度が上がった今でこそ必要な物だ。

通常のシュミレーターでは対応できない状態に既になっている。

今の問題には間に合わないが、それでもこの先で間違いなく役に立つだろう。


しかし、再入手の目途がない状態で一気に消費するという状態がためらいを生む。

他の資材に関しては、割とどうにかなっているんだが。


「うーむ・・・」

『現状での問題解決にはなりません』

「分かってるよ。でも、今決めておいた方が良いだろ?」

『優先度は、既存の機器の改造の方が高いかと』

「・・・それもそうか」


とりあえず、猫玉ラックのデータを入力するか。

設定が自由だから、そういう機能はないけどとりあえず飛ぶように設定して・・・
















「・・・よし出来た」

『お疲れ様でした』

「ちょっと中で動かしておいてくれ。ののか達が憑依した時との稼働データの差を集積」

『かしこまりました』


一通りデータを入力し終えた。後は実際にののか達の動きに近づけるだけだ。

その細かい作業は俺よりキクヒメがやった方が早いから任せるんだけど。


そして俺は休憩・・・と行きたいんだが、まだやることはある。

今のシュミレーターでは、ののか達が操縦できない。

小さいから手が届かないってのと、そもそも動物だからってのがある。

最悪憑依して操縦桿を動かしてもらうってのは出来るんだろうけどな。


作るのはそれぞれに合せた形状のシュミレーター。

それを俺の使うやつにケーブルで繋げてっと。


「・・・いかん。大切な事を忘れていた」


急いでののか達を呼び出す。

すると、割とすぐにキイナさんを伴って全員来てくれた。


「あ。戻ってきたんですね」

「お騒がせしました・・・」

「いやそういう所もかわん”ん”!」


危なぇ学習能力ゼロか俺は。


「どうしたんですか?」

「いや。全員の身長計らなきゃなと」

「しんちょう?」

「ミ?」

「なにするのー?」

「これを皆用のサイズを用意しようかと思ってな」


先ずは俺のシュミレーターを見せる。

シュミレーターと言っても、ロボット物で見る箱みたいな機械ではない。

全てのストレングスギアのベースになるフレームが固定されているのだ。

これを着込むことで、シュミレーターを使うことが出来る。


「ほら、猫玉ラックの練習用に同じやつを用意しようかと」

「「「おおー!!」」」


こっちは作るのに時間が掛からないのかと思うかもしれないが、こっちはすぐに出来るのだ。

何せベースフレームさえあれば、後は固定器とそれ用の機具を取り付ければいいだけだし。

まぁ流石に鳥と虎のフレーム何て作ったことはない。

だが、代わりとなるデータはあるのだ。


クロウの機体データだ。俺が作った機体ではないが、データ自体は全部俺の元にある。

そのデータは、人間の形をしていない存在に対するベースフレームのデータも入っていた。

貰った当初は、完全に制作者のステマだよなとか思ったけど、ここで役に立つとはな。


「あの動物型ロボ愛好家に感謝する日が来るとはなぁ」

「愛好家さん?」

「俺の知り合いの変態」


文字通りの変態である。それ以上にあいつを示す言葉はない。


「そんなわけで身長・・・というか体のデータ一式計らせて♪」

「「はーい」」

「はにゃー!」

「・・・え?コウ様。ののかちゃんもですか?」

「え?そらまぁ」


子供より小さいサイズだから一応データは欲しい。この先で役に立つだろうし。


「・・・それって、私でもできます?」

「???・・・まぁこれでスキャンするだけなのだ」


ハンドスキャナーでさっと全身を見るだけだ。

すると手元の画面にスキャンした相手のデータが全部出てくる。


「全部」

「体重もスリーサイズも全部ですね」


プレイヤーには使えないが。そもそも小さな機械を調査する時の物だし。

何故精霊に使えるかって?無影とかのカメラに使われている物使ったら出来るようになったんだね。


ところで、キイナさんは何が気になるのだろうか。

何やら俺を見る目が変わっていると言うか・・・先ほどまで俺の言葉で赤くなっていた乙女の眼ではないような?


「・・・コウ様」

「はい」

「ののかちゃんのは私がやります」

「え。いやあの」

「私がやります!!」

「・・・オマカセシマース」


何故だろうか、今のキイナさんに逆らったら死ぬと言うのがすぐに理解出来た。


すぐにののかを引き連れて別室にキイナさんは移動する。

その背中を見ながら、呆然とする俺。


「・・・俺何かした?」

「ますたーがわるいと思うよ?」

「ますちゃーのせいー」

「えぇ・・・」


俺のせいかぁ・・・

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