1話
何故かまとめて投稿するのを忘れてたので5話ほど一気に
艦橋までは、俺のいたガレージ部分から大体5分ほどで着いた。
外の映像は・・・は?森?
「ここどこ」
『現在地不明』
「はぁ!?」
現在地がわからないってのは・・・まぁ偶にある。電波状況が悪い場所とかだとよくあるし。
問題は森があるってことだ。
BMWの世界観は、荒廃した近未来って設定だ。
森なんてものはほとんど存在しない。そして、森の中にいるのに何も起きていないと言うのがありえない。
あるのは指定危険物に設定されている毒をばら撒く花とか。
近くによると襲い掛かってくる系の植物ばっかりだ。
つまり、森の中=死地だ。
もちろん。俺のスーツなら問題なく突破出来るんだけど・・・
「襲撃は?」
『ございません。周囲の植物に、危険性は認められません』
「おいおいおいおい」
どうやらBMWの世界ではないようだな。
危険性の無い植物は、地下で育てられている食用のやつだけだしな。
酸素の発生すら機械でやっているような世界で、安全な森って・・・ねぇ。
もしかしたら設定上はあるけど、ゲームの中ではいけないみたいな場所の可能性はあるけど。
「今どの辺まで見れた?」
『現在、周囲50キロの偵察を終えています。帰還命令を出しますか?』
「50・・・生体反応は?」
『危険性のある生物は確認できておりません』
「じゃあ熱源・・・敵は?」
『危険性のある存在を確認できておりません』
「やっぱここBMWじゃないわ」
50キロも探索したらゴロゴロ敵が出てくるんだよ普通。
それに、危険性のあるって言ってるってことは、危険性の無い連中はいるってことだ。
森だと・・・普通の動物とかになるのか。
これもBMWではいないしな・・・一部の研究所以外では存在出来ないし。
「一応聞くけど、空気汚染は?」
『汚染率0%』
「はいけってーい」
マジか。
サーベスの中には、自動配給システムもある。
自働でアイテムを輩出してくれるありがたい物だ。あれだ、自販機がわかりやすい。
エネルギーさえあれば、無限になんでも・・・は無理だけど、色々出せる。
現実にあったらやばいでしょこれとは思ってたけど・・・
「本当にエネルギーで出せるのか」
早速システムから出したレトルトカレーを食べる。
何かお腹減ったなーとか思ったから出してみたんだけど、割とイケるなこれ。
流石無駄に金を掛けただけあると言うか・・・ゲーム内ではただの趣味アイテムでしかない食料だけど。
BMWには所謂空腹ってシステムはないからな。本当に食料系は趣味でしかない。
一応食べれるけど・・・まぁなんも起きない。誰かと会話している時にあるとおしゃれだよねくらいだ。
主にスクショ勢に人気だった。
俺は純粋にリアルな快適さをサーベスに求めたからあるだけだ。
普段はもっと良く使うアイテムを出すくらいしかしない。
あ、『アビスキュイラス』は今は脱いでいる。
脱ぐって言うか・・・背中にくっついている。
アビスタイプのスーツはナノマシン装甲が特徴だが、俺のはさらにその部分を伸ばしている。
予め設定してある形に変形できるのだ。この場合は変身なのか?
まぁわかりやすく言うと、細胞がぐにょぐにょ動いてちっさくなったりおっきくなったりする感じ。
今は俺の背中バッグみたいに背負ってる感じ。重さはとある理由で感じない。
『ホルン全機。帰還しました。整備を開始します』
お、帰って来たか。
ちょうど俺もカレーを食べ終わったし・・・これどうすれば・・・あ、そうだ。
「リサイクルボックスあったわ」
リサイクルボックス。
これも趣味アイテムの一つだが、結構採用している人は多かった。
使わないアイテムや、さっきの食料アイテムと言った物をこのリサイクルボックスに入れるとエネルギーに変換してくれるのだ。
このエネルギーは自販機以外にも使えるから、結構採用率が高かったのだ。
カレーと一緒に出てきたトレーをリサイクルボックスに入れてっと・・・おお、溜まった溜まった。
カレーが5で作れる。そして今入れたので3溜まった。
まぁ当然マイナスだけど。節約にはなるからな。
てか発電してるからエネルギーなんてすぐ溜まるし。
さてと・・・ホルンも帰って来たし、これからどうするか・・・まずはここがどこなのかってことを知りたいけど・・・
『巨大な高熱源飛行物体接近中』
「お、映像出せ・・・はい?」
サーベスのセンサーが何かを捉えた。
それをカメラの映像で確認しようと映像を確認したところ・・・驚きの映像が映っていた。
巨大な翼、強靭そうな腕と爪。鋭い爪。そして他者を威圧する眼光。
鱗に反射した赤い光が、周囲を照らしている。
ドラゴンだ。ドラゴンがこちらに向かってきている。
「って完全にファンタジー!?」
俺完璧にSFなんですけど!?
俺が慌てている間に、ドラゴンはこちらに迫ってきている。
そして、ある程度の距離まで来た時に、サーベスに向かって炎を吐き出して、直撃する。
その衝撃で、機体が・・・まったく揺れない。
「え・・・あ、シールドか」
『シールド。稼働率99%』
「全く効いてないし」
ドラゴンもこれには驚いているようだ。
こちらに向かってきていたのをやめ、その場でホバリングし始めた。
警戒しているようだ。
俺のサーベスには、『アビスキュイラス』と同じ装甲・・・ナノマシン装甲が使われている。
だから、放置すれば勝手に修復されるし、メンテナンスフリーでもある。
そしてナノマシン装甲の弱点として・・・熱に弱い。
だから、外部シールドは主に耐ビームと耐熱性能を上げている。だからほぼ損害無しだったのだ。
外部シールドもエネルギーを使うが、これは機体のジェネレーターから取ってるから、自販機とかのとは別だ。
その後も何度も炎をサーベスに浴びせてくるが、シールドの回復速度の方が速くって全く効いていない。
なんか、あんな怖そうなドラゴンの攻撃を無傷で防げるのって安心感すごいな。
・・・でも、鬱陶しいな。
「キクヒメ。あれの危険度は?」
『危険度判定・・・危険度3』
「はい?3?・・・雑魚なのかあれ?」
3って言うのはまぁ・・・そこら辺のフィールドにいるちょっと強めの敵くらいの判定だ。
初心者からしたら出会ったら最後な感じだけど、俺みたいなのになるとそれくらいなら片手間で倒せるくらいだ。
うーん・・・ちょっと怖いけど、『アビスキュイラス』で戦ってみたいな・・・
「・・・よし、戦ってみるか」
『空中戦装備を提案』
「キュイラスなら何でもいいでしょ。あ、一応あれは持ってくか・・・」
機体カスタマイズ中
ドラゴンは、己が強者であるという自覚があった。
他の生き物は、自分を見ただけで逃げていく。
時々向かってくるのもいるが、大抵炎を浴びせてやればそれで終わってしまう。
だから、今日もそれで終わると思っていた。
自分の縄張りに、いつの間にか現れた鳥のような何か。
こちらが近づいても反応がないから、炎を浴びせたところ、何もない空間に弾かれた。
よく見ると、薄い緑の膜が張ってある。
数発同じように炎を浴びせたが、反応はない。
生意気だ。ならば、直接爪で引き裂いてくれる。
・・・そう思い、巨体の高度を下げた瞬間。翼をもがれ、地に落された。
何が起きた?突如として走った痛みに、思考が定まらない。
だが、何かから攻撃された。
空中にとどまることが出来ずに、落ちてしまう。
どこから・・・?
不意打ちで翼を撃たれ、地面に撃墜したにも関わらず、とっさに周囲を警戒できたあたり、流石はドラゴンなのだろう。
だが、全くの無意味だった。
ドラゴンが最後に見たのは、黒い化け物が巨大な斧を振り下ろす姿だった。
「よっしゃ!」
上手い事いったな。
まず行ったのは機動力を奪うこと。
あの巨大な翼をどうにかすることだ。
触雷撃砲・・・アビス式のレールガンだ。
砲塔が変幻自在な装甲なので、射程と角度をある程度自由に変えられる便利武器。
火力はそこそこだが、汎用性はレールガンにしては高い。
それを最大収束で、サーベスの陰から狙撃。
上手い事右の翼の付け根部分に命中。根元事吹っ飛ばすことに成功。
墜落地点を算出し、その場に駆け出す。
その間に、背部の背負いものから武器を取り出す。
アビス式変形斧。オーバーロード。
重さ、サイズ共に俺の持つ近接武装の中でトップクラス。
重さだけで火力を出す脳筋武装だ。
取り出した瞬間はただの棒に先端が膨らんでいるだけだが、外に出た瞬間に、先端がうごめき、巨大な斧の形になる。
これが俺の『アビスキュイラス』の最大の特徴。
装備も含めて、同じように形を変えられるのだ。だから、俺の『アビスキュイラス』は武装が多い。
今回はわざと軽くして来ているが・・・本気の時は20種類以上の装備を持つ。
地面に墜落したドラゴンは、すぐさま周囲を見渡して警戒しているが・・・意味がない。
俺はすでに、上空にいる。
オーバーロードを上に構え、背部の背負いものからブースターを吹かして急降下。
勢いと主に振り下ろされた巨大な斧が、空気を切り裂き轟音を鳴らす。
その音で、こちらに気がついたようだが・・・上を向いた時には、既に首に斧が当たっていた。
抵抗感を全く感じずに、首を両断した。
雨の様に血が噴き出るがすぐさま収まる。
傷口では、黒い何かがうごめている。それと同時に、アビスキュイラスのエネルギーが増える。
特徴その二。
浸食機能だ。
生体部分なら捕食することで、機械ならエネルギーを吸い取る形でアビスキュイラスに補給を行う。
長期戦を想定した機能で、効率はそこそこいい。今みたいに近接武装で戦うのならほぼ無限に戦える。
オーバーロードは重いから、収支的にはマイナスなんだけど・・・軽いのなら無限だから。
それにしても、やっぱり危険度3相当なんだな。
あっさり勝っちゃった。