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36話

精霊達と遊ぶのもいいが、これからの事にも備えないといけない。


ダイジュナが封国から帰ってくるまでもう少しかかる。

ならば、その間に腕が錆びつかないようしないとな。

村にいる間はなんだかんだやることあって戦ってなかったしな。


また基地に戻って、ある物をサーベスの中に積み込む。

それをなんとか家の地下に運び込んで・・・


「出来た!戦闘シミュレーター!!」


これを本格運用する時が来たようだ。

本来のこれの用途は、新機体を開発した時に動きを確認するために使う物だ。

いきなり実戦するとかマジでアホの所業だからな。


難易度がいくつかに分かれていて、俺が戦ったことのある敵全てを収録している。

流石にレイドボスなどの一部の特殊な敵は戦えないが、その分設定に制限はない。

つまり、数と性能が上がった状態で様々な敵と戦えるのだ。


バイオティラノと戦うことを想定すると、これに似たやつと戦った方がいいんだがいない。

代わりに、数と質でカバーしていこうと思う。


「スパイダー・・・ああいや、面倒だからそれぞれ100機くらいの設定で」

『了解いたしました』


まずは肩慣らしってことで、よく見かける連中から数をこなしていこうか。


















「・・・ふぅ」

『おつかれさまでした』

「評価は?」

『総合評価A+です』

「・・・エイム衰えてたか?」

『命中率78%です。同条件での最高記録は85%になっております』

「やっぱり落ちてんなぁ」


分かってたはいたけど鈍ってる。

今回はスパイダーという種類の敵100と、モトタンクという戦車型の奴100機と戦った。

機体は『アビスキュイラス』装備はアサルトライフルとシールドのみ。

アビスキュイラスの本来の武器である特殊武装などは無しで戦った。

『オーバーロード』や『ガルムガトリング』とかいうのを使うと一瞬で終わるからな。


持っていった装備の特に変わった物はない普通な物だ。

それなりに改造して、そのままの物よりは高性能にしてあるがそれでも普通の域を出ない。

それを用いて、A+・・・うーん。

同条件でもっと上があるってことは、それだけ落ちてるってことで。

そもそも最近は格闘戦ばっかりしてたからな。

バイオティラノと一人で戦うのを考えると、間違いなく中、遠距離戦をした方がいい。

だけど、この状態なら近づいた方がいいか・・・?


「・・・確かめるか。セッティング変更で高速格闘戦闘・・・あー・・・『スパロウ』使うか」

『装備を搭載出来ません』

「とにかく近づいて戦うってだけ考えるからいらんいらん」

『了解いたしました』


どうせなら格闘一気に寄せるか。


ファイター型機体『スパロウ』

これぞまさにファイターって感じをイメージした機体だ。

射撃が実質的に出来ない代わりに、とにかく近づいて殴る。

間合いに入り込めば、どのような敵でも瞬時にスクラップに出来る。

装甲が多く、防御の堅い機体であろうと問題なく倒せる機体だ。

雑魚相手使うと、過剰火力になりがちだから使う場面は限られている。

そもそも俺が射撃の方が得意だからってのもあるけど。


「敵の条件は同じで・・・『アバランチ』持ってくか」

『サブ武装はいかがなさいますか?』

「・・・ソードリッパ―は無いとすると・・・『ナノナイフ』付けといて」

『了解いたしました』


『ジャックナイフ』の発展強化型の『アバランチ』

まぁ刀だな。切れ味射程共にジャックナイフの上位互換だ。

『ナノナイフ』は・・・別に小さいナイフではない。

アビスキュイラスと同じシステムで動くナイフで、時間と共に弾数が回復する投げナイフだ。

普通にナイフとしても使えるが、基本的にサブ武器にしかならない。

射撃は出来ないが、投げるのは可能なのだ・・・俺の技能次第だからな。


よし、とりあえずやるか。


シミュレーターを着込むように乗り込むと、すぐに視界には荒野が映る。

センサーに捉えられている敵機の数はピッタり二百。

それらすべてがこちらに向かってきている。まだ視界には見えないが、すぐに見えるようになるだろう。


少しだけジャンプして、感覚を確かめる。


「やっぱり軽いなこいつ」


アビスキュイラスとかエアロードとかの比べて機体重量が軽い。

無影より少しだけ重いってだけで、こいつの軽さが異常なのだが。


「・・・よし、行くか」


アバランチを右手に持ち、左手にナノナイフを構える。

『スパロウ』には、飛ぶためのブースターは存在しない。これらすべては跳ぶための物だ。


それらを一気に吹かして、敵機の群れの中に飛び込むように突き進む。


当然その動きに反応して、蜘蛛と戦車がこちらに火砲を向けてくる。

一斉に放たれる銃撃と砲撃の雨を、時に切り裂き、時に撃ち落としながら接近する。

そして、距離が近づいたタイミングで先頭の機体に乗る様に跳びかかる。


「セイヤッ!!」


アバランチを突き立て、頭部を破壊する

即座に他の機体から攻撃が来るのでさらにジャンプして回避を行う。

そのまま一切減速せずに、弾幕の中に突っ込むように走る。

この距離では、既に砲撃は怖くない。細かい銃撃なら、気にしなくても問題ないレベルだ。


横を通り過ぎた機体が、全身をバラされて爆発する。

うん、いい切れ味


『ミサイル反応あり』

「ああん?」


どうやら戦車型が攻撃方法を変えたようだ。

上空には既に多くのミサイルがこちらに向かって降ってきている。


「腕部シールド起動」

『了解』


切り捨てることも可能だが、現状では少し危ない。

腕部に発生させたビームシールドで全て受け止める。

衝撃が来るが、機体の衝撃吸収機構が発動して俺には全く影響がない。


ミサイルを盾でやり過ごし、煙が晴れる前に手近な機体にナイフを投げる。

カメラと脚部の関節部に命中して機能が停止したのを確認する。


『機体損傷率0%』

「うん。久しぶりだけど動けるな」


近接戦闘を行うにあたって大事なことは動きを止めないことだ。

この機体の場合、止まったら的になるだけだ。

今のそうだな。ミサイルを受けるのに止まったことで、近い機体が俺を狙っていた。

そういう場合は、もう片方の腕のシールドで受けるか、今みたいにナイフで迎撃するかの二択になる。


今も考えながら動き続け、次々に敵機を切り捨てながら走り続けている。

それだけ、止まらない動き続けるというのは大切なことなのだ。

これはエアロードにも言えることだな。


「後何機!!」

『残り169機』

「楽勝だな!」


このまま一気に終わらす。


















「はぇー・・・疲れるわこれ」

『お疲れ様でした。戦闘評価S。完璧です』

「まぁ近接で普通に戦ったらこうなるわな」


敵も弱いしな。

だがやっぱり近接戦闘を数こなすと疲れるな。

なにせ集中してないとすぐに背後に回られて撃たれる。

それを防ぐために、常に背後の警戒、そもそも背後に回られないように立ち回らないといけないからな。

これを続けるのは地味にしんどいのだ。高機動系の機体の宿命ではあるんだが、『スパロウ』の場合余計に疲れる。


「苦手ってわけじゃない・・・はずなんだがな?ちなみに評価基準上げるとどうなる?」

『一つ段階を上げるとAになります』

「ああうんやっぱりね・・・被弾?」

『敵個体の撃破タイムが影響しております』

「流石に一太刀で切り伏せるのはまだ無理ですわ」


これは敵を両断したりすればいいんだけどな。

俺の機体の性能を考えれば出来てもいいんだけど、俺自身がそこまでの腕前がないから出来ない。

だからこその評価Aだろう。Bじゃないだけマシかね。


「でも、これならやっぱり銃持った方がいいよな」

『アビスキュイラスを推奨いたします』

「まぁバイオ系と戦うんだからそうなるよなぁ。両方出来るし」


完全な意味で、近、中、遠距離を全部こなせる機体と言うのは少ない。

出来るだけというのはあるが、バランスがいいって考えると『アビスキュイラス』くらいかな。

『エアロード』は近接無理

『ヤマトスコーピオン』は近、遠距離で中距離が出来ない。

『スパロウ』は近接オンリーだし

『無影』はそもそも戦闘が本領じゃないしな。しいて言うなら近接型。

『ドルフィンレーン』は・・・あれは水中だしな。距離って言うかなんて言うか・・・中距離だな。

やっぱり『アビスキュイラス』が一番いいか。



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