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32話

俺の『アビスキュイラス』や『無影』などが使えるゲーム。

通称BMWと呼ばれたそれは、オンラインゲームである。

そして、オンラインゲームにはよくあるレイドボスという物が存在する。

簡単に言うと、多人数のプレイヤーが一体の強大なボスと戦うってコンテンツだ。

敵の強さはその時々でまちまち。性質も毎回バラバラだったりする。

ゲーム内の最大レイド戦は、同時戦闘プレイヤー数は一つの戦場で100を越えることもあった。


バイオ生物と言うのは、そのレイドボスの一角である存在だ。

過去のレイドボスなので、既に攻略方法が確立している敵ではある。

厄介なのは、周囲の生物に自分の細菌を感染させて自分の支配下に置くと言う能力をデフォルトで持ってることだ。

BMWの世界の中でも、一応野生の生物ってのはいる。数は少ないが。

とは言ってもプレイヤー数よりは多い。


ちなみにこのバイオ生物でレイドボスをやったのはバイオティラノっていうやつだ。

違法研究所から脱走した感染生物が、周囲の生物を感染させながら変異と合体を繰り返した結果の化け物。

レイドボスは基本期間限定の敵だ。

それが終わると、一定期間を置いてまたイベントとして復活するか、フィールドに極稀に出てくるとかのどちらかになる。

バイオティラノは後者で、レイドイベントが終わると一定条件を満たしたのちフィールドに出現するようになった。

このバイオ生物が厄介と言われたのはここからだ。

なにせ制限がないフィールドで、しかも放置すると勝手に変異を続けていくのだ。

ただ強靭な体と高い再生能力だけだったのが、俺の知る限りでは口から光線を吐き、皮膚から放射される熱が大地を干上がらせるまでになった。

あの時のあれを倒すのには、確かレイドの時以上の数が必要だったよな・・・


まさか、あれだったりしないよな?


「そいつって口から光線吐いたりしない?」

「いや。そんなことはしてこなかったな。されてたら我々が全滅しているだろう」

「何か吐いたり、体から衝撃波飛ばしたりもしない?」

「しなかったが・・・?」


よし、ノーマルっぽいぞ。


ノーマル個体。まぁ要するにレイドボスだった時のバイオティラノ。

これはぶっちゃけ弱い。

いや、レイドボスである時点である程度は強いんだけどな?

レイドボスの中では比較的弱い方になるのだ。

なにせ周囲に生物はいないし、変異が起きるような環境もなし。

相手の動きに気をつければいいだけのボスだから、火力が足りてれば単騎でも倒せるのだ。

まぁ実装当時はそんな馬鹿火力の物を持っているプレイヤーは・・・というか、そんな武器はないので出来なかったが。

後になってフィールドでたまたま出てきたばかりの個体なら俺でも一人で勝ったことがあるのだ。

・・・まぁ、封印されている間に変異してないとは限らないんだけどな。


てか、あれを封印って・・・出来るのかそれ?

いや、ゲーム内では条件次第ではバイオ生物を味方につけることは可能だったが。

というより、俺の『アビスキュイラス』にはバイオ生物のテクノロジーの一部が使われてたりするし。


「封印って、魔法か何かでやってるのか?」

「うむ。古来より続く封印術を継承し続ける一族と精霊がいてな」

「なるほど」

「あの存在のいる空間事、周囲の時間を凍結させることで封印としたのだ」


やべぇことやってんなおい。

でも理解したぞ。だから離れられないのだろう。

そんな大規模な物は、デメリット無しで行えるとは思えない。

何かしらの代償を払っているはずだ。


「まだ、その存在は倒せてないんだよな?」

「ああ。我々では動きを止めるので精一杯であった・・・それに」

「それに?」

「封印をする際に、我々の仲間も共に封印されているのだ」

「は?・・・ああ、なるほどね」


多分だが、自分ごと巻き込む形で封印したな?

精霊も使えるって話だし、それだけ強敵だったってことか。

だけど、正直バイオ生物の性質上、精霊とかなら一方的に攻撃が出来ると思うんだけどな。


「・・・精霊に攻撃出来るように変異?・・・ああ、魔力に適応したのか」


ふむ。ありえない話ではない。

この世界に、何故か現れたバイオ生物。その生物が、まず行うのはそら環境への適応だ。

その中で、自分にない物を補おうとするのは当然。

結果、魔力への適応が行われたというわけだ。そして、精霊に対する攻撃手段を手に入れたと。

こりゃ、ノーマルタイプじゃなさそうだな。俺の知らないタイプだ。


先ほどから、精霊達がビットに乗っているのをそっちの気で話を聞いているのにはちゃんと訳がある。

ミスリルの武器ってのも気になるけど、それ以上に問題がある。

バイオ生物以外の、BMWで出てきた敵などが他にもこの世界にいる可能性があるからだ。

それも、レイドボス中でも上位クラスの連中がいたら・・・戦うことになったらまず勝てない。


『情報が足りません』

「分かってる・・・こりゃ、行かなきゃダメか?」


バイオ生物がいるってことは、何かしら情報がそこにはあるはずだ。

一切ないってのは、ちょっと考えにくい。


封国とか言ったな・・・それに、その封印術ってのも興味がある。

倒せるかどうかはともかくだが・・・俺もそこに行くべきだろう。


「これこれ、あまりはしゃいではいけませんぞ」


村長の周りと、精霊達の乗ったビットがびゅんびゅんと動き回っている。楽しそうだな。

・・・うん。一回考えるのやめるか。


「ダイジュナ。後でその話し詳しく聞いてもいいか?」

「構わん。むしろこちらも色々聞きたいくらいだ」

「まぁ大体は教えられるだろうな。俺の知ってるやつみたいだし」


今はここの案内をしなきゃね。















その後、地下を一通り巡って再び一階に戻ってきた。

なお巡っている最中、ずっと精霊達はビットに乗り続けていた事は言うまでもないだろう。


「んで、全員むしろ乗り気が増してるんだけどどうすれば?」

「・・・どうするかの」

「どうしますかの~」


元々、俺と契約する精霊達を絞る為に案内を始めたのだ。

結果的に言うなら、俺と合いそうな精霊は絞れた・・・三体まで。

問題は、この三体がえらいやる気を見せているということだ。


これは困ったと悩むのは俺達。

さてどうするか・・・


「てか、複数契約は出来ないの?」

「理論上は出来なくもないがな」

「魔力が足りるか分からないですからの」

「魔力?」


契約は、ある意味で魔法を行使し続けているのと変わらないらしい。

常にある一定の魔力を消費し続けて契約を維持する形になるそうだ。

だから、その維持のための魔力が足りないと、契約が出来ない。だからこそ、魔力が足りるかどうかは重要だそうだ。


「それって契約前に分からないの?」

「ふむ。まぁ凡そはわかる」

「凡そ」

「契約を行った精霊は、契約相手の影響を強く受ける」

「それの影響で。消費する魔力が多くなる場合もあるのですよ」


精霊自身の才能、契約する側の影響、そして両者の相性で契約の魔力は変わるそうだ。


例えば、精霊の才能で消費する分が1だとする。

契約する側から受ける影響で、消費が倍になると2。

そして相性が良ければ、この消費が再び減ることもある。だが逆に悪いと増えるということだ。


契約前に分からないのは、この俺側から与える影響と相性。

精霊自身の才能に関しては、ある程度ダイジュナが分かるから問題はないそうだ。


「傾向も分からんの?」

「分からんな」

「火の魔法が得意な者は、比較的火の力の強い者と相性が良くなることが多いというくらいですかな」


随分とふわっとしているようだ。

これは恐らく、契約出来るのがエルフが多いと言うことが影響しているのだろう。

母数が少ないのだ。そのせいで傾向を読み取れないのだろう。

それに、契約している精霊とエルフすべてを把握しているわけでもないだろうしな。


「じゃあ契約してみないと駄目か・・・失敗したらどうなるんだ?」

「いや特に何も起きんぞ?」

「あ、そうなの」

「本当に何も起きないだけですからなぁ」


契約失敗・・・魔法も何も起きないってことでいいのだろう。

うーん・・・


「じゃあよりあえずやるって言うのは?」

「まぁ構わんが・・・しんどいぞ?」

「魔力が多く減らすことには変わりないですからなぁ」

「まぁやらないよりいいでしょ」


いまいち魔力が減って疲れるって感覚が分からなかったから、これもいい経験ということで。


先ずは手始めに一番小さい子から。

この子は小鳥の様な格好の精霊。しかし尾羽のあたりが微妙に帯電しているように動いている。

恐らくは電気系統の子なのだろう。

電気ってあるのかって疑問は無しね?正確には雷の力ってことらしいし。


「ぴー!」

「・・・何するの?」

「む、すまんすまん。これを使え」


そう言って渡されたのは木で出来た指輪だ。

何やら紋様が書かれている。


「精霊との契約に使う魔法が込められている」

「こんなのあるのか」

「間に合わせだがな」

「世に出れば国宝クラスでしょうがな」


よし聞かなかったことにするか。


この指輪に魔力を通すだけでいいらしい。

そうすれば、相手の精霊が勝手に後はやってくれるそうだ。


魔力を通すと、指輪が緑の光を放つ。

その光りが、小鳥に吸い込まれていく。

光が収まると・・・特に変化なし。


「おう?」

「終わりだが・・・特に疲れなどは感じないのか?」

「全く全然」

「ほう。かなり魔力は多いようだな。相性もいいらしい」

「なるほど」

「よろしくね!」

「おう!?」


鳥がしゃべ・・・いや、隣で鹿が喋ってるわ。


「契約が出来た証拠だな。声が聞こえただろう」

「おう。こうなるのか」


それは知らなかったな。


続いてもう一体。

次は猫・・・うん?猫?いや猫だよな?赤い猫だ。


「虎だな」

「虎か」

「みゃー!」


虎だそうだ。なんとなく抗議された気がする。


再び魔力を指輪に通し、光を放つ。

そして同じ光景が以下略。


「・・・終わり?」

「おわり!」

「終わりだな。これでも疲れないのか」

「マジで何にも感じないわ」

「ふむ・・・まぁ魔力が多いのは分かっていたがここまでか」

「普通こんな感じじゃないのか?」

「普通なら一体契約すると疲労困憊になるな」


契約の維持はともかく、契約を結ぶのはより多くの魔力を消費するそうだ。

どれだけ魔力が多くても、普通は疲れて座り込んでしまうくらいはあるそうだ。

相性の問題もあるそうだが・・・


「ふむ。また相性が良かったか?」

「才能がないってことはないの?」

「それはないと思うがな。我の見立てに過ぎないが」

「まぁ俺はその辺分からんしなぁ」


どちらにせよ、才能云々関係なしに、一番大事なのは相性らしい。

影響はあるが、そこまで大きな要因ではないそうだ。先に言え。

あ、ちなみに精霊が成長すると維持する魔力が増えるそうだ。だから先に言って?


まぁ気を取り直して最後の契約だ。

残った三体の中では唯一の人間っぽい見た目の子。

緑の衣を身にまとった女の子だ。一番お姉さんらしい。


「よろしくおねがいします!」

「・・・あ、俺今何か話かけられた?」

「うむ。まだ契約しておらんからな」


では早速。

魔力を指輪に以下略。


「よろしくおねがいします!ごしゅじんさま!!」

「おっふ。まじ幼女・・・ってご主人様?」

「あ・・・だめ?」

「せめてマスターで」


どっちにしろ違和感やばいけどな


「・・・キクヒメって俺の事なんて呼んでたっけ?」

『その場に応じた呼称を用いております』

「そうだった・・・」


それでも一応パイロットって呼ばれるのが多いのか?

てか話しかけられる時って大体何も呼ばれない・・・ってか、キクヒメが自発的に話し掛けるのって俺だけだらな。呼び名が要らないってのもある。

当然設定すればいいだけなんだけど・・・面倒でしてないんだよな。必要ないと俺も思ったし。


「まぁ好きなように呼んでいいよ」

「「「はーい!」」」


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