31話
「・・・やっぱり動き良いよな」
『シミュレーションの結果、従来のビットと比べ30%程運動性能が向上しております』
「戦闘で使用した場合は?」
『従来品と比べ、凡そ倍近い戦果を期待出来ます』
「デッカいなぁ」
やっぱり動きがワンパターンにならないってのは大きいな。
それに、機動性も高くなるのはヤバイ。
ビット兵器・・・無線誘導火器は、先ほども言ったが予め動きを組んだ物をインプットさせる。
その動きを、状況に合わせて変えて戦うのだ。
だが当然。そのパターンはワンパターンになりがちだ。
そのせいで、慣れた者相手に使うと簡単に対処されてしまう。
数が多く、速くても動きが同じであるのなら、撃ち落とすのは容易い。
実際、俺も面倒だとは思うが機体によっては無傷で突破できる。
それが、自分で考えて動いて戦ってくれるようになるのは・・・いやマジでやばいなそれ。
火力によっては俺もやばいぞ。
これは、精霊の価値を見直す必要があるな。
「ふむ・・・これをこの世界の者が作るのは無理であろうな」
「驚くほど細かいですな・・・」
「ああ。まず同じ形に作る事すら出来ないであろう」
「ダイジュナ様は憑依せんのですか?」
「しないわ。やるならもっと大きい方がよい」
「・・・うん?サイズで好みとかあるのか?」
「おう。あるぞ。大体体と同じ大きさの物を好むな」
「ほう・・・皆ちょっと来て」
ぴゅーっとビットに乗って全員集まる。
今憑依させているビットは小さめの物だ。
そもそもがサブ武器で作った物だから、持ち運びとかを重視して作った結果だな。
だが、一応デカいのも持っているのだ。
ビットの性質上、使えないと判断して倉庫ないに放置していたのだが。
エアロードから荷物を下ろした際に、ここにそれを移しておいたのだ。
まぁゲーム内では有効ではないというだけで、この世界では使えるかもしれないしな。
キクヒメに指示を出して、それを運んでもらう。
メンテナンスカーゴと比べて、一回り大きなコンテナ事運ばれてきたそれに、精霊達は皆興味深々だ。
「オープン」
『了解いたしました』
お約束の煙が噴き出る演出と共に、中の武器が姿を現す。
それは、まるで丸い亀の様だ。
二メートルほどの大きさで、穴が上部と下部に三つずつ開いている。
「『レッドパージ』・・・没武器の一つだな」
「何故だ?」
「火力の高さは良いんだけど、重くて動きにくいし、ビットに必要な運動性能もあまり高くないから」
そういうことだ。
防衛線の様な、動かなくていいような場合は話は変わるのだが。
俺の機体では、残念なことにこれにあう機体はいない。
新しく作るのも考えたが、色々な事情で辞めたのだ。
ビット一つのサイズは20cm。
それが穴から出てくる形になっている。全8機搭載。
火力だけ見るなら、例のドラゴン程度なら倒せるだろうが速度的に追いつかないだろう。
だが、これに精霊達が憑依するとどうなるか。
「どうだ」
ほほーうと、品定めするようにビットを囲んでいる精霊達。
今までより大きな物だから、より詳しく見ているな。
そして、精霊達の中でのリーダーの子。
小さいリスっぽい尻尾を持った女の子っぽい?子がビットに飛び込んだ。
それを見ると、残った子達も次々とビットに憑依していく。
ファーストペンギンならぬ、ファースト精霊。
予備分含めて持ってきたけど、大体埋まったな。
憑依が終わると、顔だけ出してさらにビットを調べている。
軽く叩いたりしてみたりな。ぺちぺちしてる。
最終的に満足したのか、遂に動き始めた。
「おー」
『機動力の12%向上を確認』
「思ったより上がってない?」
「重いのだろうな」
「重さが関係あるのか」
「うむ。まだ子供だからな」
これがある程度成長した精霊だと関係なしに動き回ったりも出来るそうだ。
ふむふむ。じゃああまり気にしなくてもいいかな。
動きは先ほどより遅いが、それ以外の出来はこっちの方がいいはずだ。
まぁ『レッドパージ』はメイン武器の予定で『フリングル』はサブ武器用に用意したのだ。
そら俺のやる気の問題で出来は大きく違ってくる。
動かしやすいのか、さっきより活き活きと動いている。
「楽しそうだな」
「それにしても、これは魔鉄・・・うん?これは違うな」
「ああ。コロネタイトではないな」
俺の主力武装やスーツに使っている素材はコロネタイトではない。
数段階程レア度の上の物を使っている。
まぁ『レッドパージ』は制作段階で欠陥に気が付いたからそこまでのは使ってないけど。
それでもコロネタイトよりは上の物を使っている。
「もしや・・・ミスリルか」
「・・・まぁそっちの名前は知らんけど、性質的には銀が近いな」
確か魔法銀とか言うんだったか?
ゲーム内での名前はビードシルバーという。
その素材はある点を除いて銀に似ている。
違う性質とは、ある種のエネルギーと合せて用いることで硬度が一気に上がることだ。
複数のエネルギーに反応を起こす鉱物で、俺達が使う機体の動力との相性がいい。
攻撃にも非常に用いやすく、軽くて頑丈。
ビット兵器として使うのならこれが扱いやすくていいだろうとは思う。
「後はビーム攻撃に耐性が高いってことだな」
「ふむ・・・ミスリルの説明もいるか?」
「欲しい」
ミスリルとは、魔鉄の上位に当たると考えられている物だそうだ。
これもまた貴重な素材で、魔鉄が国でトップの物に与えられる装備だとすると、ミスリルは伝説に出てくるような物にあたるそうだ。
性質は、魔法との相性が良い事。
他の金属とは全く違う物と見られており、精霊との相性もいい。
各国が持つ特殊な武器・・・神より賜ったと言う程の 逸話がある強力な武器にそれが用いられているそうだ。
「それも、今人間たちが管理出来ているのは二本だけだがな」
「少な!?」
「この大陸で一番大きな国と、封国にある物だけだな」
「ふうこく」
「ん?ああ、すまんすまん。封国とは国の名前ではなくてな」
俺が学んだ国では聞いたことのない物が出てきた。
なんでも、封国とは、文字通り封印を行っている国ということだそうだ。
かつて、世界を襲った脅威を封じている国だそうだ。
それを封じることが出来るのはその国の人々のみだそうで、他国は殆ど干渉しないそうだ。
下手に手を出して、被害を被っては意味がないってな。
国とは呼ばれているが、その実国としての実態はないそうだ。
封印を管理している一族が大体だそうだ。
一応周囲には一族ではない人々も集まって住んでいるそうだが、基本的には封印を手助けするための人だそうだ。
成人になる一年前に国を出て、世界を回るという珍しい風習があるそうで、その過程で仲間になった人々や、助けられた人が慕ってそこに住み始めたのが始まりらしい。
「すごいな」
「ああ。我らでもあれらには大したことが出来ぬ故に、心苦しくはあるのだがな・・・」
「へぇ~・・・ちなみに、それって具体的にはどんな物が封印されてるの?」
「・・・周囲の生物を汚染し続ける龍だな」
「龍?ドラゴンじゃなくて?」
「ああ。例の封印を行っている一族がそう呼んでいるのでな。確か・・・こんな形だったはずだ」
ダイジュナが、自分の体の一部を変形させてその姿を見せてくれる。
それを見ると・・・ああ、あるほど。確かに龍だな。
でもこれ恐竜だな。
これが、周囲の生物を汚染するってか・・・うん?汚染?
「それって・・・もしかして汚染されるとその生物が凶暴になったりする?」
「なっ!?知っているのか!」
「いや多分だけど・・・体が黄緑色の変な苔っぽいのが出てきたり?」
「その通りだ!!」
「おおーう」
『バイオ生物かと思われます』
「でしょうね?」
うわ面倒なのいるなおい
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