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30話

「ここが、俺の家の・・・工房だな」

「これは・・・」


連れてきたのは、まず地下全体を見れる少しだけ高い場所。

そしてそこには、一部の武装を製造している製造所もあるのだ。

研究室と役割も兼ねている。だから工房で合っている・・・と思う。


精霊達は見たこともない道具や機材に興味津々だ。

この世界には、ネジですらないようだからな。


「なるほど。これで固定しているのだな」

「よくわかるな」

「長い事生きていればな。ある程度は想像がつく」


螺子を見て、固定具ってのが分かるのは結構すごいな。

確かにこれが使われている建物は先に少し見せたが。

長いこと生きている経験からくる物だろう。俺にはないものだな。


「って待て待て。そっちは駄目」


一部の精霊達が製造所の中に入ろうとしたので止める。

えぇ~?って顔されるけど。仕方のないことなのだ。


「そこ危ないんだよ」

「危ない?何を作っているのだ?」

「あー・・・ビーム系の物をね?」

「ビーム?」

「あ?・・・ああ。見せたことないか?」

「わしもありませんぞ?」

「あれ?」


ん?・・・???

・・・あ、それもそうだな。


賊を殺したときは基本近接戦。無人機たちは実弾だった。

ビーム兵器なんて見せたことないか。


前に俺は、村にビーム兵器や火薬を用いた兵器を渡さないと言ったが、まぁ念には念を入れてってことだ。

俺の与えた装備だけでは足りない可能性を考慮して、予めここで作っておこうと思ったのだ。

まだ村人全員に渡せるほどの量はないが。まぁ『ソルキス』が使用する分はある。


「あ、そういえばソルキス一機整備中だったな」

「ソルキス?」

「俺がこの村にあげた武器」

「ほう・・・」

「見てみる?」

「良いのか?」

「まぁな。ソルキスは危なくないし」


その代わりに製造所は諦めてくれ。


何とか精霊達をなだめることが出来た。

『ソルキス』が、動かないクロウの様な物だと説明すると一気にそちらに興味が向いた。


「なんと。お主が使っているのか」

「ほっほ。精霊達とも相性が良くてですなぁ」

「まさか魔鉄が使われておるのか?」

「ええ。それもすべて魔鉄製だそうですよ」

「なんと・・・」


ダイジュナと精霊が話しているが、やはり魔鉄は貴重な物らしいな。

あのダイジュナがあんなに驚くのだ。その貴重性が分かるだろう。

・・・腐るほど基地にあるな今。


バギーで移動すること5分程。

整備している『ソルキス』はそこの整備用の建物の中にある。

メンテナンスカーゴという、まぁ建物ってかそれを積んだ車なんだけど。

拠点車って名前の大型車両だ。それの後ろにメンテナンスカーゴを繋げている。

サイズはとんでもなく大きい。重さにして12トン。最高速度も20キロほどしか出ない。

そもそもこれで移動することを考えていない物だ。

ぶっちゃけゲーム内でこれ使ってる人は少なかった。

移動拠点にもなるから、あんまり街から移動しないプレイヤーが持っていたくらいかな。

俺はサーベスを持ってるから、当然持ってなかった。

この村を見つける前に、役に立つかなと思い作っておいたのだ。

まさか地下でこんな風に使うとは思ってなかったけど。


カーゴを操作して、中にある『ソルキス』を外に出す。

メンテ自体は終わってるからな。人間がいないと起動もしないから精霊達なら超安全。


「どうか!!」

「おおー!」


ダイジュナも精霊達も大喜びだ。

まさに科学。この世界にはかけらも存在しないストレングスギアだ。

色々な物に興味を持つ精霊達はそら喜ぶだろう。


「ふむ。確かにクロウに似ているが・・・いや、これは・・・」

「これを着込むんだよ。まぁ大元の技術は一緒だけどな」

「おお。そういうことか。鎧の様なものなのだな」

「そういうこと~」

「ふむ・・・これはただの鎧なのか?」

「いや。パワーアシストで力は上がるし、搭載されてるセンサーで遠くの物を見たりできるぞ」

「なるほど・・・」

「・・・ん?何か気になるところがあったか?」

「いや。まさか魔装具の様な物があるとはと驚いてな」

「魔装具?」


魔道具ではなく?


そんな疑問を考えていると教えてくれた。

簡単に言うと、魔道具の武器防具版のことらしい。

魔法の力が込められた装備のことらしい。


「一部のダンジョンや、後はドワーフの中でも最上位の職人が作れる貴重な物だ」

「ダンジョンあるのか・・・」

「む。そこか。まぁ多くはないがあるぞ。人間の街の中には、それを興行としている街もあるくらいだ」

「へぇ~・・・ちなみに魔装具ってどれくらい貴重なの?」

「そうだな・・・もしダンジョンから入手し場合は、高額で国が買い取りにくるだろうな」

「・・・ってことは、戦略兵器扱いか」

「常人が使っても、強大な力を与える物もあるからな。中には国を滅ぼせる力を持つ物もある」

「そこまでか」

「まぁそんなものは我も一つ二つしか見たことがないがな・・・それに、それは人間の手にはないしな」

「ん?そうなの?」

「ああ。流石に強大すぎる故にな、我らが管理しているのだ」

「へぇ~」

「こちらからも質問よいか?」

「どうぞどうぞ」

「この『ソルキス』と言うのは、具体的にはどれくらいの強化が行われるのだ?」

「・・・えーっと」


大体今の村長がジャンプして、最大で十倍以上跳べるから・・・


「簡単に見積もっても十倍。でも色々やるとそれ以上にも出来る」

「そこまでか・・・ん?それがいくつあるのだ?」

「村人全員分」

「・・・規格外な」

「そこまでか?」


俺の持っている物の中では、『ソルキス』は控えめな方だ。

性能もそうだけど、何より目立つ部分がない。


「なんと?」

「いや、純粋に強化幅って点なら『無影』の方があるしな」

「その『無影』というのは?」

「これ」


服の下から無影を展開する。

ぴっちりスーツのような形状で、俺の体を覆う。

服がない部分が完全にそれになるので、今の俺は服を来た全身黒い機械人間だ。

目に当たるカメラ部分は目立たないように黒い。

多種多様なセンサーを搭載している。

片手で自分の何十倍もの重さの物を持ち上げることも可能だ。

まぁ潜入用の機体なんですけどね。


「なるほど。お主は想像以上の技術を持っているようだな」

「一応。前の世界じゃトップクラスではあったよ」


ゲームの話だけどな!!


ってあれ?そんな話をしてたらちび精霊達がいなくなってる。

クロウを気に入っている子だけはクロウの上に乗ったままだけど・・・


『メンテナンス室に精霊を感知』

「あらま」

「む。奴らめ・・・」

「まぁまぁ。そこは別にいいよ。危ないのないし」


動くと危ないけど、今は止まってるしな。

中に変な物もなかったはずだし・・・あれ?


「そういや一つ放置してたやつあったようななかったような?」

「ダメではないか!?」

「いやでもあれって・・・」


中に入っていたのは・・・確か・・・


「小さい流線型のビットだったような?」

「・・・それは、今お主の背後に飛んでいる物か?」

「うん?・・・ああ、そうそうこれこれ・・・おん?」

「飛んでますなぁ」

「飛んでんなぁ・・・キクヒメ~」

『機体に精霊反応を感知』

「ほほー・・・!?!?」


ど、どうなってんだこれ・・・??

電源っていうか、エネルギーが空になっているはずだから動かないはずなんだけど。

だが、実際は今俺の前を浮いている。

それに精霊の反応があるって・・・うんんんん????


「はぁ・・・これ、勝手に憑りついてはならんぞ」

「はい?」


ダイジュナがそう言うと、ビットの中から精霊の一体がひょっこりと顔を出す。

体はビットと合体しているようにも見えるが・・・もしかして。


「精霊って、物に憑依出来るのか?」

「出来る。まぁ何に憑依するかも好みに依るのだが」

「ほほーう」


つまり今このビットは、精霊の力で動いているというわけだ。

なんでも、精霊に憑りつかれた物はそれだけで力を持つらしい。

剣に憑りつけば、精霊剣として魔法の威力が上がったり、純粋に切れ味が上がったり。

盾に憑りつけば、魔法を弾けるようになったりするそうだ。

ものすごく簡単に言うと、魔道具みたいなことが出来るようになるそうだ。


「他にも、魔法の才がない物でも魔法を使えるようになったりな」

「その物を持っていればってことか?」

「そういうことだ。まぁ大体そう言った物は人の手に渡ることは殆どないのだがな」

「へぇ~・・・じゃあこいつも今何かしらの効果を持っていると?」

「そうなのだが・・・まぁまだ若い個体であるからな、そこまでの力はない」


本当に浮くだけだそうだ。

いや十分すごいんだけど。これがあれば、それ用の回路が必要なくなるしな。

・・・・・・・すっごい試したいことできたわ。


「・・・ちょっと君ら別のに憑依してみない?」

「ほう」


なになにー?とビットに憑依している子達が寄ってくる。


俺の考えはこうだ。

まず、この時点でのビットは本当に浮くだけしかできない。

それは、中のエネルギーが空だからってのがある。

だから動きもぎこちないし、飛ぶっていうより完全に浮いているだけだ。

これでは楽しくないだろう。どうせならもっと機敏に動きたいはずだ。

まぁ精霊達的には乗り物に乗っているみたいで楽しいみたいだけど。


そこでだ。そいつの上位互換の無線兵器・・・ビットがある。

それに憑依して見ないかってことだな。

当然。攻撃出来ないようにしておくがな。実弾用の奴なら、弾抜くだけいいしな。


キクヒメに要請して、すぐに持ってきてもらう。

俺が今持ってきているスーツでは使うことはないんだけど、念のために作った物が役に立つ時が来た。


「これだな。名前は『フリングル』」

「どう言う意味なのだ?」

「地の底まで追いかけて敵を倒すって意味」

「いや物騒だな」


赤い球体で、サイズは10cmほど。

まぁ名前とかそのあたりはいいのだ別に。


精霊達はフリングルの周りを全員で囲み、周り、ジッと観察する。

暫くの後、一斉に飛び掛かる様にして憑依していった。

よし、気に入ってくれたようだ。


先ほどのビットとは明らかに違う動きを見せる憑依ビット。

びゅんびゅん飛んでるし、精霊達も楽しそうだ。


「やっぱりか」

「うん?何か試したかったのか」

「ああ。元の性能の強化なのか、それとも新しい能力の付与なのかってところをな」


さっきも行ったけど、遅いとつまらないでしょ?ってことだな。

それを聞いた精霊達が、速度の強化をしたようだ。

そのあたりも精霊達の意思一つなのだろうなとはおもっていたが、正解だったな。


普段、俺がフリングルを使う時は、俺が毎回操作しているわけではない。

俺が直接操作することも出来るが、大体はキクヒメのサポートアリだ。

大体は、予め設定した方針の動きをするだけなのだ。

それでも、小さい物体が高速で飛び回るわけだからそれなりに強力。

実弾も特殊弾を使うのが基本だから、当然のように効果も高い。ビームなら猶更な。


問題は、その気になれば落とせること。

なにせ動きはAIの操作になることが殆どだ。

自分で動かしても、遠い距離でラジコンを動かしているような物だ。

撃ち落とすのはそこまで難しいわけではない。

方法を知っている者なら、容易く攻略してくるだろう。


だけど、今のこの憑依ビットはどうだ。

速度は最高速度を出してないからまだ遅いが、動きが複雑だ。

こんな動きは、AI任せのやり方では絶対に出来ないだろう。

精霊達が、直接動かしていることのおかげだな。


「データ取っておいてな」

『了解いたしました』


面白いデータが取れそうだ・・・

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