23話
エルフ達の住まう村・・・名前は特にないそうだ。
まぁめっちゃ危険とか言われている森の中にあるしな。
その村に訪れて、早一月が経った。
時間が経つのは速いものだ。
その間、村の防衛のために設備を少しだけ整えたり。
提供した『ソキウス』と武器達の訓練を見たりと、村を守るためにすることを色々やっていた。
俺の、この世界での初めての知的生命体とのコンタクト場所なのだ。
拠点も作ったし、村の人たちも皆いい人だ。
ちょっとやりすぎたか・・・?と思わんでもないが、まぁ足りないよりいいでしょ。
何をしたか・・・まぁ軽くだけ説明するか。
防衛に大切なのは敵を寄せ付けないこと。そして、出来るだけ早く相手の動きを捉えることだ。
だからまず、森の景観を崩さない程度に監視網を敷いた。
極小さな電波塔と、それに連動する監視ドローンだ。それぞれ森にあってもおかしくない恰好をさせているから、そういうのに詳しくないと見破ることは出来ないだろう。
ドローンには小動物に似せた外装を着せているからな、キイナさんに見せても、ぱっと見では分からなかったくらいだ。
そして敵を寄せ付けないという面では、単純に壁を用意した。
ただし、ただの壁ではないのはまぁ言わずとも分かるだろう。
村にも当然、柵はあった。それは猛獣が入らないようにと用意された物で、人を相手に考えられたものではなかった。
そもそも森という立地上、そういう物を用意するのは難しいようだった。
だから、ここでも俺の出番。
俺の用意したのは、機械防壁という戦場で簡易的な壁として機能する装備だ。
そう、装備を提供したのだ。
本来は、サポート用の機体が戦場に出て、他の機体が射線から体を隠すために置く装備だ。
これが結構厄介でな。戦いになるとあればあるのとないのとで戦いずらさが段違い・・・ってこの話はいいか。
んで、この機械防壁。
完全に鉄の壁のような物もあれば、見た目は木材っていうのも出来るのだ。
必要あるのかと言われると、マジで見た目だけなのでおしゃれでしかないのだが・・・結構見かけたな。
まぁそんなわけで、こちらも森の中にある村という景観を損なわないようにはなっている。
平時には仕舞われていて、持ち運びも簡単だからすぐに設置できる。
当然。これらの扱いかたも教えている。
あれだ、避難訓練みたいにしたんだよ。そもそも、そういう概念がなかったみたいだから、これの重要性を理解してからは自主的に予定を考えてたくらいだ。
まぁ防衛面はこんなもんだろう・・・言ってないだけで、実は地下に穴掘って火器を置いてたりするけどさ。
キクヒメには過剰防衛と言われたが・・・いいんだよこれで。
さて、そんな村の防衛に注力していた俺だが、今何しているかと言いますと・・・
「うぇーい!何かあったかコヒメ―!!」
『問題ございません』
『報告は、毎日行っているはずでは?』
「気分の問題だよ気分の」
基地に戻ってまいりました。
村で出るご飯が美味しいとか、色々あって一月振りの帰還だ。
場所も記録したし、帰りはまじで帰り以外考えなかったからすぐに戻ってこれた。
一月と言う期間。
留守を任せたコヒメには基地の拡張と整備をやらせていた。
その結果だが、十分な基地として完成したと言えよう。
収容人数で行けば、軽く4桁は軽く養えるだろう。
俺が思い付きで考えた地下の開拓も十分に進んでいた。まだ中には何も作っていないが・・・これからそれは作っていくのだ。作る物決めてるしな。
まぁ帰ってきた目的は実はそれじゃないのだけれど。
そもそも基地関係は、コヒメに通信で伝えればそれで済むわけだし。
今回帰って来たのは、俺の・・・ではないな。
まぁ俺の物ではあるが、俺の作った物じゃないあるロボットを起動させにきたのだ。
俺達が、BMWで作成できる物の中で最も手のかかるのは当然俺たちが纏う機体達だ。
だが、それ以外にも色々作れるのは知っての通り。
防衛用の無人機だったり、戦闘補助で用いる連中だったりな。
んで、こういった無人機たちにも当然バリエーションがある。それも膨大な数が。
無人機は、俺が命令を出して、その命令に沿った行動を取る・・・言わば、コントロールできる兵士だ。
俺が今日起動させに来たのは、高性能AI・・・キクヒメと同レベルのそれを積んだ機体だ。
これを、ゲーム内ではロボペットと呼んでいた。
「さぁて、久しぶりだな『クロウ』」
「キャンキャン!!」
独立型AI搭載型。狼型ペット機体の『クロウ』
俺のゲーム内でのフレンドが送ってくれた機体だ。
無人機との違いは、こいつは命令をしなくても勝手に行動してくれることだ。
そしてとうぜんなのだが、無人機連中より遥に性能が高い。
戦闘を行うにしても、同じ装備同じ性能でも、戦果はこちらの方が上になる。
それだけ、積んでいるAIが優秀と言うことだ。下手な人間より強いくらいだから、その性能の高さがうかがえる。
・・・まぁ俺戦わせたことないんだけどさ。
いや貰い物だし。
『クロウ』は、狼をモチーフにした機体だ。
装備は近接用の物が固定で、アタッチメントに軽い銃火器を付けれる。
大きさは大体2m近い。俺よりでかいが・・・まぁこれはAIの設定をしたやつの趣味なのだろう。
めちゃくちゃ甘えん坊な子だ。起こすとまず最初に体を擦り付けてくる。
こういう動物的な動作をさせるのも、一々設定が必要なのだが・・・マジで手の込み方に驚くわ。
まぁ基本は戦わせないし、散歩とかする時以外は機能を停止させていたのだ。
今回は、こうやって異世界にいきなりいたわけだし、存在を忘れたまま時間が経っていたので、確認のために起動させたのだ。
あと、実は何かに使えないかなっていう思いもある。
ロボペットは、制作者によって大きく性能が変わる。
ゲーム内で存在しているロボペットの中でも、『クロウ』はかなり上位の性能があると思う。
そして、獣型のロボペットに共通して持つ能力として、探索能力が高いと言うのがある。
俺もそういう専門の機体はいるにはいるが、『クロウ』の方が性能高いしな。
「ハッハッハッハ!!」
「わかったわかった・・・分かったから一回離れて」
元気過ぎないこの子・・・?久しぶりの起動でテンション上がってんのかな。
「キクヒメ」
『個体名『クロウ』全状況クリア』
「おっし。このままでも行けるな・・・あっちはどうするか」
実はまだ『クロウ』以外にもいるんだが・・・あれはなぁ・・・
完全に戦闘目的のロボペット。しかも『アビスキュイラス』との相性は良い。
問題は、ちょっと危ないと言うか・・・周囲の被害がえらいことになるタイプだからなぁ。
『クロウ』みたいに散歩みたいに気軽に動かせないんだよね。
「・・・今回は保留で」
『懸命かと』
そのうちいい日が来るでしょ。
さて、じゃあクロウを連れて帰る・・・帰らないのだ。
まだやることはある。
村の防衛関係は十分だが、あちらに置いた俺の家・・・と言う名の開発拠点の事でちょっとな。
「あっちに持ってく物決めなきゃな」
最低限の物は、サーベスの中にあるからそれでもいいんだけどさ。
開発するってなると・・・色々足りなくてな。
持ち運び用の研究施設なんて物はないから、持っていくのは車だ。
サーベスが手に入るまで使っていた移動拠点・・・拠点と言うほどの物ではないか。
「『ブラックカーゴ』・・・久しぶりに見たな」
『整備状況は完璧です』
「それは重畳」
『ブラックカーゴ』
まぁ簡易的な移動拠点だ。
大型トラック。積載量はまぁそこそこ。
機体は一機しか搭載出来ないが、これ一台で拠点に必要な機能が揃う。
サーベスが手に入るまでは、俺もこいつを乗り回していた時期があるくらいだ。
中には、当時乗っていた機体がそのままいるはずだが・・・
「そっちはどうだ?」
『・・・軽度の劣化を確認』
「あちゃー・・・まぁ見てなかったからなぁ」
こいつの整備はあっちに着いてからかな。ここでやってもいいんだけど、あんまり長い間離れたくないし。
そうと決まれば、必要な物を詰めよう。
まず整備用の道具と機材は・・・もう入ってるか。じゃあ資材だな。
コロネタイトはまぁ大量に。金とか銀も出来るだけかな。換金とか出来るかもしれないしな。
食料は・・・そのままより調理品の方がいいかな?
珍しいものだったら喜ばれるだろうし。んー・・・揚げ物とかかな。
後は保存の効く系統の物とかかな。
・・・よし、後は勝手にやってくれるから休憩!!
食堂に移動して、適当なお茶菓子を自販機から出してっと。
あ、お茶お茶
「ズズ・・・」
お茶を飲みつつ、何やらクッキーっぽいものを食べる。
味は美味しいんだけど・・・何かなぁ。
「一人で食べるとってことかなぁ・・・」
一月だ。一月村で過ごした結果だろう。
キイナさん達とずっとご飯を食べていたから、今こうして一人で食べる時の味気なさが身に染みる。
前は、こんなこと考えなかったんだけどなぁ。
「・・・早く帰るかぁ」
帰るって表現が普通に出るくらいには・・・まぁそういうことだな。
クッキーをさっさと胃に収めて、お茶で流し込んで立ち上がる。
「よっし!詰込み終わったか?
『終了しております』
「じゃあクロウ呼んで帰る」
『緊急情報です』
「・・・帰りたかったなぁ」
なんだなんだおい。
コヒメからの緊急情報・・・ってことは、間違いなく敵襲なんだけど。
『上空に、高エネルギー反応』
「今までので似たようなのは?」
『ドラゴンです。映像出します』
「ああん?」
ドラゴン・・・?
コヒメの出した映像は、確かにドラゴンが映っていた。
だが、前に見たことのあるドラゴンとは体色が違う。今いるのは緑色だ。
それに、何やら周囲が渦巻いているな・・・風を操るって感じか?
「基地に近づいてるんだな?」
『まっすぐにこちらに来ております』
「偶々・・・いや、それはないか」
間違いなく、この基地が目的だろう。
魔力があるんなら、他の魔力を追ってここに来るくらいは出来るだろう。
恐らく俺がこの世界で倒したドラゴンの魔石が目印になったか。
「出撃準備・・・エアロードだ」
『了解いたしました』
さてさて、久しぶりに面白い戦いになりそうだな。
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