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16話

夜分です

鬱蒼とした森・・・と言うほどではないな。

良い感じの森だ。日差しが適度に差し込み、穏やかな空気が流れている。

レーダーにも大きな生物はいない。

まさにピクニックって感じだな!!


「今日は何を取りに行くんですか?」

「もう少し先に生えている、ウッドベリーを取りに行くんです」

「ウッドベリー?」


どうも石垣のような植物に生えるベリーだそうだ。

甘酸っぱく、ジャムにぴったりだそうだ。


「そのまま食べても美味しいんですよ・・・ジャム作る時にちょっと食べるんです」

「おーちょっとしたおやつにもなるのか」


日持ちはしないらしいが、その分季節的な名物だそうだ。

この時期になると、このジャムを求めて行商人が来るそうなのだ。


「ん?商人来るのか」

「はい。まぁほとんど売るだけなんですけど」

「買わないんですか?」

「うちの村、大抵の物は手に入りますし」

「ああ、必需品はあるのか。それでもなんか・・・アクセサリーとかは?」

「買っても見せる人いませんし・・・」

「ああ。男少ないですねそういや」


キイナさんくらいの年齢に近いエルフはいないな確かに。

でもそうなると、キイナさん嫁の貰い手がいないのでは?


と、少し心配になったがそこは大丈夫なようだ。


村から出ていったエルフは、大抵は数十年に一度帰ってくるそうだ。

その時に結婚相手を見つけるか・・・


「私も出て行って探すかですね」

「婿探しに村を出るのか・・・」

「ほとんどのエルフは旅先で結婚相手を探すんですよ」

「へぇー」


そういうものなのか。


ちなみに敬語が取れかかっているのは、キイナさんから言われたからだ。

完全に抜くのは出来てないけどなぁ!!!


「婚約者とかいないの?」

「・・・いないです」

「ああ、憧れとかはあるんですね」

「はい!・・・あ、すいません」


ふむ、普通に女の子だな。


(レーダーに反応アリ)

「ッ」

「??どうしたんですか?」

「いや・・・なんか来た」

「え!?」


キイナちゃんの声で、他の人たちも俺の方を見る。


周囲のレーダーを網膜に投影。

サイズ的には・・・まぁ人間よりは大きいよなそりゃ。


「右から何か来てます・・・人間より大きい・・・四足型の獣かな?」

「・・・はい。多分。フォースアームベアーです」

「・・・腕四本の熊?」

「はい。でも、大して強くないんです」


凶暴ではあるが、殆ど普通の熊とかと変わりないらしい。

魔法を使うでもないので、魔法を使うことが出来るなら簡単に倒せるらしい。


「これくらいなら。私でも簡単に倒せますけど・・・」

「・・・じゃあ魔法見せてもらっていいですか?」

「はい!」

「キイナちゃんがんばれー」


本当に大した敵ではないらしいな。

何が来るか分かった途端、一気にみんなの気が緩んだ。

応援までしてるし。


反応が近くなってくる。

どうやら動きをキイナさんも分かっているようだ。


(高エネルギー反応を確認)

「来るか」


魔法の兆候だ。

キイナさんから魔力と思われる反応が高まっているのが分かる。


「緑の風よ・・・」

「詠唱式か」

(魔法発動対象の背後に、別の高エネルギー反応を確認)

「うん?」


こっそりとカメラを動かす。

視界をキイナさんの方に向けると、その背後に確かに魔力の塊があるのが分かる。

何やら四足の小型の・・・猫か犬だなあれ。

なるほど、もしやあれが精霊かな。

キイナさんの詠唱が進むほど、魔力が高まっている。


丁度そのタイミングで、腕を四本持つ大型の熊が見えた。

そして、ついに魔法が発動される。


「眼前の敵を切り裂け。ウィンドカッター!!」

「グォア!?」


キイナさんが腕で示した先に、背後から緑の刃が三つ飛んでいった。

刃は腕を二本切り落とし、最後の一際大きな刃が首を両断し、背後の木も纏めて切っていった。


「・・・おおお!!」

「ふぅ・・・ど、どうでしたか?」

「すげえ!!!」

「ふぇ」


素晴らしい!!完全に何もない空間から放たれたように見えた。

だが実際は違う。キイナさんの背後にいる推定精霊がキイナさんから魔力を受け取って刃を放ったのだ。

これはいい。すごくいい!!俺も自立型の遠隔攻撃方法はあるが、威力も精度も、自分にかかる負担も素晴らしい塩梅だろう。

これ・・・すごくに解析したい!!!


「あ、あの//」

「他の魔法とかも使えるのか?」

「ひゃ!?」

(肉体に接近しすぎています。ハラスメントにかかる可能性大」

「ん?・・・あ」


気が付くと、キイナさんの手を掴んで体を引き寄せていた。

急いで手を離すが、これ本当にマズイ。


「す、すいません!!」

「あ・・・い、いや。大丈夫です///」

「・・・あら~」


ぺこぺこと謝っている俺。そんな俺の前で顔を真っ赤にしているキイナさん。

そして背後でニヤニヤしているアカサさん。


き、きまずい・・・

だが空気を読んでた読んでないのか。レーダーに新たな反応があった。


(新たな反応アリ。先ほどより巨大なサイズを感知)

(ッ・・・どっちだ)

(2時方向。速度はフォースアームベアーの倍)

「キイナさん!」

「ふぇ・・・?・・・あ!」

「今度は俺がやります。ちょっと早いみたいなんで」

「え、でもこれって」


返事も聞かないで敵の咆哮に向かう。決して気まずいから逃げたのではない。

ありがとう名も知らぬ敵。


『魔力反応は先程と同レベルです』

「まぁ魔力だけでは分からんだろ。使える装備は?」

『全装備。問題ありません』

「いいね!!」


『無影』には、ブースターと呼ばれる物は存在していない。

精々が緊急時のバランサーくらいなもので、加速したりするには使えない。

その上で、俺の他の機体に比べても能力上昇は抑えめだ。それだけ、ステルス性能が高いのだが。

そして固定武装は無し。持ってこないと殴る蹴るしか出来ない。

それはあまりにもねぇ?


『敵影確認』

「お、どんなの・・・ゴリラだ」


赤いゴリラだ・・・え、赤いゴリラ!?!?


「どんなゴリラだよ!!」

「ウホー!!」


そして手に持っているのは・・・え、なにそれは。


『高熱源反応確認』

「マグマ・・・いや溶解液か!?!?」


なんちゅーもん持ってんだあのゴリラ。


どうやらケツから出したみたいだが、固形と液体の半分くらいの物質のようだ。

なんという謎物質・・・調べたいがそれより。


「完全に不潔なのでここで仕留めるぞ」

『全武装。フルオープン』

「行け、ファントムリッパ―!!」


武装を取り出し、手に持った手裏剣状の武装を四つ投げる。


ファントムリッパ―。

『無影』専用外部武装。

俺の思念を受け取って動き回る無線攻撃機だ。

まぁキクヒメのサポートを受けているから、これを使いながらでも俺は普通に戦うことは出来る。

無しだと・・・さすがに二機同時操作が限界かな。


ファントムリッパ―は様々な軌道を描きながらゴリラに突き刺さる。

これだけでは終わらないのがこの武器の素晴らしいことだ。

そもそもこれは、相手の動きを妨害するための物だ。


「ホゲ!?」

『対象に対する効果を確認』

「まぁ当然だな」


ゲームの世界では、大体の敵は兵器だが中には特殊な生物もいる。

そういった様々な種類の敵に対応するために、ファントムリッパ―にはスタン性能が付いている。

相手の体に刺さり、直接体の中に電気を流し込んで相手をマヒさせるのだ。


正直。魔力なんか持っている生物にも効くのかは怪しかったが、まぁ生物の範疇を越えていないようだな。


さて、動きも止めたし止めと行こう。

『無影』は、某ステルス・・・というか、スタイリッシュに戦うことを想定して作っている。

だからこそ、武器は決まっている。


「ジャックナイフ起動」


再び武器を取り出す。


ジャックナイフ

ナイフという名だが、そのサイズはもはや刀だ。

片刃の武器で、長さは変わる。エネルギーを表面に纏っており、その切れ味は鉄を紙の様に切り裂く。

それが二本ある。


ゴリラの背後にある木に、腕からアンカーを打ち込む。

それを巻き上げ、高速で背後に回る。


「そぉれ!!」


回転しながら刃を振るい、首を撥ねる。

抵抗感は一切ない。ほれぼれする切れ味だ・・・


『生体反応消失。お疲れ様でした』

「ふぃー・・・悪は滅びた」

「コウ様ー!!」


よし、キイナさんに見つかる前に汚物を消せてたな。何だケツから溶解液を出すって。

それ実質排泄物だろ・・・



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