12話
ま、まぁ言葉を理解できるのはわかった。
『動きから、使用言語に差異は認められません』
「んなことできるのかお前」
知らなかった・・・てか、必要ない機能だろそれ。
「ここからだと、どれくらいで着く?」
『約30分』
「ちっか。行くわ」
その為に探してたしな。
30分後。無事に到着・・・したけど問題発生。
俺の恰好が問題。
「めちゃくちゃコスプレだな俺」
この世界にあまりにも適していない気がするは流石に。
ゲーム内のアバターの恰好のままだから、それなりにオシャレではあるんだけど・・・俺の世界のおしゃれだし。
このままだと問題だ。
てか、まずこの村っていきなり人が来て怪しまれないもんなのかっていう。
・・・・・・
「周囲に他の村とかある感じ?」
『確認出来ません』
「いったん探そうか」
何かこう・・・旅人とか来てもおかしくないような村だったらいいんだけどね?
隠された村ですとか、そういう感じだと完全にアウトじゃない?
折角見つけたのに地味に目標を達成できないって言う。
まぁあんまり無理して進めて台無しになってしまったらそれこそ意味がないか。
「近くの空き地に着陸しろ。そこで暫く調査するぞ」
『了解いたしました』
さて、コヒメに連絡して基地の方も進めるか。
「コヒメに接続」
『了解いたしました』
『・・・おはようございますマスター、『コヒメ』通常稼働しております』
「ういうい。進捗率はどうだ?」
『現在4%。現時点で、問題はございません。予定通りに進んでおります』
「流石に地下開くのは時間長いな・・・」
まだ数日しか経っていないが、数日経ったというのに一桁台。かなり遅い。
建物とは比べ物にならない規模だから、当たり前といえば当たり前なんだけど。
予定でも、使えるようになるまで2月近くかかるそうだ。
今は岩盤を掘り進めるのが大変だから、より遅いって言う話もあるが。
「周辺で何か変わったことは?」
『数体の中サイズの生物の接近を確認しましたが、いずれも防衛兵器による防衛に成功しております』
「お、何か来たのか。消耗は?」
『弾薬消費のみです』
「ダメージはゼロと・・・撃ったのはビーム系か?」
『ビームトーチカによる殲滅を行いました』
「稼働データ送っておいて」
『了解いたしました』
まぁ防衛も問題なしと・・・てか、あのあたりに何か来るんだなって感じ。
後思ったんだけど、コヒメの喋り方がキクヒメと同じだから個性がなくてあれだな。
何かそれ用の設定ソフトあったっけ・・・
「・・・あ、倉庫内か」
サーベスから出したんだった。
必要のない物は建設した倉庫内に纏めて置いてきたのだ。
今サーベスにあるのは機体のメンテナンスに必要な物と、人と交流するのに使えるのではって物くらいだ。
コヒメ、声もキクヒメから流用してっからなぁ。
そこも変えてやるか。確か課金アイテムだけどそれも持ってたはずだし。
『偵察機03から連絡』
「ん?何かあったか?」
『現在監視対象になっている拠点に向かって、数十名の武装集団が接近中』
「は?」
何だ何だ?
「映像出せ」
『了解いたしました』
見えた映像には、確かに武装している集団が映っている。
まぁ簡素な鎧に剣や槍を持った集団だ。
俺からしたら、お粗末通り過ぎて紙切れみたいな装備だけど。
てか、全員ガラ悪いな。
「え、何このテンプレ的な盗賊は」
『如何いたしますか?』
「村の状況は?」
『・・・集団に気が付いた模様』
村の様子も見るが、どうやら向かってくる武装集団に気が付いたみたいだ。
慌てた様子で何やら走り回っている。
外に出ているのは若い男ばかりだ。
・・・これってもしかして。
「この村に対して友好的ではないんじゃね?」
『可能性は大いにあります』
「・・・これ、使えるな」
ラッキーだな俺。
彼らは、康生の読んだ通り盗賊に当たる団体だった。
彼らが、この森に来たのはわけがある。
この森に、隠れ住んでいるエルフがいると聞いたからだ。
エルフと言うのは、種族的に美形が多い。
今でこそ、どの街にもエルフは多くいるが、奴隷としての価値は未だ高い。
勿論、奴隷は法で禁じられているため、表立って売るわけではない。
だからこそ、狙う価値があるのだ。
裏での商売は、表での商売の何倍もの利益が上がる。
そういった行為は非常に厳しく取り締まられているからこそ、高い利益になるのだが・・・。
とある理由で、こんなところに来てしまったが、僻地と言ってもいい森に来ても、彼らの士気は高かった。
これが終われば、間違いなく遊んで暮らせるだけの金が手に入るから。
自分達が失敗する可能性なんて、ひとかけらも考えていなかった。
順調に村を見つけ、そこの村のエルフたちが武器を構えている。
情報通りだと、彼らは笑う。
エルフを捕まえたら、何人かは自由にしてもいいだろう。
そういう後のお楽しみも、彼らの士気を高めている。
数の上で、盗賊の方が倍近く多い。
エルフの村は子供を合わせても百人に満たない。
戦えるエルフだけを数えたら、わずかに十数人。
勝ち目など、あるはずない・・・はずだった。
盗賊たちが、武器を持ち村に押し入ろうとしたその時。
空から、悪魔が振ってきた。
『ハッハッハッハ!!!おはようございますぅ!!!!』
その悪魔は、大きな爪と巨大な翼、そして凶悪鋭さの尾を持っていた。
見るだけで嫌悪感を煽る姿。
不気味に光る二つの眼。
それが、人の言葉をしゃべっている。
そして・・・
『それじゃあとりあえず死ね!!!』
一瞬で、人の首が飛んだ。
エルフの若者。カエナはこの光景を忘れないだろう。
この平和な村に、賊が来るなんて考えもしないで生きてきた。
そんな中、村を襲おうと人間の集団が向かってきているというではないか。
慌てて村の皆と協力して戦うことになった。
だが、勝ち目などないのは皆わかっていた。
数が多いと、森の精霊達が警告してきたのだ。
その時には、既に逃げられるような距離ではなかった。
どうやら賊共は、精霊から隠れる為の道具を持ってきているようだった。
魔法が使え、精霊の力を借りれるエルフだが、元からエルフを襲うと決めてきた集団に対して、どこまで戦うことが出来るというのか。
だが、戦わないという選択肢はなかった。
戦わなければ、何も出来ずに村は壊され、女は犯され、子供は売られていくだろう。
ならばせめて、自分達が時間を稼ぐことで女子供だけでも逃げる時間を稼ぐ。
命がけの時間稼ぎが始まる・・・はずだった。
ところが、現実はどうだ。
『奪おうと思って来たんだろ!ならお前らも命取られる覚悟してるよなぁ!!!』
黒い何かが、その爪を振るえば容易く人が切り裂かれ。
尾が動けば肉が飛び散る。
その羽根が羽ばたけば、それだけで人が吹き飛んでいく。
『そらそらそらそら!!もっと頑張ってみようか!!!』
空から、小さな球体が降ってくる。
それは何か黒く光る筒のようなものを持っていた。
その筒が、人間に向けられ、轟音と共に光をまき散らすとそれだけで人に穴が開いて死んでいく。
命乞いをしている人間もいるが、それは聞く耳を持たない。
戦うことを諦めた者から、命を失っていく。
数十人いた賊たちは、五分と保たずに全員殺された。
最後の一人・・・盗賊のリーダーであろう人物の頭を握りながら、人間たちが悪魔と呼んだその存在は喋り始める。
『いやぁ・・・まさかこんな幸運に出会えるとは』
「な・・・何が幸運だクソ悪魔がぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」
『うるせぇな。今気分よく喋ってんだろ』
離れたこの場所にまで、人間の頭が潰されていく音が聞こえる。
『なぁなぁ、楽しかったか?他の存在からすべてを奪うのは?』
「ぎぃ!?」
『何か話せよ・・・あ、無理か』
悪魔が人間を離した。
頭から血を流し、放っておいても死ぬだろう。
「ぁぁ・・・たす、たすけて」
人間が、こちらに這いずって助けを求めてくる。
村を襲おうとしてきたのに、何て厚かましいんだと思うことも出来なかった。
余りに憐れだと、そう思うしか出来なかった。
『んー答えてくれる気無しね。ちなみに俺は・・・』
お前みたいな屑の命を奪うの、だぁいすき
そう言って、悪魔は人間を踏み潰した。
・・・いや、悪魔何て、生易しい者ではない。
あれは・・・あのお方は・・・
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