135話
ちょっと早い夏休みが来たので一週間だけ毎日投稿チャレンジ
何だかんだ色々してると、あっという間に日は過ぎていく・・・。
だがあまりにも濃密な日々を過ごしていると思っていたより時間が経たないものだ。
「えぇ。俺まだドラゴン倒して三日しか経ってないの・・・?」
今更そんなことに驚くくらいには、この三日色々作っていた。
そして三日たったということはだ。
ちょっと前にした約束の日が来るわけで。
「何も準備してないわ」
「どなたかいらっしゃるんですか?」
「アルが来ます」
「・・・え?あの、お迎えとかは」
「そこはダイジュナがやってくれるんですわ」
「ではあの、お茶菓子とかは」
「全く何もしてないです」
「・・・何してるんですか!」
「本当にごめんなさい」
そんなわけで、キイナさんに全面的に助けてもらいながら用意を済ませたのでした。
「いらっしゃいませアル様」
「あらキイナさん。お久しぶりですね」
「おっすアル」
「コウは・・・いつも通りですね。おや?ののかは少し大きくなりましたか?」
「大きくなったでーす!」
「ぼくもそろそろー」
「にゃー!」
「おやおや。皆順番ですよ」
相変わらず精霊に大人気だ。
まぁ水の精霊の中でトップなんだから当然なのかもしれないが。
・・・あれ?ダイジュナはどこだ?
「ダイジュナは?一緒に来たんじゃないのか?」
「ダイジュナですか?何やら途中で用事が出来たとかで別行動になりましたけど」
「うーん?」
珍しい・・・というか、こんなことがあるのか。
ダイジュナが言い出したことだから最後まで着いてくると思っていた。
それに今回アルを呼んだのは俺に協力してもらう為だったから、説得の手伝いも頼もうと思ったんだが。
しかしいないものは仕方ない。
俺だけで説得するとしましょうか。
とにかくアルを家の中に招き入れる。
キイナさんがちゃんと色々用意してくれたので、お茶菓子とかそのあたりは完璧だ。
「おや。これはウッドベリーのタルトですか?」
「はい!コウ様のお陰でお砂糖が簡単に手に入るのでとっても甘いんですよ!」
「それは楽しみですね」
「ウッドベリーだけでも十分甘いと思ったんだけどな俺」
「ウッドベリーは長いこと摘まないでいるとすっぱくなっちゃうんですよ」
「だからこうして砂糖を使って甘いお菓子にするんですよ。昔は良く食べたものです」
何やら昔のおもしろ話が聞けそうな流れだなこれ・・・キイナさんすっごく聞きたそうにしてるし。
英雄たちの昔話などの本を大量に読んでいるからこそ、興味深々というわけだ。
「まぁそのお話は後でにしましょうか」
「えー」
「ふふ。ダメですよののか。今日はコウに招かれたんですから」
「うっ」
「・・・何故コウは胸を押さえているのですか?」
「あははは・・・」
言えない・・・招いたのに何もしてなかった何て言えない・・・
「・・・よし戻った」
「おかえりなさい。調子が悪くなったら言ってくださいね?」
「今が辛いかな・・・」
「えぇ!?」
「アル様!ちょっと今だけ優しい言葉は無しにしていただいて・・・」
「えぇ・・・?」
アルの純粋な心が痛いよー
何故かののか達も俺の真似なのかテーブルの上でゴロゴロしてるよー
・・・何してんだろ俺。
「話しよっか」
「あ、それで戻るんですね」
「良かった・・・」
「何してたですマスターは?」
「しらなーい」
「分からんでやってたのか貴様ら」
いや完全に遊んでたのは分かってたんですけどね???
おふざけもこの辺で・・・いや結構反省自体は本気でしてるんだ。
だが後悔と反省はお終い。
これからする話はちょっと真面目な話なのだ。
「あ、タルトは食べながらでいいから」
「ではお言葉に甘えて・・・あ、美味しい。柑橘系の果汁を使ってます?」
「え?一口で分かるんですか?」
「これでも水の精霊ですから」
「関係あるのかそれ・・・?」
いや果汁は水分だからそれか・・・?
俺も一口食べてみるがさっぱりわからない。
キイナさん曰く、本当に少しだけ使っただけだそうで分かるとは思わなかったと。
案外グルメなのかアルは。
「って違う違う。これ味わう会じゃないんだわ」
「でしょうね。それで、本題はなんですか?ダイジュナからは頼みごとがあると聞いていますが」
「頼み事・・・まぁ頼み事か。内容は聞いてるか?」
「いいえ。本人から直接聞くべきと言われましたので」
「まぁそうだな。頼みってのは・・・あー。近いうちに一戦やらかす予定だから、その時に手伝って欲しいんだわ」
「・・・意外な頼み事ですね。違うことを想像していましたが」
「そうか?」
「ええ。あなたは私たちが倒しきれなかった怪物を倒したのです。
そう言った方面で頼られるとは思いませんでした」
「ああいや。実際に戦いに参加してほしいわけじゃないんだ」
頼みたいのは、海魔・・・モルトン王国で行われている儀式の怪物を殺すことの手伝いだ。
だが戦闘自体には参加してもらうつもりは一切ない。
確かに参加してもらえばかなりの戦力増加になるのは分かっている。
だが元々のダイジュナ達のスタンスもある。それを考えると、そこは頼みにくい。
だから手伝い程度・・・
「モルトン王国は知ってるよな?」
「はい。知っていますが・・・まさか」
「ああ。あそこに出るって言う怪物を倒したいんだわ。
もちろん、そいつに対するダイジュナ達の考えは聞いてる」
「なるほどそういうことですか。私に頼みたいのは、その怪物の現在位置を探すことですね?」
「そうだ。水の精霊であるお前なら、俺がやるより速くて正確に出来ると思ってな」
俺が頼みたかったのはそこだ。
主に相手の調査の面で力を借りたかった。
そもそも俺の持つ力・・・BMWというゲームの技術力はこの世界でのトップクラスの存在に比べると劣る物が多い。
何かに特化させたような魔法や精霊と比べるとという場合に限るが、確かに劣るのだ。
特に今回の様な海中での活動となると、俺の手札は非常に限られる。
ゲーム内では地上戦がメインだから、海の中で使える物が少ない野田。
だからこそアルの力を借りたかった。
アルの力ならば、怪物の位置を把握することなぞお手の物だろう。
問題なのは、そもそもあれに精霊達が関わらない理由。
人間達の進化を妨げないように、過剰な干渉を行わないということ。
そしてもう一つ、ダイジュナが言わなかった理由もある。
「・・・コウは、何故あの存在を倒そうと思ったのですか?」
「んあ?理由?・・・あー理由か」
「答えられませんか?」
「いやそう言うわけじゃないんだが・・・大した理由じゃなくてな」
「それでも聞きたいですね。それによっては、力を貸すのも吝かではありません」
「・・・つまり、現時点ではお断りだと」
「そうですね。私がいなくても問題ないのでしょう?」
うわっ見抜かれてるな。
バイオティラノを倒した俺が、その程度のことが出来ないわけないでしょって顔だ。
確かに、居場所を割り出すことだけなら俺でも出来る。
海中に調査機をバラまいておけば見つかるだろう。
だがそれでは時間が掛かりすぎる可能性があるし、機械では調べられない深海にいられたら猶更だ。
俺の目標は、アルカナ達が自国に帰るまでの数か月・・・その間に仕留めることだ。
これは俺の予想が・・・ダイジュナが言わなかった理由が、合っているのならの場合を考えての事だ。
仮に予想が外れていたのなら取り越し苦労で済む。
だが当たっていた場合。倒してしまったらアルカナ達に迷惑が掛かる可能性が高いのだ。
もしそうなったら、仕事がまた一つ増えることになる。
しかし、今はともかく俺の理由か・・・うーん。
「これ、アルの時もそうだったんだけどな?
ああ。それに気が付いたのは割と最近なんだが」
「・・・」
「俺さ、かなーり・・・我儘なのよ」
「・・・はい?」
そんな言葉が言われるとは思わなかったような顔だ。
実際そうだろう。俺もこの場面でこれ言われたら同じ顔になる。
「我儘だから、一回気にくわないことを聞いちゃうとずっと色々考えちゃうんだわ」
「・・・」
「コウ様・・・」
「国のために礎になる。必要な犠牲?・・・ハッハッハ」
だったら俺が、俺の勝手で、全て潰したっていいだろう。
俺の目の前に、もっとずっと子供の頃から辛い旅を続ける者が来た。
それに連れ添い、支え続けてたのは俺の知り合いだった。
自分の友達を助けたいというその一心だけで、親から離れて辛く厳しい未来を選んだ。
それが報われない?
故郷を離れて、愛を受け取るはずだったのに。
こんな辺境まで来て・・・何も得られない?
「ふざけんな。だったら最初から希望何て見せんな・・・」
恐らく・・・恐らくだが、アルカナの親は儀式が止まらないことを知っている。
仮にアルカナ達が本当に怪物を倒す手段を見つけても、それが使われることはないだろう。
何せたった一人の犠牲で国が潤うのだから。
「だから俺がやる。一切合切、しがらみ何て欠片もない俺がやる」
「・・・それが、貴方の理由ですか?」
「ああ。色々言ったが、俺は結局気にくわないからやるんだよ・・・悪いか?」
「・・・フフフフ」
「あん?」
「い、いえ・・・フフ。あなた達流れ人は、やはり素晴らしいですね」
「・・・ってことは」
「ええ。力を貸しましょう。文字通り全力で、貴方の為に。元々私もあれは気にくわなかったので」
「似合わない言い方だな。お前には」
「でしょうね。昔も同じこと言われましたよ」
よろしければ評価やブクマ登録お願いします




