133話
「フィア。つかぬことを聞くんだが」
『はい』
「お前ってどれくらいの精度と範囲で人の心を読めるんだ?」
『そうですね。視界に入ったお方でしたら凡そは』
「マジ?」
『はい・・・如何なさいましたか?』
「誰が悪人か・・・いや、その場から逃げようとしている人間の区別はつくか?」
『可能です』
「・・・なるほど」
よ・て・い・へ・ん・こ・う
「追い込みは掛けるが、焼け野原は無しの方向で」
「作り直し?」
「そうだな。後ちょっと一機だけ無人機試作する」
まぁあまり難しいものではない。
ただ精度の良いカメラを搭載した偵察機・・・この場合は監視カメラ的な感じだ。
これはフィアに使わせるのだ。
監視する側と受信側のセットで運用する。
「どうするの?」
「フィアが画面越しで心を読めるかどうかを試す」
「・・・出来るの?」
「試したことはないそうだが、少なくても水晶玉では出来るそうだ」
あれは魔法的な品物だから出来るという、それだけの可能性は大いにある。
だがそれでも試すだけの価値があることだ。
これが出来れば俺の作戦が完璧になる。
「ヨシできた。キクヒメ。フィア呼んで」
『了解いたしました』
「・・・私もAI欲しい」
「代金払えよ」
「無理」
「まぁ高いからな」
今のアカリに払える額ではないわな。
実際に金で払ってもらうことはないだろうが。
だがアカリがAIを持つのは戦力的には非常に良いことだ。
細かい情報処理何かを任せられるから、その分他の事に集中出来るのだ。
アカリの場合は相手との距離に応じた情報を高速でカメラに表示してくれる。
今の『紅月』はアカリの才能に任せた力技でそういった機能がないからな。
言っておいて何だが滅茶苦茶なことやってんなこいつ。
「すいません、お待たせいたしました」
「おう。さっきも言ったが、試してもらっていいか?」
「勿論でございます」
「私映していい」
「お。じゃあ隣の部屋にこれ持って行ってくれ」
「うい」
即席で作っただけだが、カメラの精度は問題ないはず。
すぐに受信する側の無人機にアカリの映像が映し出される。
「何故無表情ダブルピース」
『サービス』
「誰に」
本当に誰に
まぁそんなことはどうでもいいのだ。
「どうだ?読めるか?」
「・・・少し曇っておりますが、凡そは」
「曇る・・・?いや。アカリは今何を考えてる?」
「お腹が減っていると。後は今日のリクエストはカレーが良い・・・でしょうか?」
『正解。後福神漬けも付けて』
「それは食堂から持ってこい」
ふむ。問題なく読めそうか?気になるのは曇っているというところだが。
「あ。それは表現的なことです」
「要するに?」
「本来ですと相手の考えていることなどが文字の様に見えるのですが、
今回は所々読めなかったのです」
「だから曇っていると」
「欠けているという表現でも合っております」
ほうほう。
確か元々この心を読む力は魔法的なことだったな。
魔族であるフィアだから出来る技。それの自称劣化コピーをリアが扱える。
だから魔力が感じられない画面越しでは使えないのでは?という考えもあった。
だがそれは外れで普通に出来ると。
「どういう理屈なんだ・・・?」
「大切なのは、相手を認識することでございますので」
「認識。どこにいるかじゃないのか」
「はい。そもそも魔力とは、いつでもどこにでもある物でございます」
「まぁそうだろうな」
「だからこそ。魔力の繋がりが無いというのは、本来あり得ないことなのです」
「・・・ほー・・・それはそれは・・・」
何か・・・とんでもないこと言われてるな俺?
フィアは自分が何を言っているか分かっているのだろうか。
いやまぁ分かっているとは思うんだが・・・
「ですが、やはり遠いと精度は大きく落ちてしまいますので。そこが欠点かと」
「見えない相手は出来ない?」
「不可能でございます」
「ふむ・・・」
なるほど何となく分かったな。
本当なら見えてなくても出来ることなのだろう。
だがそれでは相手の魔力を認識しずらい。そこで相手を見ることが必要なのだ。
それで足りない部分を補強している。
「それに。コウ様がご用意してくださったものが優れているというのも一つ要因かと」
「俺の?無人機が?」
「カメラじゃない?」
「あ、戻ってきたのか」
「返す」
「うい・・・にしてもカメラか」
「はい。そちらに映し出されたカメラに魔力が映っておりましたので」
ああそうか。その魔力も心を読めるのに繋がるのか。
だがそれなら都合が良いか。魔力視認のシステムについてはもう少し改良の余地がある。
これの性能を上げれば更にフィアは心を読みやすくなるな。
「分かった。じゃあ次だな」
次は精霊亜種達がいっぱいいる所にカメラを置く。
さてどうなるかな。
結論だけ言うと、フィアはやべぇ。
「分かってたけど、規格外すぎんかお前」
「そうでしょうか」
「・・・軽く30人は読めるのはおかしい」
「それだけ一度に読んだら頭がパンクしそうなもんだが」
人間の脳みそは処理できる情報量が限られている。
機械に比べたらそれはもう少ない量しか処理できない。
少なくても30人の人間の行動を把握するだけでも無理だろう。
だがフィアはそれ以上の事をやってのけた。
まさに規格外。
恐らく魔族という種族自体が、普通の人間と比べて優れている可能性がある。
「・・・ふむ」
「・・・あ、あのコウ様」
「ん?・・・ああ。わりぃ」
いかんいかん。また変な事考えてた。
それを読まれてフィアが怯えてしまった。これは本当に良くない。
リアの屋敷で一番最初に出会った時もそうだったなそういや。
「何考えてたの?」
「く、詳しくは分からなかったのですが・・・頭を開くなどの言葉が・・・」
「コウ」
「はい」
「ダメ」
「はい」
アカリにも怒られてたら本当にダメな気がしてきた。
だけど仕方ないじゃない。気になるんだもん。
まぁ女の子見つめて頭解剖したいなぁとか考えるのは本当にやばいやつな自覚はある。
「えっふえっふ・・・しかし、フィアがどこまで出来るのかは分かった」
「・・・まぁ大事なこと」
「ああ。これでかなりやりやすくなる」
「・・・そういえば。何をなさるおつもりなのですか?」
「あれ?言ったことなかった。実はな」
フィアに伝えてなかったようなので、ゲル商会の事を伝える。
するとフィアも存在は知っていたようで、俺が何をしたいかそれだけで大体分かってくれた。
「リアも協力してくれるからな。まぁ楽が出来るよ」
「そういうことでしたか。つまり私の役目は」
「おう。可能なら街から出て行く連中を見てもらう」
恐らくだが、街を無人機で囲むのは確定だ。
その上で街の住民たちは基本的に殺す前提だった。
仕方のない犠牲だと思っていたし、そもそもそこを気にしてゲル商会に逃げられる方が腹立たしい。
だがフィアの力があれば、より効率よくやれる。
少し作戦を捻れば、囲った後に街を焼かずに済むだろう。
「必要なのはステルス機だな」
「『無影』でいい」
「数が足りない可能性があるからな。だからいくらか作る」
「また複合機?」
「当然だろ」
そうじゃなきゃやりたいこと出来ないし。
まぁあまり無人機でステルスさせるのは良くないんだが・・・こればっかりは仕方ない。
「お前もやるなら作るけど」
「ナイスジョーク」
「そんなレベルで嫌か・・・?」
どんだけ狙撃だけしたいんだこの女は
よろしければ評価やブクマ登録お願いします




