118話
「ダイジュナ様お久しぶりですー」
「おお。本当に大きくなっているな」
「ドヤァです」
「ふむ・・・なるほど。ドライアドの影響を受けたか」
「見て分かるのか」
「植物の力が強くなっているからな。それで判断できる」
そういう所からも分かる物か。
そういえば、どの精霊がどんな属性の力なのかってちゃんと判別出来るようにしてないな。
キクヒメが解析してしまえば見れるようにはなるが、最初から見れるようにしたいな。
だが作るのはまた今度だろうな。
作らないといけないものはあるからな。
「ふむ。ではキイナがお茶を持ってきたら部屋に行くとするかな」
「お部屋見るです?」
「ああ。上手く出来たのだろう?」
「刮目するです!!」
「どこで覚えたそんな言葉?」
本当にどこなんだろうな・・・
「時間が出来たので、この際だからこっちで調整するぞ!」
『メンテナンスモード起動』
場所は移り、サーベスの格納庫。
『スパロウ』なら調整無しでも戦えるだろうが、時間があるのならやるに越したことはない。
そんなわけで、今から調整します。
どうせ試していたこともあるし、それのリセットもしないとだしな。
これはダイジュナに言われた、今回の縛りに関する話になる。
ドラゴンと戦う際。まず『グランデス』は使わないこと。
これは俺も使う気がないから問題ない。
そして実はもう一つだけやらないで欲しいことを言われているのだ。
それは精霊憑依を使うことだ。
実は精霊憑依を使った機体の実験は、二つの機体で行っていた。
一つは『エアロード』
これはライチを憑依させる前提での調整が各部に施されている。
こちらは結構本格的な運用を考えているので、元に戻すのには時間が掛かる。まぁ今回は関係ないがな。
そしてもう一機が『スパロウ』なのだ。
こちらは機体への改造は僅かに留めており、主に武装面での憑依運用を考えていた。
元からある武装を使ってしまうと、今回みたいな時に対応出来ないと思ったので別で新作を作っていたのだ。
だからこの新しい武器を使う為の調整から、元の状態に戻さないといけない。
「まぁ戻さなくても大して変わらんけどな」
『パフォーマンスの95%しか発揮出来ません』
「たかだが5%だと言いたいがなぁ」
相手がリアクラスではないのは聞いている。
封印以前ではダイジュナ以上。地脈から魔力を吸収している現在では何故かもっと弱いらしい。
これにはちゃんと訳がある。
まず封印される前に、リアにぼこぼこにされているというのがある。
この傷を癒すのには、かなり多くの魔力と時間が必要だったと推測されている。
だから蓄えて力に変えるための時間が足りてなかった・・・らしい。
実際少しダイジュナ達が様子を見た時にはその程度の力しか感じなかったとか。
そしてダイジュナ以下なら、ぶっちゃけ万全のスペックを発揮出来なくても・・・としたいんだ。本当は。
だが念には念を入れるということで。
「まぁ腕変えるだけなんだけどな」
『追加装甲はいかがなさいますか』
「あーそっか。全力だもんな」
『スパロウ』の特徴は、近接戦に特化したその性能自体だ。
この近接戦特化というところが味噌なのだ。
そもそもBMWでの近接戦は、ある重大な欠点を抱えている。
それは機体の消耗だ。
一度でも激しい戦闘を行えば、無傷でも機体に損傷と負担が重なっていく。
硬い装甲を、馬力で無理やり破るのだから当然。
『スパロウ』も例外ではなく、一部の武装以外で戦うと負担が溜まっていく。
これでは修理が大変だ。
近接戦を繰り返すのは良いが、消耗が激しいのは良くない。
俺はこの点を解消するためにある仕組みを設計段階で仕込んでいる。
それが各関節部パーツの簡易化と汎用化だ。
例えば『エアロード』
こいつは空を飛ぶ関係上、いろんな部位にこいつだけのパーツを使っている。
これは損傷した場合に修理が大変であるということを示す。
だが『スパロウ』はそれが殆ど無い。
機体のパーツを失ったとしても、即座に修復が出来て一瞬で終わる。
分かりやすく言うと、『スパロウ』はプラモデルなのだ。
もちろんこれにも欠点はある。機体が脆くなることだ。
これは近接格闘機としては致命的な問題になる。
当然これも解決の手段はある。
というか、俺は大体機体の欠点はこの形で解決している。
追加装甲又は追加ユニットによる性能の向上だ。
「スパロウEAアーマー。そうだな。これで行こうか」
『安定性を考えるならば、NAかDAですが』
「本気ならこれだろうよ。まぁ慣らしは必要か」
割と時間が出来て良かったな。
『スパロウ』の追加装甲は全部で3つ。
NA、EA、DAの3つ。
それぞれ
NA=通常性能向上
EA=攻撃性能極振り
DA=防御性能極振り
こんな感じの特色がある。
NAは単純で使いやすい。『スパロウ』が普通に強くなっただけだし。
EAは少し扱いが難しい。ほぼ特攻機みたいな性能になるから危なっかしいのだ。
DAは安定性で言えば一番だが操作性に難がある。
機体重量も重くなるし、それを動かすために無理やり増設したブースターでかっ飛ぶからな。
その分硬いし、特殊なエネルギーバリアも張れるから近づいて殴ると言う点だけで見れば一番だ。
しかし、俺が使う場合にはEAが一番強い。
そもそもこの評価は俺がした物ではなく、ゲーム内でのフレンドたちに使わせた際の感想だ。
俺は基本。戦う時に防御はしない。
回避が基本だから防御性能上げても持て余しがちなのだ。
DAはまだいい。盾を持っているわけじゃないからな。他のだとひどいもんだ。
なので俺が戦う場合に限ってはEAが一番強い。
殴って殴って殴りまくるのだ。
「はい切り替え終了!!」
『外したパーツをメンテナンス室に送りますか?』
「送ってくれ」
切り替えが終わったから、後は・・・耐熱コーティングでも加えてみるか?
『スパロウ』はこういうアレンジが効きやすいから非常に面白くていい。
ささっと耐熱を施して、何度まで耐えられるかを見る。
「・・・大体2000度くらい?」
『火山地帯での運用基準はクリアしております』
「だろうな」
そもそもこれを突き詰めればビームを弾けるようになる代物だぞ。
流石にそんな変態性能を持たせた機体は俺の持ち機体の中にはないがな。
確かレギアスが持ってたはずだが・・・
「そういえば。あいつの機体まだここに残ってるのか?」
あいつが『ハイドラ』に単機で挑み、そして破れた
リアの反応や、入手出来たデータから間違いない。
だがあいつはサーベスほどではないが移動拠点を持っていた。ならば、最初の時点で自分の機体をいくつか持っていたはずなのだ。
機体がもし残っているとしたら、恐らく竜国のどこかだ。
普通に考えれば、リアのいるあの街なんだがそんな反応は無かった。
基地自体が死んでいたとしても多少は分かるはずなんだが・・・ああいや、上に街が出来ていると分かんないかもしれないか。
「・・・出来るなら、回収して修理くらいはしてやりたいもんだが」
だがそれが許されるかどうか。
『ハイドラ』は敵で、どうなってもいい存在だから受け取れた。
だがレギアスの機体はそうじゃないだろう。
リアのとっては思い入れのある機体だろう。着れないとしても、動かなくてもだ。
そういった物は手元に残しておきたい物だろう。見た目綺麗にするくらいなら、軽く布で拭けばいいだけだしな。
「・・・あれ使ってみるか。キクヒメ!」
『何をお持ちしますか?』
「三番の縦長杭。あれ出してくれ」
レギアスの事を考えていると、一つ倉庫に眠っている武装を思い出した。
それは使い時が限られており、何なら俺はそこまで好きではなかったタイプの武装だ。
ジェットパイルバンカー
バカでかくて、破壊力のある近距離徹甲弾みたいなものだ。
放つと杭が爆発。先端部がその勢いで飛び対象の装甲を貫通。
さらに貫通し中に入り込んだ部分が更に爆発し、さらに中に食い込む。
通常のパイルバンカーは弾が続く限りは撃てるがこいつは一発限りの品物だ。
リロードすれば再度発射出来るが時間がかかるので一戦闘につき一発のみ。
俺が嫌いな理由はそれなんだがな。
だが特攻武器としてみれば、これほど優れたものは無い。
そもそも特攻するだけなら次の攻撃は考える必要が無いからだ。
一度撃って、それで殺せばいい。
それだけを考えに考え抜いた結果辿り着いたアホ兵器。
ちなみにこういった武装はまだまだ眠ってたりする。
フレンド達と深夜テンションで色々作ったからなぁ・・・
「どうせなら陽光とか持ってくか?」
『環境的な問題で故障の恐れがあります』
「・・・繊細だなぁ」
大雑把な性能の武装は何故に変な部分で繊細なのだろうか。
だから倉庫内に仕舞われるんだぞ。
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