115話
「てか今思ったんだけど」
「はい?」
「ダイジュナ帰って来てないけど、完成させちゃって良かったのか?」
「・・・あ」
忘れてたな?
夕飯も食べ終わり早速ドライアド部屋の見物・・・にはいかなかった。
もう寝てるです!とののかに言われたので、朝に行くことにしたのだ。
キイナさんも見たい様で、今日は家に来ると・・・
「いや毎日いるんですけどね」
「おはようございますコウ様!楽しみですね!!」
「そうっすね」
「おはようです!」
「ののかちゃんもおはよう!」
現在朝6時。普段はまだ俺もののかも寝ている時間だが、ドライアドが一番元気な時間が今らしい。
どうせ見に行くなら、その方がいいだろうということでこんな時間になったのだ。
尚この村の基準で言うとこれでも遅起きな方なのと一応言っておく。
狩りの時間は速いのだ。
あとライチとましろは寝てるぞ。あいつらはほぼ毎日あの部屋見てるらしいからいいってさ。
「じゃあさっそく行こうか」
「はい!あ、そうだ。ののかちゃん頼まれてた物持ってきたけど・・・これでいいの?」
「ありがとうですお姉ちゃん!」
「ん?なんですこれ?」
キイナさんがましろに手渡したのはオレンジ色の塊。
どうもぶにぶにしているようだが・・・ゴムっぽい?
「ある木から採れる樹液を煮詰めたんです」
「これが美味しいんです」
「ほう」
「あ、でも私たちは食べれないですからね」
なるほど、精霊用の自然のおやつってところか。
今回は熱を加えたが、本当に野良の精霊だとそのまま吸うんだとか。
俺達人間が吸っても大して味はしないが、精霊達が吸うと何故か甘いらしい。
「もしかして精霊樹?」
「はい。ちょっとだけ他の子に分けてもらってるんです」
「代わりに何かあげたり?」
「そうですね。最近はコウ様が教えてくださったお菓子が多いですね」
てか精霊樹の樹液て・・・採取するのに切るよな?切っていいのか。
と、一瞬思ったが問題はないか確かに。
精霊樹はあくまでも精霊達が居心地がいいってだけの大きな木だ。
特に貴重な物だとか、物凄い謂れがあるとかではないのだ。
だったら切るわな。美味しいなら猶更。
「これをドライアドちゃんに?」
「食べたことないって言ってたました」
「まぁそら無いわな」
俺のナノマシン出身なんだから無いわな。
ではののかの準備も終えたので、早速見学に。
栽培室が並ぶ廊下は、外からでも中の様子がうかがえるようになっている。
端の部屋以外は大体使ってるから、中を見ればたくさんの野菜や植物が植えられているのが分かる。
その中でも、現在ぶっちぎりの存在感を放っているのは・・・
「窓から見えねぇ」
「お花でいっぱいですね・・・」
「えっへん」
花やよくわからん植物でいっぱいになっているせいで中の様子が見えないドライアド部屋だ。
何か遠くから見ても違和感が出ている。
他の部屋でこれに近いのは蔦が伸びるタイプの植物なんだが・・・ここまでじゃないな。
本当に中は綺麗になっているのだろうか。足の踏み場もないとかは流石にダイジュナも駄目だしすると思うんだが。
「本当に大丈夫か?」
「む。疑ってるですね」
「そらまぁ」
「流石にこれは・・・ちょっと」
「むー・・・早く入る!」
「へいへい」
促されるままに中に入る。
するとそこには、俺達の想像していなかった光景が広がっていた。
「お、これは・・・」
「えぇー!これののかちゃんがやったの?」
「ふふーん」
栽培室は一室がそれなりに広い。
そうだな・・・大体二階建て一軒家の庭十数個分はある。
栽培室の中心に、ドライアドがいる。
その周囲には色鮮やかな花たちがドレスの様にドライアドを飾っている。
調整された水の流れが、邪魔にならない程度に涼しさも感じさせており、室内にも関わらずどことなく開放感も出している。
それだけではない。同じ植物だけで飽きないようになのか、複数の種類の植物がちゃんと分けられて植えられている。
俺が見つけた、リア用のタバコもどうなるかと思ったが案外馴染んでいる。
色々言ったが・・・何か、めっちゃえらい貴族の屋敷にある庭園みたいだ。
これは完全に想定外。
「もしかして、リアの屋敷の庭がモチーフか」
「はい!いっぱい見て焼きつけておいたです」
「あ、だから見覚えがあったんだ」
「くどくない程度に花もいくつか種類があるのか。これ名前は?」
「知らないですね」
「え」
「ぶわっとやったら出てきたから知らないです」
そんな雑に生えてくるのかこの花。
「んで?肝心のおまえさんは気に入ってるのか?」
ドライアドに問いかけてみる。
相変わらず喋れないようだが、前より顔色が良い・・・緑色だけど。
何というかそう思ったのだ。魔力的な感覚なのかもしれない。
「そして相変わらず動きが多いなお前は」
「すっごく頷いてますね」
「花が周りにあるのはこいつの要望か?」
「はい!甘い匂いが好きなんだそうですよ!」
「あーだからあの樹液か」
「あ、そうだった。はいドライアドちゃん!」
きょとんとした顔で、ドライアドがののかから樹液の塊を受け取る。
蔓で器用に受け取ってから、手らしき位置にある葉に乗せてじろじろ眺める。
「甘いんだよー」
「・・・何か、思ってるより表情に出る子なんですね」
「ドライアドって普通違うんですか?」
「あ、いや。私も知ってるわけじゃないんですけど」
「ですけど?」
「植物の精霊亜種なら、もっと物静かな感じをイメージしてまして」
「あー」
まぁ何となく言いたいことは分かる。
どっしり構えて、何事にも動じない感じだな。俺もそんなイメージを持っている。
特に大樹と呼ばれるような、樹齢が長い木はそんなイメージ。
このドライアドはそれはまぁ細々と色々動く。
コミュニケーションを全て身振り手振りで行っているから仕方ないのかもしれないが、それにしたって動く動く。
時折遊びにくる精霊達相手でも、自分が動かせる蔓や葉で様々な動きを見せている。
今も蔓を束ねてブランコみたいなもの作ってののか乗せてるし・・・
「ってなんじゃそら」
「ドライアドは自分と繋がってる植物なら操れるんですよ」
「なにそれしらない」
マジで初耳だったな。
あ、もしかしてこの部屋がこんなに植物びっしりなのってこのためか。
こうすればドライアドが操れる植物が増えるし、精霊達が遊びに来た時も今まで以上にいろんなことが出来るようになる。
単純にドライアドがこの方が居心地がいいのはもちろんあるのだろう。
だがダイジュナの出した課題的には、更に一歩踏み込むことが必要ではないかと思っていた。
それのののか的な答えがこれなのだろう。
「ドライアドの部屋に、いっぱい精霊が来て退屈にならないようにか」
「良いお部屋ですね」
「そうですね」
「えっへん」
「」(エッヘン
ダブルでえっへんされてしまった。
「ののかちゃん。本当に大きくなりましたね」
「身長は大きくなりましたね」
「あはは。そうじゃなくて、お姉さんらしくなったと言いますか」
「と言いますと?」
ドライアド部屋の見学が終わった。
ののかはそのままドライアドと一緒におやつ・・・元い朝ごはんを食べるそうだ。
キイナさんが用意した樹液は二つあって、それを一緒に食べるんだとか。
俺とキイナさんはそのまま上層に戻ってきて、リビングで普段よりちょっと早い朝ごはん。
今日は見学もあったので、前日に用意したサンドイッチで軽く済ませる。
その際に、キイナさんとそんな話をしたのだ。
「ドライアドちゃんに対して、ちゃんとお姉ちゃん出来てましたから」
「あー確かに。出会った時からあんなんだったから気が付きませんでしたけど」
「ふふ。コウ様の前だと、しっかりしたがってるんですよ」
「そうなんですか?」
「ののかちゃんが言ってましたから。早くコウ様のお役にたつーって」
「そんなこと言ってたのかあいつ」
可愛い物だ。本当に娘でもできた気分だ。
「でもキイナさんみたいになりたいーとも言ってましたよ?」
「私はほら。きっと私みたいに大きくなりたい―とかじゃないですか?」
「いやいや。キイナさんみたいな素敵な女性になりたいって言ってましたよ」
「えぇー本当ですかー?」
目の前で言ってた気がするが、あの時は爆発してて覚えてないなこら。
まぁその方がいいっちゃいいんだがな。お喋り出来るし。
「実際お姉さんになったなら、似てきたんじゃないですか?」
「そうですかね・・・コウ様」
「はい?」
「えっへん!」
「」
急にキイナさんが胸を張ってえっへんしてきた。
え、何々。急に何が起きたの
「えへへ。似てるかなーって思いまして。どうでした?」
「」
「・・・あ、あれ?コウ様」
「」(チーン
「コウ様!?」
不意打ちはいかんでしょ・・・
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