114話
夜。大体アカリもアルカナも大丈夫なのを確認して、後の事をフィアに任せて村に帰ってきた。
「ただいま戻りましたー」
「お帰りなさいコウ様!お夕飯もうすぐですからね」
「何か手伝うことありますか?」
「大丈夫ですよ。座って待っててください」
家に帰ると明かりが点いてて、温かいご飯が待っている。
そしてお出迎えは美人なエルフ・・・完璧か?
「まぁ大分慣れたなぁ・・・」
「マスター!」
「おぶ・・・どうしたののかよ」
「できました!!」
「そうか・・・うん。なにが?」
ぴゅーと勢いよく飛んで俺の顔に張り付いてくるののか。
幸せに浸ってたのが急にコメディみたいになるからやめなさい。
それで、一体何が出来たというのだろうか。
「ドライアドちゃんのお部屋です!!」
「・・・ああ。ようやく出来たのか」
「はい!お花で甘いです!!」
「そうかそうか・・・うん?ののか?」
「はぁい?」
「・・・繰り返してな?お部屋」
「お部屋」
「ご飯」
「ご飯」
「・・・お煎餅」
「お煎餅」
「!?!?」
か、勘違いじゃなかった・・・だと・・・?
ののかの活舌がめっちゃ良くなってる。
今まではひらがなで表記される感じの喋り方。若干舌がたりてない感じだったのに今はそれが無い。
普通になってる・・・普通になってる!!!
「お前成長してるの!?」
「ふぇ?」
可愛らしく小首をかしげるののか。本人に自覚はないようだ。
だが間違いない。これは成長しているぞ。
「キクヒメ?」
『・・・観測終了。魔力量の増加を確認』
「やっぱり!!」
「・・・うえ!?大きくなってるです!?」
「いやお前も驚くんかい!!!」
てか顔に張り付いてる感じがいつもと違うと思ったら大きくなってたからか。
何か当たり前すぎて全く気が付かなかった。
そしてののか自体も自分が大きくなっていることに気が付いていなかったと。
いやそんなことあるのか?
「お待たせしましたー今日はお野菜たっぷりの・・・ど、どうかしたんですか?」
「ののかがデカい!?」
「私が大きいんです!?」
「え、えぇ??」
10分後
「落ち着きました?」
「落ち着きました・・・」
「落ち着いたデス・・・」
キイナさんんが淹れてくれた冷茶を飲んで落ち着いた。
その騒ぎでライチとましろも来たが夕飯のタイミングだったのである意味好都合。
そしてようやくキイナさんにののかの成長を報告出来た。
「・・・あ、本当ですね。昨日より5cmも大きくなってます!」
「やっぱり気のせいじゃなかったです」
「ののかおおきいー!」
「にゃ?」
「まだ無理・・・いや頑張れば・・・?」
「流石にましろ抱っこは無理だと思うぞ」
あとキイナさんは何故にハンドスキャナー持ち歩いでるんですかね。
いやまぁ好きに使ってもらっていいんですけど・・・持ち歩くほどかな?
テーブルにぺたんと座ったののかの周りでは成長を喜んでいるのかライチとましろが喜ぶようにののかの周囲を回っている。
謎の儀式みたいだが、まぁとにかく喜んでいるのは分かる。
そしてましろが抱っこをおねだりするように前足をののかの膝に乗せている。
多分無理だからまだ止めておきなさい。
「分かってたけど、こんなに急だと驚きますね」
「そうですね。これはちょっと急すぎる気もしますけど」
「何か原因があるんですかね」
「うーん・・・どうなんでしょうね。フェーンもかなり急だったので」
「フェーンって結構頻繁に形変わるイメージあるんですけど分かるんですか?」
「・・・たまに分からない時はありますね」
その時は自分から流れる魔力量を感じて判断するらしい。
後は使う魔法の威力や範囲が増えたりして分かることもあるんだとか。
俺が経験した精霊の成長はましろだけだが、ましろの時とは比べ物にならない程急だった。
「ののかは自覚は・・・ないんだよな?」
「気が付いたらおっきく・・・」
「そんなことある?」
「ま、まぁ精霊達は自分の姿に関しては無意識だったりするので」
「ましろみたいに目の前でやられないと分からんな」
「でもぼくたちもいつかはわからないよ?」
「だよなぁ」
むぅ。精霊の成長はかなり重要な話だ。
それに気が付かないでいるってのは、正直良いことではない。
だが気が付くにもかなり難しいな。今回みたいにぱっとやられると分からん。
いつ成長したってのが分かるようにすると・・・毎秒監視できるような何かを用意せんといけないしなぁ。
そうなると監視みたいで気分も良くないだろう。だが手は考えなければ。
「しっかしうちの子は普通に大きくなるだけだな」
「まだ一回目ですから」
「フェーンは?」
「・・・ほぼ毎回何かしら変わりますね」
何だあいつ・・・
ダイジュナの話だと、この成長を繰り返すと普通なら形が変わると。
だが小さい精霊の場合はその回数が少なくても形が変わることもあるんだとか。
ダイジュナの見立てでは、ましろは平均2回。ライチは3回。ののかは5回の成長で形が変わる・・・かもって言ってたな。
だからフェーンは明らかに変わった精霊であって、あれは決してベーシックではないと断言しよう。
「肝心のフェーンはどこに?」
「あ、今日はお母さんたちのところです。ご飯がシチューだったので」
「あいつ夕飯でいるところ変えてるの!?」
「家族の契約精霊だと結構ありますよ?」
「じゃあ村長の精霊もうちに来り?」
「あー・・・流石にコウ様がいるので遠慮すると思います」
・・・そうだな。よく考えると俺は村長と家族じゃないもんな。
「そ、そんなに会いたかったですか?」
「い、いやそっちじゃないですね」
こればっかりは悟られたくないのでここまでに。
「まぁとにかく。成長したのはいいことだな」
「はい!」
「もしかして、ドライアドの影響もあるのかもしれませんね」
「ドライアドの?」
「はい。ドライアドは付近の植物の生長を助ける力がありますから。
ののかちゃんが植物の力を持っているから、あり得るかと」
植物の力同士で影響しあったってことかな。
それが更に生長を助ける力も相まって成長が早まったと。
確かにののかは元から他の子に比べて大人な精霊だった。
だから成長するのはもうちょい時間が掛かると予測されていた。
次はライチで、その次がましろ。更に次の次くらいだと思ってたのだ。
これはダイジュナの見立てと、村長の経験則で出した結論だからかなり信憑性は高い。
それが外れたとなると・・・うーん。
「あの子すごいこですね」
「そうですね。まさか精霊にも影響があるなんて」
「えっへん!」
「何でお前がどやるんだか」
「あ、これおいし」
「」(ガツガツ
「そしてお前らは飽きたんか」
ライチとましろは話に飽きたようでご飯を食べ始めてしまう。
今日の献立は野菜とハーブをたっぷり使ったチキン・・・的な肉のソテーだ。
ライチは物凄い勢いで肉を啄んでるし、ましろは人参抱えて食べてる。
「あ、こら汚いでしょ?」
「みー」
「ちゃんと食べなさい。めっ!」
「み~」
「・・・俺達も食べるか」
「そうするです・・・あ」
「ん?どうした?」
「・・・フォークがちっちゃいです」
「あー・・・今日は我慢してくれ」
そうか。ののかは人間の形だから大きくなるとその辺も新調しないといけないのか。
割と大変だなそれ。サイズにもよるけど細かい成長を繰り返されえると面倒かも。
・・・そうだな。あれ作るか。
「今度自動で長さが変わるフォークとか作ってやるよ」
「え?そんなの出来るんですか?」
「出来るんですよこれが」
正確には調整でサイズを自由に変えられる物を作るだけなんだが。
この程度なら手が器用なら誰だってできる。
ぶっちゃけプラモデルみたいな作り方するしな。
・・・なんでそんなもんゲームの中にあるんだよおい。
ののかが使うのはそれを小さくして再設計しなおした物だから正確にはゲームにはないが。
「キイナさんも作ってみますか?料理にも使えて便利らしいですよ」
「あー・・・持ちかえないで一本で出来るのはいいかもしれないですね」
「じゃあ明日にでも作りましょうか」
「ののかも作りたいです!」
「・・・は?ののかも?」
「大きくなったから出来るはず・・・です!!」
いやまだ掌サイズな事には変わりない・・・いや待てよ。
ののかサイズの物を作るのならむしろその方が良いのか?俺達がやると小さくて組み立てにくいかもしれないし。
「じゃあやってみる?」
「あ、私もののかちゃんに新しいエプロン作ってあげるね?」
「わーい!!」
微笑ましいなぁ・・・
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